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47. コマーシャルってなに?

【第47回 2022.3.1】『コマーシャルってなに?』 を配信


 【貴方の育てた作品・サービスをもっと知ってもらおう】

 【CM・店舗広告・広報・チラシ 宣伝の基礎を考える!】

 今回は【宣伝】のお話です。

 テレビ・新聞が主体の時代からネットの動画配信へ……と、メディアを取り巻く環境は激動するものの、古よりCM、雑誌のチラシ、PR動画――様々な宣伝が展開されてきました。

 それらの宣伝手段の注釈、長所など1つずつを解説しちゃおう! というのが今回の趣旨なのですが、筆者はプロのゲームクリエイターを卒業して3年余り。


 さすがにYoutubeを使った広告などの最新の情報には疎く、そちらについては他の方の解説動画・ブログetc.に譲った方がよろしいでしょう。


 ということで今回は、宣伝についての知識の基礎固め。

 古典的な宣伝方法である【CM】【店舗広告】【広報】【雑誌チラシ・広告】に絞って、解説。最後に、口コミとか動画CMについて思う所を、チョイ足ししていきたいと思います。



● CM ●

 コマーシャルメッセージ(Commercial Message)の略で、放送中に表示される広告を指します。テレビ番組の途中や終わりに5秒とか15秒間挿入される、スポンサーの商品が紹介されるあれですね。


 CMの役割は、『視聴者の記憶に爪痕を残す』であるといわれています。

 最短だと5秒という時間の尺の制約がある以上、広告主の伝えたいこと全てをCMに入れることは不可能です。

 そこで、『商品案内はそこそこに、あるいはせずに』『必要な時に思い出してもらうよう』『記憶のフック・とっかかりを作る』のが、CMの主な狙いとなります。

 例を挙げていきましょう。



〇TVゲーム【せがれいじり】のCM

 1999年にプレイステーション用に発売されたエニックス発売のゲーム『せがれいじり』のCMは個性的でした。

 まず、バッターボックスに立ったプロ野球選手が、おもむろに自分の股間に触れる(いわゆるチンポジを調節する)。

 そして、CMの後半に僅かばかりのゲームの映像とともに、『プレゼントに最悪』『せがれいじり、でたー』という子供の声のナレーションが入ります。

 ラストにゲームのパッケージ絵と、発売日、定価こそ表示されるものの、ゲームの中身にはまったく触れられず。さっぱり伝わってきません。

 (そもそも、【せがれいじり】は野球ゲームではない)


 ただし、CMの存在意義から考えれば、この構成は大あり。

 後日、視聴者が新しいゲームを買いたいなぁと思ったときに、「そーいえば、妙なゲームのCMがあったなぁ」「せがれいじり、だっけ?」と、記憶を想起してもらって購入を検討する候補に加えてもらえれば大成功なわけです。



〇キユーピー 【パスタソース たらこ】のCM

 「たーらこー♪ たーらこー♪ たっぷり、たーらこー♪」

 のCMソングと共に2000年代に大ヒットしたのが、キユーピーのパスタソースのCMです。

 キューピー人形の顔のついたタラコが、CMソングに合わせて大行進してくる。

 最後に「たらこたっぷり、キューピーパスタソース たらこ」のナレーションとともに、実際のパスタと、商品パッケージが表示される。


 【たらこを何g使ったとか】【価格表示】とかそういう理屈の部分はまったくなし。

 たらこ好きは濃い味付けが好きでしょうから、とにかく「めっちゃたらこを使ってるで!」ということを、耳と目(なんせ、たらこと連呼し、たらこが群でやってくる)を通してコスってきます。


 【キユーピー】という社名もしっかり強調していますから(だって、たらこにキューピー人形の顔がついているんだもん)、スーパーに買い物にいったお母さんが、

 「晩御飯は何にしようかしら。お手軽にパスタ? そういえば、たらこのCMをしてたわね」と、思い出し、キユーピーのパッケージを探してしまうまでの流れは、想像に難くありませんね。



〇PayPayのCM

 近年で放映されたもので印象的だったものといえば、電子決済方法のPayPayが該当するでしょうか。

 「ペイペイ♪ ペイペ♪ ペイペイ♪」

 というサービス名を連呼するテーマソングとともにタレントの宮川大輔さんが踊りながら、途中で伝えたいメッセージを的確に発します。

 【PayPayどこでも使える】編では、「コンビニでも」「商店街でも」「美容院」「飲食店」と、利用できる店舗を例示。

 【今ならお得なキャンペーン】編では、「40%戻ってくる(還元される)」「40%戻ってくる」「対象のお店で40%戻ってくるでー」と、ピンポイントでどれだけお得か数字も交えて、セリフで教えてくれました。


 受け取った好き好きの印象の違いはあるでしょうが、インパクトがあってとにかく耳の残るCMだったのは万人が一致するところではないでしょうか。

 筆者は会計するたびにスマートフォンを取り出すがメンドクサイ派なので、ハートに刺さりませんでしたが。なんでもスマートフォンで終わらせたい人が導入を検討。

 あるいは、後日、個人商店を立ち上げることになった人が、「電子決済にも対応しないとな…」と思いが至った際に、「ペ…ペイペ、イ?」と単語を思い出してくれればOKなわけです。



 というように、厳しい時間制限があるCMでは、出す情報を『企業名』『商品名』『価格』『発売日』『キャッチコピーなど』などとことん絞ります。(場合によっては上記の候補からも幾つか省略することもあります)

 詳しい商品の解説は、他の宣伝――この後で紹介する『広報』『店舗広告』に譲ってしまうのです。

 現在のインターネット中心の環境においても、「お、この商品気になるな」と後で情報を検索してもらう(バナー広告であればクリックしてもらう)のが狙いなのであって、CM内で詳しい商品説明をする必要はないでしょう。(※1)



● 店舗広告 ●

 その名の通り、店頭で見ることができる商品情報を指します。

 残念ながら数を減らしてしまいましたが、ゲームショップへ行くと、新作ゲームの紹介ムービーが流れていたり、ポスターが貼られていたりしましたよね。


 なぜなら専門店に入るお客さんは、購入に対しての意欲が高く、また込み入った説明にも耳を傾けてくれる人が多いからです。

 よって店舗広告では、商品の具体的な説明を行うのが目的となります。


 むしろ購入の可否を検討しているわけですから、詳しい商品の特徴・セールスポイント・どんなキャラクターが登場するのか、などなど濃い情報を提供する方が喜ばれます。そういう意味では、CMとはかなり対照的。

 CMが商品購入に至る道筋の入り口――とりあえず興味を向けてもらう、あるいは記憶に爪痕を残してもらう、だとすれば、店舗広告は道筋の後半戦。購入を決定してもらうまでの、説得の段階と言えるでしょう。


 昨今はコロナ禍ですし、店舗広告自体は発信しにくくなりましたが、


・まずは、興味を持ってもらう(CMのこと)

        ↓

・後半で具体的な魅力を伝える(店舗広告のこと)


 この流れは廃れず、多くの商品展開に応用されています。


 例えば、商品のパッケージ。人目に触れる【表面】はシンプルかつ、大きなイラストや商品写真を分かりやすく表示して注目を集めるようにしてあります。

 対して、【裏側】は具体的な内容や、細かなセールスポイント、スペック(食品なら成分表、パソコンソフトなら必要なマシンスペック)が記載されているものです。


 『まず表面に注目してもらって、手に取ってもらう』

               ↓

 『その後に裏面を読んでもらって、商品の魅力を細かく知ってもらう』


 という流れを想定しているのは明らかでしょう。

 一説には、人は第一印象を0.5秒で決めているといわれています。だからこそ、まずは選んで手に取ってもらえるようにパッケージの表面はインパクト重視で……といった具合です。


 インターネット媒体に置き換えれば、バナー広告も該当しそうですね。


 『バナー広告をクリックしてもらう』

        ↓

 『ジャンプして、オフィシャル商品ページで詳しい説明を行う』


 といった流れです。クリックしてもらえさえすればミッション成功なので、極論、バナーでは売り込みたいサービスに触れる必要すらありません。(※2)


 選択心理学においても、最初はシンプルに。込み入った情報は後半に見せた方が、最後まで説明について来てくれることが実験で分かっています。(※3)

 お笑いと同じで、サービスの紹介でも、つかみは判りやすくシンプルにするのが定石なようです。



● 広報 ●

 新聞・雑誌・TV番組といったメディアにサービスを紹介してもらうために、各社に情報を提供することを広報といいます。

 『CM』や『店舗広告』が消費者に直接アプローチするのに対して、『広報』ではメディア企業を仲介して、アプローチすることになりますね。

 広報を成功させるコツは、記事等のネタになる情報を多めに用意すること。


 例えば映画の場合、試写会という場をセッティングして、そこに記者や評論家を呼んで記事にしてもらいます。

 さらにこの時、配られるパンフレットは、従来のものの豪華版といえるもので、出演者のインタビューを始めとする記事するためのネタを、追加で盛り込んでおくそうです。


 出版社・TVメディアは新しい情報をとみに好みます。

 すっかり衰退してしまいましたが、私がディレクターとして活動していた美少女ゲーム業界では、『新規に露出するイベントCGを●●枚程度用意すれば、雑誌の紹介記事が見開きで2ページ取れる』というような、法則が語り継がれていました。


 美少女ゲームにとって、カワイイキャラクターが描かれたイラストこそが花。

 記事に載せられる【新しい】魅力的なイラストが、たくさんあればあるほど、出版社も記事にしやすいわけで。記事の面積まで変わってしまうわけですね。


 ただし、ここで注意したいのが、昨今ではメディアも人手が足りないこと。短時間で記事を作るために、「メーカーが提供したテキストを、そのまま引用・コピー&ペーストしてしまう」ことも多いわけです。

 数十ページにわたる詳細資料だけを、メディアに渡すと、要点が定かでない、情報過多な記事ができ上ってくる恐れも否めません。


 そこで私はこの二律背反を解消するために、


・本資料:そのまま引用してもらえばOKなつくり

・補足資料:こぼれ話や、細かな設定を盛り込む


 の2つを広報資料として、セットで出版社に渡すようにしていました。

 なにせ、諸経費はかかるものの、雑誌で記事を載せてもらうだけなら『無料ただ』です。前述のCMや、後述の雑誌チラシ・広告は出稿料がかかってしまいます。

 無料で記事が大きくなるならば手間を惜しまず、メディアが扱いやすくなるような工夫を加えるのが道理であり、礼儀ではないでしょうか。



● 雑誌チラシ・広告 ●

 有料で行う折りこみチラシや、出版物に載る広告が該当します。

 この宣伝のメリットは、アプローチする人・地域を絞りやすいことでしょうか。


 地元のスーパーであれば、店舗の周りに配られる新聞にだけ折りこみチラシを入れることで、効果を最大効率化できますし。ゲームの広告であれば、当然、ゲーム雑誌に出稿すれば、ゲーマーの目に触れやすくなります。

 女性向けのファッション誌であれば、年齢別にかなりの雑誌数があるようですから、特定のパーソナリティを持っている方にピンポイントにアプローチできそうですね。

 新聞への折り込みチラシだと、反響率は0.01~3%だそうです(めっちゃ、差が幅広いな!)。


 欠点としては、効果が3日程度しか続かないこと。

 出版物は繰り返し読むものだから、もっと効果が続くという主張も見たことがあるのですが、私の経験則でいえばやはり3日程度。


 私が試した範囲でも、広告が掲載されて3日間は、商品の公式ホームページへのアクセス数はアップしたものの、その後は通常のペースに戻るようでした。

 もっとも、そうやって雑誌広告を見て、わざわざネットで情報収集をしてくださる方は、かなり購入意欲が高まっていることでしょうから。そういう濃い優良客を獲得するという点では、メリットはあると思います。


 また、広告を出稿すると、その雑誌での扱いが良くなり、紹介記事が1ページ→2ページに拡大される、という嬉しい副産物もありました。なにせ広告を出稿するということは、出版社に出稿料を払っているわけですから。

 広告は、その手の有利な条件を引き出すための接待費の一環とも解釈できるでしょう。


---


 さて、こうして古典的な【CM】【店舗広告】【広報】【雑誌チラシ・広告】という4つの宣伝方法の長所を見てきましたが。

 冒頭で述べた通り、軽く触れるにとどめますが、近年の傾向を読み解くのに重要なキーワードは、【口コミ】【コラボ】【動画広告】ではないでしょうか。


 メーカーが発信する情報や、雑誌の記事は、良くも悪くも『サービスの長所が目立つよう』忖度されるものです。

 そのため、中立の立場でものを見ている(はずの)一般人から発信された【口コミ】の方が信頼できる、と考えるのは自然なこと。


 また、自分が推している芸能人やYoutuberが勧めていれば、買って試してみたくなるというのも当然の心理でしょう。『PRである』ということを明記した上で、インフルエンサーと呼ばれる方々に宣伝してもらうようなコラボ企画も増えて久しいですよね。(※4)


 なお、先日、幾つかYoutuberさん自らが発信していた『コラボしやすい宣伝』についてをまとめた動画を拝見しました。条件を私なりに解釈してまとめてみると、


・自分の活動(Youtubeチャンネル)、ファン層と合っている

・自由度が高い

・ネタにしやすい


 あたりが挙げられていたでしょうか。

 【ネタにしやすい】という点であれば、【広報】で触れた、

 『新しくてネタになりやすい追加の情報を用意しておく』


 と、著名人・Youtuberさんサイドも協力に応じやすいかもしれませんね。


 最後に【動画広告】について。

 大手の動画投稿サイトYoutubeでも動画視聴のたびに動画広告が再生されます。

 そこで、Youtubeのシステムを基準に考えますが、最初の6秒あるいは15秒が再生された時点で、視聴者の操作によりスキップされてしまう可能性があります。


 古典的な【CM】の手法に従えば、スキップされる前の最初の6秒が勝負で、


・記憶に爪痕を残す

・検索し、またお店で商品を探せるように、『名前を印象付ける』

・好印象のイメージで終える


 するのがポイントになりそうだと、私などは類推するのですが…。

 実際はどうなんでしょうか。


 『ジャスコ、夏の8日間肉祭り、開催中!』

 と、6秒間で述べておけば、お腹が空いた人、肉好きの人は、ジャスコに行くでしょうし。


 『おせちの準備済んでる? コンビニで』

 と、6秒間で述べておけば、別の要件でコンビニに寄ったときに「そういえば、ここ数年、おせち食べてないなぁ」と、関心を刺激できるかもしれません。


 対して、Youtube独特の傾向といいますか――動画を途中でスキップさせたくないのか、結論を最初に述べず、もったいぶってあえて最後に述べる。という作りのCMも散見されます。


 再生時間を稼ぎたいのであれば、確かにスキップさせないことに全力を注ぐ、という選択肢もなくはなさそうですが……あの手法は上手くいっているのでしょうか?


 Youtubeの動画広告に特化した広告代理企業もあるようですし、ぜひ、有識者にご意見を賜りたいところではあります。


■ 今日のまとめ ■

・【CM】は、記憶に爪痕を残して、ふと後で思い出してもらうのが目的

・【店舗広告】は、興味がある人に詳しい説明をするのが目的

・【広報】では、メディアが記事にしやすいようにいっぱい情報を用意する

・【雑誌チラシ・広告】は、効果は3日ほどである種の接待費



(※1)

 ただし、CMしか見ていない視聴者は、CMから受けた印象のみで、そのサービスに対する印象を決めてしまいます。

 CMのみ視聴した人にも嫌悪感を頂かれないような、気遣いは必要だと思います。(あえて、悪評も評判と捉え、物議を醸すCMを流す戦略もあることはあるようですが)


(※2) バナー広告

 私の経験だと、『悪堕ちゲーム』を作った時の反応が良かったです。

 悪堕ちゲームとは、【清純だった正義のヒロインが、洗脳など何らかの方法によって、妖艶な悪のヒロインになる】のを楽しむ作品群のこと。

 姿まで、えろろーんに変わってしまうヒロインの様=立ち絵の変化を楽しみます。

 そこで、ターゲットのお客様の興味を引くために、

 『9種類もの悪堕ちパターンがあるよ』

 『↑の立ち絵の体の一部分を、アニメーションで見せる(胸、お尻、口元とか)』

 『オフィシャルホームページで、最新の悪堕ち立ち絵を公開中!』


 という情報を乗せ、『詳しくはここをクリック!』と促すバナーを、1か月公開。


 商品の購入を決意させるより、とにかくバナーをクリックして、リンク先のホームページに来てもらうことに狙いを絞りました。が。これが、プチヒット!


 従来のクリック数が、『10』だとすると、倍にあたる『20』を達成しました。


(※3)

 オーダーメイドの車を発注するサービスでのこと。

 そのサービスでは、エンジンは3種類から、ハンドルは9種類から、シートは6種類から……というように、パネルに表示されるパーツの候補から自由に選択して、自分だけの組み合わせの車を注文できるようになっていました。

 そして、


1:エンジンは3種類から、シートは6種類、ハンドルは9種類から

2:ハンドルは9種類から、シートは6種類、エンジンは3種類から


 というように2パターンの操作順序を用意したところ、2番の方が途中で飽きてしまい、注文するのを止めてしまう人が多かったそうです。


 最初のうちは選択肢は少ない方が良い。

 紹介の入口では情報量を抑えた方が、購買につながるという根拠に数えられています。


(※4) インフルエンサー

 発信力がある人のこと。著名なYoutuber、ブロガーなど。


【自己紹介 板皮類 学名:ニョロリマス・オパーイスキー】


 ばんぴるいと読む。美少女ゲーム業界で14年。

 その後、一瞬だけソーシャルゲーム業界にいた、元企画屋&シナリオライター。

 毎週、新作エロゲを300円で8週間連続発売するなど、コンフォートゾーンから飛び出す、変わり種企画が持ち味だった。

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