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序章24

 ところで何でヒトガタ召喚には血が要らないんだ?何かずりぃぞ。


『船内は私の世界、言わば私の体内ですから空間がそのまま触媒足り得ます。ですのでマスターも自身の体内に小さな骸骨を召喚する分には必要ないのでは?』


 気合いで小さくして召喚だなんてそんなJ○JO3部の対『恋○』戦みたいな状況にはならんだろうが理屈は分かった。


 しかし今更だがエネルギー保存の法則から言えば俺の召喚…っつーか死霊術、おかしいんじゃねーか?いくら骨だけで軽いと言ってもエネルギーから物質を作るのは計算上ほぼ無理な筈。

 スク○イドのア○ター能力みたいにそこらの物質を変換して構成してる訳でも無さそうだし…


 無から創るけど無に帰るから差し引きゼロ?それは先程の件から考えるに無理がないか?骸骨兵士が破壊しまくった運動エネルギーとか骸骨魔術師が使った氷の矢と火の矢の魔法をエネルギーに換算した分とか鑑みるに、明らかに釣り合ってない。

 もうエネルギー保存の法則とか忘れた方がいいんじゃないかと思わなくもないが、気になるんだからしょーがない。


 ふむ…パラレルワールド的な考え方なら、世界は三つだけじゃなくなるよな。それ以上の第四、第五の世界があってもおかしくない。

 例えば、この世界より含有エネルギーが多い第四の世界があって、MPエネルギーでその世界とこの世界を一時的に繋いでる、とかならどうか?


 水がより低い位置に流れていくように。

 あるいは、熱いコーヒーを放って置くと冷めるように。

 または、空気をパンパンに詰めたタイヤの栓を抜くと空気が勢いよく噴き出すように。   

 別の世界からこの世界にエネルギーが流れ込んでくるって事なら説明が付かん事もないか?

 とりあえずの仮説としては悪くないか。何よりそうであってくれれば良いと思う。

 MPの使い方次第で空間を操れるなら、アバター装備が存在している空間へとアクセス出来るかも知れないからな!

 まぁそっちも仮説だし、そう上手くいくかどうかなんてわからんがな!

 つか、ぶっちゃけその願望ありきの仮説だからな!


 …と、思考を加速させているからって子供達を待たせながら考える事でもないわな。

 

 あぁそうだ。後、これだけは言っておかないと俺の人格が疑われてしまう。


『はい。ブルマは処分、代わりの短パン及び、ジャージ上下追加、承りました』


 おう、それでいい。後、靴下とスリッパと、各部屋のベッドメイクも頼むぞ。


『了解です』


 っつーか俺ならこうすると分かってたろうに、わざわざ無駄な事するなよ。タンクの残りが少ないなら尚更だ。

 更に言うなら俺はブルマも女児下着も触った事もないし構造も知らないのに、どうやって造ったのさ。まさか知ってたって事はないよな?


『マスターの記憶に、自己紹介にはインパクトが必要、とあったので』


 だからって実際にそれをやる奴はそんなに多くない、何より俺がそれを好まないと知っていてやるのもどうかと思うがな!


『素材についても、消費量は少量ですし問題はないかと。そして衣服の構造については、マスターが認識していない部分の記憶を検索、分析、結合、算出した結果です』


 うん?


『例えばマスターが洋服屋に入った時、視線を向けていなくても視界の隅には女性用の下着が映っていました。入った時に正面、通り過ぎる時に側面、出る時に背面が目に入っていたので、それらの映像から立体的な全体像を構成したのです』


 それだと裏面がわからないんじゃね?あと素材も。


『裏面に関しては今までマスターが触れてきた衣服の共通項から推察しました。素材はマスターは知っていましたよ。同名のキャラクターについて調べる際、検索に出たのでついでに読んだ記憶がありました』


 ドラゴン○ールの事かー!

 いやしかし調べたっけ?マジで覚えてないが。


『合繊ニット製だそうです』


 あー、うん。速乾性Tシャツとかの奴ね。それなら確かに触れた事もあるな。


『この様に、マスター自身が忘れていたり認識していなくとも記憶は残っています。それらを組み合わせればこの程度、造作もありません』


 いや確かにスゲェとは思うが…その結果がブルマなのが一番スゲェわ…


『ところでマスター、確認ですが服のまま風呂に入るのですか、それとも部屋で裸になってから風呂場まで来るおつもりで?』


 …考えたくなかった事を突き付けてくれてありがとうよ。

 マジでどうすっかなー。


『まだ試していない行為として、装備品を外すつもりで服を脱いでみるというのはいかがでしょう』


 ふむ。確かにそれは試していないな。

 一度目を閉じて高速思考を終了。

 通常モードに移行…なんて格好つけながら切り替えてみる。


 そしてまぁダメ元で…死霊騎士の手甲脱げろ!と思いながら右手で左腕のロンググローブを外す。

 相変わらずロンググローブは外れた瞬間に装着され直すが、その手には禍々しくゴツい手甲が握られているではないか!

 …何故か右の手甲もあるのが激しく謎だが。両手合わせて1つの装備扱いだからなのか?


 同様にピンヒールの靴を脱いでブーツを外す。

 ドレスを脱いで上半身も外れた。

 元々見えないが、外れる事を願いながら兜を脱ぐような動作をすると、兜も外れた。

 ところが、最後の下半身の下着を外しても脚装備が脱げない。何故だ。


 あ、くどいようだがアバター装備は脱げてないからな?ロンググローブもピンヒールもドレスも未だ装着されたままだぞ。


『脚装備なら脚に装備している装備なのではないですか』


 お、おう。言葉にすると頭悪く聞こえる位にはそのままの意味だが、確かにそうだな。

 改めてスカートをたくし上げてガーターストッキングを脱…ガーターベルト、これどうなってるんだ?何となくクリップ状になっててパチンと挟んでるのかと思っていたんだがどうも違うようだ。

 …あー、Ωみたいな感じの金具に、ピッタリハマる出っ張りを嵌め込んで固定してるのか。つまり前後を摘んでずらせば…外せた。しかし前はまだマシだが、この斜め後ろの分はやりづらいな…よし取れた。


『どうせ元通りになるのなら引きちぎっても良かったのでは』


 …確かにな!あとふと思ったがこれ、装着しようと思ったら結構面倒だろうな。着用するお嬢さん方には尊敬の念を禁じえない。ありがたやありがたや。

 え、俺?見せる気ないし、自分で装着する機会はないから他人事さ。

 何しろ勝手に装着されるんだからなこんちきしょー!


 ともあれ、一通り装備が外れた。次の瞬間、アバターが消えて全裸になった。どこか1箇所でも装備し直すとアバター装備が全部装着されるのも鏡で脱着した時と変わらないが、鏡の前でだけしか着替えられないという事態に陥らずに済んだのは幸いと言えるか。


『それはさておき、そろそろ子供達が待ちくたびれて動き出しそうです』


 おおう、流石にそろそろ限界か。


「お待たせしました」


 改めて急いで装備を身に付けて服を着て、入口まで戻って待たせていた子供達に声をかける。


「あ、はい。お風呂と伺いましたが、僕らはどうすれば?」

「それは、この子が説明します…リーダー」


 肩に乗っていた(ように見せていた)妖精(に見える幻影)が羽ばたいて飛び上がりベリルの前に姿を現す。無駄に芸が細かいなおい。


「はーい。この船の守護精霊にしてマスターの忠実なる僕、リーダーでーす。よろしくねー」


 そして何だその気の抜けたような間延びした口調は。


『マスターに倣ってロールプレイしようかと思いまして』


 …さよけ。まぁそれこそ自分がやってる以上、文句を言えた立場でもないが。


「あ、はい。こちらこそ、お邪魔します。僕はベリル。この子達がアイリス、カール、ディエナです。よろしくお願いします」

「はーい。ゆっくりしていってね」

「あはは…そうさせていただきたいところですが、明朝には出発しなければなりませんので、一晩だけお世話になりますね…ところで何故突然棒読みに?」

「あはは、何でもありませんよー。では、お風呂にご案内、ですー。男子は右の扉に、女子は左の扉に進んで下さいー」


 ヒトガタが2体、床から現れてそれぞれのドアを開ける。


「あ、あの…これらは一体?」

「ゴーレムの一種です。骸骨よりは威圧感もないかと」

「え、えぇ…そうですね…」


 うおう、ドン引きされてる。


「これらは私の管轄ではないので、気になるならリーダーに直接言って下さいね」


 なので俺は無関係を強調しておく。通用して無さそうだがもう知らんわ。


 その後、子供達が風呂に入っている間にクマの死体回収は完了。

 ついでに死体を食おうとしていた犬っぽい獣の群れが居たんでついかっとなって剣を振り回しながら吶喊したら2匹斬った時点で散り散りに逃げてったのでその分も持って帰る。

 …獣とはいえ自分で狩っているのに殆ど気にならないのは、自分の手で直接斬ってないからゲーム気分が抜けてないのか。やはり怖いな。

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