45. 目標は17個も立てるものじゃない
【第45-46回 2022.2.1】『目標は17個も立てるものじゃない』 前後編を配信
【挫折しない!】
【目標の立て方と、適切な数について】
近年、にわかに注目されるようになった単語に『SDGs -接続可能な開発目標-』があります。
2015年に国連サミットで可決されたもので、Sustainable Development Goalsの略称。自然・エネルギー・経済・生活環境・貧富の差など多岐にわたる、2030年までに世界規模で達成を目指している国際目標です。
そして日本も国連の加盟国の1つですので、当然、挑戦中。学校の授業で取り扱われたり、SDGsに取り組む企業も増えたりと、要注目なキーワードなわけですが。
具体的に、SDGsはどんな内容の目標となっているのでしょうか?
・1:貧困をなくそう
・2:飢餓をゼロに
・3:すべての人に健康と福祉を
・4:質の高い教育をみんなに
・5:ジェンダー平等を実現しよう
・6:安全な水とトイレを世界中に
・7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
・8:働きがいも経済成長も
・9:産業と技術革新の基盤をつくろう
・10:人や国の不平等をなくそう
・11:住み続けられるまちづくりを
・12:つくる責任 つかう責任
・13:気候変動に具体的な対策を
・14:海の豊かさを守ろう
・15:陸の豊かさも守ろう
・16:平和と公正をすべての人に
・17:パートナーシップで目標を達成しよう
以上、17個。さらに各項目はターゲットと呼ばれる小さな目標に細分されます。『1:貧困をなくそう』ですと、下記の7つのターゲットがあります。
・1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
・1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
・1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
・1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
・1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
・1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
・1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
こんな調子で、全体だと計169個のターゲット = 小さな目標が定義されているわけですが…。
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うん、多すぎね?
紹介しておいてなんですが、オツムが強くない筆者の脳みそはさっぱり入ってきません。すごく、大切なことが述べられているはずなのになぁ…‥。
本連載の記念すべき第1回目、
【1.『コロンビア大学のジャムの実験』】
https://ncode.syosetu.com/n8509ft/1/
でも、述べましたが人間は、マジックナンバー7±2といって5~9個以上の要素を見せられると、一度には記憶できないので拒絶反応が出る。最新の研究ではもっと少なくて、マジックナンバー4±1――3~5が許容できる限界であるともいわれています。
ともあれ、17個なり169個の情報を一度に見せられると、頭に入ってくれません。
ましてや人間の脳は、マルチタスクが苦手と言われています。
マルチタスクとは同時進行で作業を行うことを指しますが。2つの作業を同時に行う場合、作業効率は50%と50%に分かれるのではなくもっと下回る。それぞれが40%とか45%(←数は一例)とかまで効率が低下してしまうそうです。
17個の場合だとすると、単純に100%を等分すると5.9%ずつではありますが、実際は2%とか3%とかの力に減弱? 【1.貧困をなくそう】みたいなある種の人間史における究極の課題が、その程度のリソースで解決できるわけがありません。
それを受けてか日本政府は、SDGsの17個の目標から、【8つの優先課題(※1)】に絞って取り組んでいますが、それでも多い多いよ…。
なんで、こんなことになったのか…。
ここからは予測になるのですが、SDGsは名前こそ目標となっていますが、その実、『近年中に解決しなければならない問題点を網羅したものだから』だと私は考えています。
『1:貧困をなくそう』は、世界人口の10%が貧困層であることを踏まえての、問題提起。
『2:飢餓をゼロに』は、2018年時点で世界人口の9人に1人が飢餓の危機にあるとされていることから。
『3:すべての人に健康と福祉を』は、アフリカ諸国を中心にケアを受けられる人と受けられない人の医療格差が残っていることを念頭に置いている。
と、いった具合にSDGsの1~17番まで、先行する問題があって。それを積極的に無くそうという文面に言い換えられているのではないでしょうか。
また、ターゲット(小さな目標)であれば、
・1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
・1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
etc.…と、あくまで各国に対して、【こういう国を目指しなさい】という視点が終始、書かれています。じゃあ具体的にどうやって取り組めばいいの? と、問うてもSDGs自体は何も答えてくれません。
1.1であれば、解決の方策として、以下のように取れそうな戦略は様々。
・高所得者への課税を増やして、困窮者救済に当てるよ
・必要な人に対して生活保護の利用を促すよ
・求職者へのハローワークでのサポートを強化するぞよ
・定職に就けない人に対する職業訓練を強化しちゃう
ここから関係者が話し合って【どれとどれの戦略を採用するのか】計画を練らないと、足並みをそろえての行動には移せませんね。
こうしてみると、SDGsは、【我々、個人や企業がすぐに取り組める目標】というよりは、【細かな目標を決めるための参考用】【世界を悩ます課題を列挙したよ】【目標を立てる前段階の情報だよ】と定義した方がいい気がします。(※2)
後述しますが、問題点を列挙するというのは、それはそれでとても大事な手順ではあるのですが、まだ計画を煮詰めていく中途の段階。
実用的な目標にするには、いくつかの手順を経る必要がありそうです。
続きの投稿で、【じゃあ目標ってどうやって立てれば実用的になるの?】ということを考えてみたいと思います。
■今日のまとめ■
・SDGsは国連サミットで決められた、2030年までの達成を目指す、国家・世界規模で考えなければならない目標(問題点)を列挙したものだよ。
・17個の大目標と、169個のターゲットと呼ばれる小目標で構成されているよ。
・一個人や、企業レベルだとそんな多くの課題には一度に取り組めないので、もっと練り込んだ方がいいと思うよ。
(※1) 日本政府が定めた8つの優先課題
<People 人間>
・1. あらゆる人々の活躍の推進
・2. 健康・長寿の達成
<Prosperity 繁栄>
・3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
・4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
<Planet 地球>
・5. 省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
・6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
<Peace 平和>
・7. 平和と安全・安心社会の実現
<Partnership パートナーシップ>
・8. SDGs実施推進の体制と手段
(※2)
SDGsは課題を列挙したものですが、それだとネガティブな印象が付きまとうので、目標とかゴールとかと言い換えたんじゃないかと予測しています。
【自己紹介 板皮類 学名:ニョロリマス・オパーイスキー】
ばんぴるいと読む。美少女ゲーム業界で14年。
その後、一瞬だけソーシャルゲーム業界にいた、元企画屋&シナリオライター。
毎週、新作エロゲを300円で8週間連続発売するなど、コンフォートゾーンから飛び出す、変わり種企画が持ち味だった。




