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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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シャドウマジック

作者: ちゅちゅ

「あーねむてー」

大卒フリーターの俺はバイト帰りぼやきながらよくある駅前の商店街を歩いていた。

もちろん時間なんてものは夜中に近いのはいうまでもない。

「そういうなってイツキ、明日は楽しみがあるだろう」

となりを幼馴染兼遊び仲間のソウタが気軽に話しかけてくる。

まぁ幼稚園からの幼馴染で今でも一緒に居られるなんてのは珍しいことかもしれないが、この世の中そこまで簡単に友達なんて出来るわけがない。

方や大手企業に勤めて黒髪オールバックのメガネイケメンスーツ姿かつ細マッチョで、方や金髪のちゃらいアクセサリーつけて未だにジーンズとシャツという目つきの悪いフリーターという差があるが。どっちがお前だってうるさいよ、言わなくても察しろよ。

「まぁ明日は青系のデッキだろーな、アグロがメインなんで割とメタった感じにすればそこそこみけんじゃね?」

「なるほどね。相変わらず外見に会わずに環境分析とかしてるね。もう少し真面目に就職すればいいだけの知能はあるのにもったいない。ちなみに俺は赤系アグロだけどね」

街行く通行人からちょいちょいみっともないものを見たような顔されるが、そりゃ意味のわからん単語を連発してるんだから仕方がないだろう。俺たちが話をしてるのはシャドウマジック。世界初のカードゲームにして最大規模の大会とプロ制度を運営している唯一のゲームだ。このゲーム、奥深いこと奥深いこと。多分まともに説明しようとすると何日あっても時間が足りない。

大雑把にいうとプレイヤーは魔法使いとなって、青、赤、白、黒、緑の色ごとのテーマを使ったデッキと呼ばれる山札をお互いに作りあってそいつを使って相手を先に倒した方が勝ちっていうものだ。その中の専門用語にアグロ=早くに軽い魔法で勝つデッキというものがあったりする。

まぁ小難しいことはおいておくとして明日はそんなシャドウマジックの日本ファイナルズという国内最強を決める大会であり、優勝者には日本一の名誉と共に世界大会への出場権が貰えるという一年で一度しかないものなのだ。

「まぁイツキのフリーターもこの日のための先行投資だし、僕も応援するさ。といっても対戦することがあれば手加減はしないけどね」

歯がキラリと光ったのは気のせいじゃないだろう。ほんとこいつとは気があうけどなんで俺なんかと付き合ってくれるのかなって思うときもある。勉強も大してできなくてカードゲームを人生に使ったなんて社会から見れば底辺まっしぐらじゃん。

「サンキュー。任せろよ今回は自信あるから。今年こそは優勝して賞金を手に入れて一人暮らしするんだから!」

「優勝の目的が一人暮らしって…」

「お前25のフリーターなめんなよ。うちの親なんて、俺をいつまで養うかっていつも揉めてるし、妹なんぞはゴミ見るみたいだし。居心地悪いんだよ」

「ごめん、ごめん。じゃあ、一人暮らしと世界選手権出場を目指して頑張ろうね」

にこやかに握手の右手を差し出すソウタを見て、さっきまでの毒気を抜かれた俺はちょっと罰がわるそうにしながら手を差し出した。

そしてその直後に車のライトを直視する羽目になり

さらには凄まじい衝撃と共に今度は視界が暗転するという経験と共に意識を失ったのだった。

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