表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

違うから!!

読んで下さりありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします。

 FDVRゲームでは自分オリジナルのアスレチックを作ってプレイできる「スーパーアスレチックメーカー5」で遊んだ。様々なギミックを使った難しいコースを作成できるのだ。


 今回、俺たちは「3時間で作成&クリアチェック → 互いのアスレチックを遊ぶ → クリアするまでにかかった時間で勝負」と言うルールで遊んだ。ちなみに、運ゲーにするのは無しとした。そうしないと、ただただ面倒くさいアスレチックになってしまうからだ。


 俺が作ったアスレチックは謎解きだ。スタート地点から北に行って鍵を入手。南に行って宝箱を開き、金づちを入手する。金づちを使ってレンガを壊し、東側に進めるようになる。東側では木材を入手できる。木材を使って橋を架けることで西側に進めるようになり、そこでは釘を入手する。釘・木材・金づちを使ってはしごを作り、北側にあるアスレチックの端にある段差を乗り越えてゴールだ。


 一方でキャニスが作ったアスレチックはテクニック技をふんだんに利用したものだった。FDVRゲームの中では、リアルの筋力があまり影響しないとはいえ、反射神経などはリアルでの能力が求められる。俺がそういう系が苦手であることを知っているからこのようなアスレチックを作ったのだろう。


 試合の結果?ははは……ボロ負けでしたよ。はあ。


 「ミツニってホント反射神経鈍いわよね~」


 「俺はのんびり生きるタイプだからな。君のようにあくせく生きてる人間とは違うのだよ。」


 「私はのんびり生きているわよ。どちらかと言うとミツニの方がいつも慌ただしくしてるわよね。」


 「確かに。というか、なんでキャニスはあんなにすらすらとクリアしちゃうわけ?まるで俺がクリアするのを見ていたかの如くあっさりクリアしちゃってさ。」


 「だってーー。『ミツニならこんなアスレチック作るだろうなあ』って思っていた通りのアスレチックだったもの。作りながら考えていたであろうことが見え見えだったわよ。」


 「そうかなあ……」


 「それだけ、私とあなたは以心伝心って事ね。」


 「かもね。(以心伝心なら、俺も楽しめるようなアスレチックを作ってくれよな)」



 次の日、同じラボの友達たちと学食で昼飯を食っていた時だ。


 「あ、ミツニ。おっはー。」


 「キャニスか。おはよう。今の時間帯ならこんにちはの方がいいか?」


 「おとといの事だけど。」


 「ああ、どうかしたか?返事は一週間後って言ってたっけ。それまでは待つよ。」

 確か、ロゼッタ教授に計画書を提出してから一週間以内に審査を行うんだっけ。本格的に執筆を始めるのは来週からになりそうだ。


 「そのことだけど、これからは毎日最低15分のチャットをしない?色々話をしたいの。」


 「いいね。それから毎週一回は顔を合わせて話をしよう。一週間の出来事をその時詳しく共有するってことでどう?」


 「いいわよ。それじゃあ、チャットは夜の8時から、対面で話すのは日曜日にミツニの家でってことでいいかしら?」


 「大丈夫だよ。」


 「分かったわ。それじゃあそういう事で。」


 キャニスはそのまま彼女の友人たちの方へ向かっていった。一週間の間に話題を考えておいて、日曜日の対面ミーティングの際に講義をしてもらうという流れだな。うん、いい感じに周りそう。まあ、審査にパスすればの話だけどな。


 「お前、良かったな!」

 突然、友人が声かけてくる。

 「初々しいなあ。というか羨ましいよ、あんないい幼馴染が居て。性格も良くて顔も良い。最高じゃんか!」


 「キャニスの性格が良い?無い無い。この前もゲームでコテンパンにされて笑われたし。まあ、可愛いなとは思わなくもないけど。」


 「へえー。いつから仲良くなったの?」


 「中学校の時だな。男女でペアを作って合唱するって言う授業があってな。余り者同士でペアになったんだよ。」


 「へえ。というか余り者?あいつが?なんで?」


 「ああ、今のあいつを見たらそう感じるよな。当時のキャニスは勉強熱心で他人を寄せ付けない雰囲気を発していたから。文化祭・合唱コンクールなんかにもあまり熱心に取り組んでなかったし、体育祭の時なんてグラウンドに勉強用具持ち出してたんだぜ。」


 「まじかよ。時々お前と話している姿を見ると元気溌剌なイメージだけど。」


 「そうなったのは高校からだよ。」


 「へー。じゃあその音楽の授業が運命の出会いって訳か。」


 「……なんでさっきからちょくちょくキャニスと俺がくっついてるみたいな言い方をするんだ?確かに俺は仲良くさせて貰ってるけど、そういう関係じゃあないぞ。」


 「え?だってさっき『返事は気長に待つよ』とか『毎日チャットしようね』とか『日曜日はデートしようね』とか言ってたじゃあねえか。これってあれだろ。ほら。『告白の返事は気長に待つよ』って言ってたものの、キャニスの中ではOKだったから『毎日チャット』とか『毎週デート』とかの話になったんだろ?」


 「は?」


 「羨ましいぜ。全く。あ、でも、毎日チャットばっかりしてると逆にストレスになったりするからな。ハリネズミの法則って聞いたことあるだろ。互いに離れすぎているのは寒いけど、近づきすぎるとお互いの棘が当たって痛い。丁度いい距離感が重要って例えだ。というかこの話はお前が教えてくれたんだっけ。ともかく、頑張れよ!」


 「違うから!!そんなんじゃあない!」


 周りでニヤニヤしている友人たちの誤解を解くのにかなりの時間を要したのだった。

少しでもいいなと感じたら、感想・レビュー・ブクマして下さい。よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ