表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

レッスン1(ゲームの進化)Part2

 「次に視覚について見ていきましょう。」


 「よろしくお願いします。」


 「もっとも簡単に色々な色の光を出す方法は何だと思う?ミツニ君。」


 「はい、キャニス先生。えっと、やはりLEDを使う方法ではないでしょうか?光の三原色であるRGB三色のLEDを使ったらあらゆる色を出せると思います。すなわち、R成分、G成分、B成分の出力を調整する事で色を出すという事です。」


 「なるほど。例えば黄色を出したいときはどうするのかな?」


 「赤色と緑色のLEDをオンにして青色のLEDをオフにすればいいと思います。」


 「正解よ。グッジョブ。」


 「やったー、先生ー褒めて褒めて~!!」


 「良く出来ました。よしよし。」


 「……」


 「……」


 キャニスと目が合った。教師と生徒を演じていたからついついやってしまったが、良く考えたら、現在俺は幼馴染の異性に頭をなでてもらっている。

 キャニスも我に返ったのか顔を真っ赤にしながらこっちを見ている。手を素早く引っ込めて俺から距離を取り。


 「さ、さあ続けましょうか。私から初めておいてなんだけど、先生と生徒を演じるのは辞めておこう。」

 と言った。


 「そ、そうだな。ともかく、続きをお願い。」

 と返す。


 「それで、今ミツニが言った方法がある意味最もシンプルな発想よね。」


 「そうだな。」


 「でも、実際に過去に使われていた液晶パネルはもっと複雑な仕組みだったの。具体的にはカラーフィルタや偏光板を使った方法よ。」


 「カラーフィルタ?それってLEDの代わりと考えていいのかな?じゃあ偏光板はどういう役割なんだ?」


 「うん、ちょっとややこしいから図を書いて説明するね。」


白|→|偏|→|素子1|→|偏|→R→

色|→|光|→|素子2|→|光|→G→

光|→|板|→|素子3|→|板|→B→


 「一番左から白色光が出ているの。そしてそれが偏光板を通って、特殊な素子を通って、また偏光板を通ってカラーフィルタを通るの。ここまではオッケー?」


 「まあ。図に書いてあることそのものだね。」


 「じゃあ次の説明ね。偏光板と言うのは何かわかる?」


 「ごめん、説明してくれる?」


 「オッケー。光は色々な方向の波が集まってできているわ。仮に縦(|)・右肩上がり(/)・横(―)・左肩上がり(\)の四種類の波があったとしましょう。」


 「オッケー。」


 「ここに縞がいっぱいついた板があるとしましょう。(||||||||||)」


 「はい。」


 「どの光がこの板を通り抜けることが出来ると思う?」


 「うーん、やっぱり同じ縦向きの光じゃあない?横向きの光(―)はぶつかってしまいそうだし。」


 「そうね。縦向きの光は縞と縞の間をすり抜けることが出来るけど、横向きの光はすり抜けることが出来ずに跳ね返ってしまうわ。」


 「斜め向きの光は?」


 「縦向き成分だけ通る……何といえばいいかしら。縦向きになって出ていくけど、かなり弱くなると思ってくれる?」


 「了解。」


 「さて、ここに、もう一枚の板をかざしたとしましょう。今度は横向きの縞々(≡)がついている板よ。」


 「ああ、了解。」


 「どうなると思う?」


 「一枚目の板でみんな縦向きの光になっているんだよな?だったら今度は全部さえぎられてしまうんじゃあない?」


 「正解よ。この、『縞々な板』の事を偏光板って言うの。偏光板については理解できた?」


 「なんとなくだけど理解できたよ。要するに一方向の光だけにしてしまうって事でいいんだよね?」


 「その認識で大丈夫よ。さて、改めてこの図を見てほしいのだけど」


白|→|偏|→|素子1|→|偏|→R→

色|→|光|→|素子2|→|光|→G→

光|→|板|→|素子3|→|板|→B→


 「左側の偏光板は縦向き、右側の偏光板は横向きだとしたら、どうなるんだっけ?」


 「真っ黒になるんだよね。」


 「Exactly(その通り)。これじゃあ、なにも映らないわよね。」


 「だね。真っ黒だ。」


 「そこで、この『素子』の出番よ!この素子は、電気が流れることによってすごい力を発揮するの?」


 「すごい力?」


 「ええ。なんと、光の方向を回転させることが出来るの。」


(こんな感じ)

| → / → ― → \ → |


 「へえ!すごいね!ああ、なるほど。じゃあ、素子1と素子2に電気を流したら黄色に発色するという事なのかな?」


 「そういうこと。」


 「でも、なんかこの方法って色々無駄が多いように感じるんだけど。だって、せっかく明るい白色光を途中で遮ることによって色を表現してるってことだよね?」


 「そうね。それに、一画素に必要なスペースが三つってことだからその分無駄も多い。」


 「だな。」


 「そこで、開発されたのが交流発光素子と呼ばれるものよ。これが開発されたのが宇宙歴元年くらいだから、これからミツニが書くブログの読者の人たちが生きている時代には登場しない技術よ。」


 「おお!じゃあ、この技術は読者からすれば『未来の技術』なんだね。」


 「そうね。交流発光素子は流す電流の種類によって異なる光を発生させることが出来る素子よ。」


 「それってLEDとは違うの?」


 「ええ、全然違うわ。三色LEDは三つのフィラメントが内蔵されているでしょう?でも、この素子は単一の素子がありとあらゆる色を表現できるの。」


 「へえーー!すごいね。」


 「名前の通り、この素子に交流を流すことで発光するわ。交流の周波数を変えることで発光する色を変えることが出来て、実効値を変えることで光の強さを変えることが出来るの。」


 「実効値?」


 「電圧と考えて。ほら、乾電池は1.5Vとかコンセントは100Vとか言うでしょう。ああいう値の事。」


 「なるほど。それで、その素子をズラーっと並べることでスクリーンにしているって訳だよね。」


 「ええそうよ。このスクリーンは層構造が必要ないからかなり薄い物を作ることが出来る訳ね。」


 「よくわかったよ。ありがとう~!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ