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75話:神獣化から落下が始まりそうです

 トリマーの魔力はペネムエへの攻撃ですでに枯渇していた。


 「魔力の無い天使に戦闘能力はありません。

 決着のようですね」


 「ブリューナクが無ければ、お前の魔力がとっくに尽きていたくせに!! 偉そうにするな!!」


 激高したトリマーは収納魔法で空間に小さな穴を開け、中から小瓶を取り出した。


 「それは……」


 「確かに無尽蔵に冷気を操るブリューナク相手では、私の魔法は相性が悪い。

 ですが、せめてメイジ様が確実に勝利を納めれるまで、追いつめてみせます!!


 まぁメイジ様が敗北するはずはありませんが、ブリューナク相手では無傷とは行かないでしょうからね」


 そんな事を言いながら、トリマーは小瓶を頭上で砕き頭から瓶の破片ごと液体をかぶった。


 するとトリマーの姿は白く美しい毛の白い虎へと姿を変えた。


 「やはり聖水……天使の魔力の聖の純度を無理やり引き上げる事で、女神アテナ様と同じ神獣化を可能にしましたか……」


 ペネムエが状況を見極めている間に、トリマーは鋭い爪で襲い掛かって来た。

 白い虎となっているトリマーだが、爪は禍々しい紫色をしている。


 「神獣化と言っても、変わらず毒の付与攻撃、それならば手数の多い針での使用の方がヒットが見込めると思うのですけどね」


 ペネムエはブリューナクで巨大な氷の壁を生み出し、毒の爪を防いでみせた。


 「なっ!!」


 しかし氷の壁は一瞬でドロドロと溶かされ、神獣となったトリマーの爪はペネムエの顔、数ミリの所まで迫って来た。


 何かを砕くような音が辺りに響き渡る。


 「ふぅ、まさかブリューナクの魔力すら侵食してしまう程の毒とは……」


 それでもペネムエは間一髪の所で、瞬間移動でトリマーの真後ろに回り込んでいた。


 「っと、回避で安心してはいけませんね。

 【アイス・ファング】」


 トリマーの足元に出現した薄青色の魔方陣から氷の牙が出現し、トリマーを飲み込むように口を閉じた。

 だが、氷の牙は粉々に破壊され、トリマーが飛び出し脱出してきた。


 「まぁ神獣化を中級魔法では止めれる訳はないですよね」


 ピンピンしている相手に動じる事無く、アイス・ファングを再び発動させた。

 何度も繰り返し放ち続けるが、神獣化したトリマーにはダメージを与えられない。


 「ぐぉーーーーー!!」


 「やはり無理に神獣化したので理性は失われてしまっていますか」


 アイス・ファングを毒の爪で溶かしたり砕いたりしながらペネムエを引き裂こうとしてくる。

 理性が失われてしまっているので目の前の動く物を全て破壊しようとしてくる。


 トリマーの乱暴な攻撃を、紙一重でヒラリとペネムエは交わしている。


 「おっと、テレビで見たポリキュアのヨケール婦人という敵の真似をしてみたのですが、上手く行かない物ですね……」


 後ろに下がりながら攻撃を交わしている内に、足元がよろけ転びそうになってしまった。


 「ぐぅぅぅぅ」


 「ふざけた動きで回避されて怒っていますか?」


 トリマーの爪を、今度はブリューナクで受け止め、鉄と鉄がぶつかるような高い音が響き渡る。


 「肉体が強くなろうと、耐性が無ければ生物としての性質は変わりません。

 ましてトリマー様の属性は鉄が強い。体は冷えやすく冷えれば生き物は動きが鈍くなります」


 ペネムエは落ち着いた口調で話しながら、ブリューナクで1撃1撃を丁寧にさばいていく。


 「理性を失った相手に説明しても虚しいですね……決着です!!」


 トリマーが右前足を振りかぶり一番高い位置に来た所を見計らい、瞬間移動をして懐に入り込んだ。


 【パワパワー】


 さらに呪文を唱えトリマーの左足を持ち上げる。

 この段階では軽くバランスを崩した程度で、持ちこたえそうにも見えたが、着地した足元はブリューナクによりツルツルに凍った床、加えて砕けて小石のようになったアイスファングの破片が転がっていた。


 トリマーは着地と同時に、ゴロゴロした小石を踏み魔法列車から雄たけびを上げながら滑り落ちてしまう。


 「安全装置で揺れない車両でうまく行くかは掛けでしたが、綺麗に落ちてくれましたね。

 やりすぎた気もしますが、列車で戦闘を前提にした試験な以上は、天界か安全な世界に転送されるでしょう……」


 ペネムエは世界の狭間を、どこまでも落ちていくトリマーを見下ろし勝利を確認すると同時に気を引き締めるのだった。


   


 

 *****






 その頃、魔法列車内部では今もなおペネムエの捜索が続いている。


 「人形は忌々しい事に天界図書館の全ての魔法を記憶していると聞きます!! どんな卑怯な魔法で姿を隠しているか分かりません!!

 こちらも、あらゆる手を用いて探し出し……」


 トリマーの仕えるメイジが、この場にいる天使を鼓舞しようと大声を上げていると窓から白い塊が落下していくのが見えた。


 「あっあれは……」


 メイジはハッとした様子で窓を開けて下を見ると、すぐに神獣化したトリマーだと分かった。


 「トリマー……上か!!」


 そのまま上を睨むとペネムエと目が合った。


 「よくもトリマーを!!」


 「わたくしも『異物を排除せよ』に取り掛からせて頂きます!!」


 ペネムエはメイジと目が合った瞬間、魔法列車の中に瞬間移動していた。


 ペネムエのブリューナクとメイジの杖がぶつかり、辺りに魔法の衝撃破が発生する。


 「人形のくせに!!」


 「それでも帰りを待ってくれている方がいるので負けません!!」

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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