序章1
諸君、私はRPGが大好きだ。
TRPGが好きだ。MMORPGが好きだ。MORPGが…え、これで続けたらダメ?わかったよしょーがないな。
ちなみに現在お気に入りのオンラインゲーム…サービス終了してしまうんだが…で使っているキャラクターは、銀髪で右目が紫、左目が金色のオッドアイ、黒いドレスを翻して戦う女の子だ。
突然何の話だ?と思うだろう。俺が聞き手だったら間違いなく尋ねている。
だがこれも現状を把握するのに必要な事なんだ。申し訳ないがこのまま聞いてくれ。
リリースされて1年、まぁ様々な事情でサービス終了が決定したとあるオンラインゲームがある。
俺はそのゲームがめっちゃ気に入ってた。
細かい説明は省くが、従来のMMORPGに多い職業制ではなく、制限や相性はあるが技能を組合せて自由度の高いキャラメイクができるゲームだった。
また造形もそれなりに細部まで設定出来るタイプで、俺は多大な労力を費やして作り込んだ自分好みな女子のキャラクターでプレイしていたのだ。
…あ?別にネカマじゃねーぞ。性別は隠してなかったし、女のフリをしていた訳でもない。普通に社会人対応で丁寧に話していただけだ。
自キャラの背後からの目線の、いわゆるTPS画面のオンラインゲームだったんだ。
常に画面の中央に後ろ姿があるんだ。
どうせ目に入るなら、野郎よりは女の子の方が良いだろ?
キャラとはいえ野郎のケツをずっと眺める趣味は俺には無い。
という訳で、小柄、色白、バストとヒップのサイズは普通、ウエストは細い、と好みを詰め込んだキャラクターを作った。
普段見るのは後ろ姿ばかりではあるが、顔もこだわった…とはいえバランスを考えたらあまり弄れなかったが。
たれ目気味のやや大きな眼、鼻や口はやや小さく、美人というよりは可愛く、優しそうに見える美少女となった。
ついでに言うなら、好みの女の子には好みの格好をさせたかった。
これも、どうせ目に入るなら…の延長だ。
具体的には、背中の露出は多い方が良い。
かといって水着とか、ビキニアーマーとか、全体の露出が高ければ良いってもんじゃない。うなじとか肩甲骨とか背筋とか、とにかく背中だけ露出が高いのがいい。
だから余談だが影○とか好きだったぜ。
とはいえゲーム機は遊駅は初代まで、最後に買ったのは夢唱だったから、刻○館真章しか知らんのだがね。
その次の蒼○灯はほら、背中の露出が無くてな。
最近何かの折に更に3くらいで続編が出てると知ったが、以降はPCに金突っ込んでたから、今更手を出そうという気にはならなかったしなー。
いやまぁそれはさておき。
それ以外はチラリズムがいい。更に言うなら色々ひらひらする方が、なんか女の子!って感じで好きだ。
なので髪型はロング。けど流すと背中が隠れてしまう。かといって編み込んであるとヒラヒラ感がなくてつまらん。という理由でツインテール。
そして下半身は断然、生脚よりストッキングだ。タイツでもイイ。だがいわゆるガーターベルトとガーターストッキングも捨てがたい。
だから下半身はズボンよりスカート。これも、上記の好みから言ってミニよりはロング。
裾は長く、動きが激しい時だけ脚が覗ける方が目に楽しい。
動かない時は見えないくらいのスリットがあったりするとヒラリとチラリの両立が出来てなお良い。
靴はヒールが高い方が女の子っぽい、という感じでピンヒール。
…こだわったらこんなだった。我ながらマニアックというかなんと言うか…ま、まぁ別に誰かに迷惑を掛けた訳でも無いからいいだろ?
ちなみに以前つーか若い頃、付き合っていた彼女にこれらの自分的ツボを説明したらドン引きされたんでリアルでそれを望んだ事は無い。
ここまでこだわると『そんな装備はねぇよ!』となるもんだが、そのゲームにはあった。それも都合の良い事にアバター装備で。
例えば実際に装備しているのが防御力の高い無骨な全身鎧でも、アバターの水着を装備したら防御力は全身鎧のまま外見だけ水着になる、というのがいわゆるアバター装備だ。
俺のこだわりに答えてくれたアバター装備はその名もずばり〈バックレスドレス〉という物だった。
前述の通り首の後ろを除いて背中を覆う布地はなく、ウエストの一番細い所の少し下まで剥き出しになっている。
前は胸の膨らみの下辺りで左右の布地が交差する、谷間が目に楽しい構造だ。
ウエストは一番細い所でベルト状に絞ってある。
下半身は胸部の交差から繋がるように片方の脇でスリットになっているスカートが足首まで覆う。
スリットから時折覗くのがガーターベルトと肌が透けて見える薄いガーターストッキング、そして白い太股。
靴は洒落たピンヒール。
カラーバリエーションも豊富で、俺のキャラは色白に設定してあったから、服の色は濃い方が映えて見えたんで色付きにした。
そしてシステムで頭装備だけ表示オン・オフ出来たから表示オフにしていた。
…と、そんな趣味全開のキャラで遊んでいたのだが…
どうしてそうなったかの説明は出来ない。
何が起こったのかはこれから説明する。
で、推察された結論が冒頭な訳だ…わかんねぇって?うん、まぁ、俺もわかってねぇ。
端的に説明すると…いわゆる≪ゲームの世界にキャラクターとして入り込んでしまった≫という状況のようなのだが…まあもう少し細かくいこうか。