54. ヒトの感情の正体に迫る! 後編
【第54回 2022.7.5】『ヒトの感情の正体に迫る!』後編 を配信
【エモい物語の肝である感情について】
【生理学・脳神経学から仕組みを解説してみるよ!】
●感情と気質、性格、人格の違いについて
最後に、せっかくですので、感情と割と区別の難しい――。
「感情」「気質」「性格」「人格」の違いについて触れたておきたいと思います。
言葉の使い分けなので、物書きにとっては割と、重要なポイントですよ。
まず、気質、性格、人格の定義ですが、順番に、
気質:性格の中で生まれつきの部分
性格:行動に現れる、感情や意思の傾向・パターン
人格:性格に、教養や道徳的観点を加えたもの
という定義になります。
図に表せば、生まれつき持っている「気質」が一番中心に。
その周りに、気質に教育や経験による学習が加わった「性格」が発生。
さらにその周りに、道徳的観点を加えると、「人格」になるわけです。
もっと端的にいえば、「性格」とは「行動や感情のパターン」と訳せるでしょうか。
よく憤る感情・行動パターンの持ち主であれば、「怒りんぼう」。
人前だと赤面し、本調子が出せなくなるのであれば、「恥ずかしがり屋」。
人より長く勉強や仕事に取り組み、それを苦に思ってなければ、「努力家」。
という「性格」であると、周りから見なされます。
ここに道徳的観点を加えれば、人格の評価に。
あまり好ましくないという文脈の上で語れば、「怒りんぼう」という性格は人格に。
「努力家」で好ましいという文脈の上で語れば、こちらもやはり性格だけでなく人格に言及していることになりますね。
さらにここで注目してほしいのは、性格は「行動や感情のパターン」であるということです。
感情の評価に「常にこういう傾向がある者だ」という意味を加えると「性格」に。
そこにさらに「好ましい・好ましくない」という評価を加えると「人格」になるということは上記で述べた通りです。
行動の評価でも同じわけで。
性格面にも、人格面の評価にも発展する可能性があります。
よく語られる、上司としての正しい教育方法に、
「相手の性格や人格ではなくて、行動を評価するんだ」
というのがありますが、あれはちょっとチグハグで、言葉足らずです。
行動の評価に、「いつもこういうパターンを取っている」というニュアンスを加えると性格に。「だから好ましい・好ましくない」というニュアンスを加えると、人格面の評価になるわけですから。
トイレに入った後に手を洗わなかった人に、
「最後は手を洗わなければいけないよ」
と注意するのは行動の評価。
しかし、
「ちゃんと手を洗わないオマエは不潔だ」
と指摘するのは、性格・人格面の歪みを指摘することになるわけです。(※1)
いうまでもなく前者であれば、問題ないでしょうが。
後者の言い回しは、言われた側にかなりの不快感を与えることでしょう。
感情とか、感情を元にした行動を評価する時。
言い方ひとつで、相手の性格や人格をけなすことになる――
この性質は、人との交流の場でも忘れてはいけませんし。(※2)
物語上で、「いけ好かない上司や権力者」を描きたいときのポイントになるでしょう。
ちょっとした失敗を一度だけした主人公に対し、
「オマエは●●だ!」
と、決めつけ、好ましくないレッテルを貼ればいいわけですから。
さらに人前で、人格批判を行えば「相手の評判を落とし、実質的な被害を与える」ことになり、相手に反感を芽生えさせるイベントとしてはより盤石でしょう。
■ 今日のまとめ ■
・性格は、その人の感情や行動の傾向・パターンのこと
・気質は、性格の中でも生まれつきの部分
・人格は、性格に道徳的観点を加えたもの
・感情や行動を評価していれば、性格や人格を評価していることにもつながるよ
・人前で誰かのネガティブキャンペーンをしちゃだめよ
(※1) 「ちゃんと手を洗わないオマエは不潔だ」
主語が「オマエ」であり、行動に対してではなく人に向かっていること。
また「不潔」という単語が「今回の行動のみ」だけでなく、「常に非衛生な身なり、行動をとる人物を指す」単語としてもつかわれるため、受け取った相手によっては、人格面の否定と感じてしまうことでしょう。
(※2)
現実問題として、「遅刻しがちな後輩」を注意するというように、相手の感情・行動パターンを、指導して改善しなければならない場面はあります。
行動パターンの指導を「しちゃだめ」ではなく、人格や性格面の歪みに言及するのだから「細心の注意や配慮をする」のが大事だよ、ということです。
【自己紹介 板皮類 学名:ニョロリマス・オパーイスキー】
ばんぴるいと読む。美少女ゲーム業界で14年。
その後、一瞬だけソーシャルゲーム業界にいた、元企画屋&シナリオライター。
毎週、新作エロゲを300円で8週間連続発売するなど、コンフォートゾーンから飛び出す、変わり種企画が持ち味だった。




