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43話:朝から人類の危機が始まりそうです


 日曜の朝、ペネムエはある物を一点に見つめていた。


 「こっこれは……翔矢様にもお伝えしなければ……翔矢様!! 起きてくださいまし!!」


 ペネムエはベットでまだ寝ている翔矢の体を揺さぶりながら起こす。


 「ペネちゃん。おはよう。ごめんごめん。いま朝ごはん作るから」


 休日とはいえ珍しく遅めに起床した翔矢は、慌てて起き上がる。


 「それどころではありません!! 人類滅亡の危機が迫っているのです……」


 「……え?」


 いつになく深刻なペネムエの表情を見て、翔矢は一気に目が覚めた。


 「これをご覧ください!!」


 ペネムエは翔矢の目を見つめたまま、テレビを指さした。


 「ん?」





 *****


 





 「ふはははは!! ポリキュアも今日で最後だ!!」


 パワーアップしたらしい吸血鬼との戦いで、色とりどりの衣装を身にまとった4人の少女がボロボロになり倒れている。


 「そんな事ないポリー!! ポリキュアは負けないポリー!!」


 リスのような姿の妖精が泣きながらポリキュアの周りをフワフワと飛んでいる。


 「目障りな奴だ。まずは貴様から始末してやろう」





 *****





 

 「こうしてはおれません!! 吸血男爵は写メスタ映えする物をこの世から消し去ろうとしています。魔法が使えないわたくしなど、どこまでポリキュアの力になれるか分かりません。しかし天使としてこの事態……放っておく事はできません!!」


 「おう!! って違う!!」


 勢いに流されてしまいそうになった翔矢だったが、慌ててペネムエを引きとめた。


 すでに、マジックラウドに乗って窓から外に出る寸前の所だったが、マジックラウドの後ろの先っぽを何とか捕まえて引き留める事が出来た。


 「作り話ですか?」


 翔矢から事情を聞いたペネムエは、少し恥ずかしそうにした。


 「そうそう。異世界にテレビは無いかもだけど、小説とか舞台とかならあるでしょ?」


 「なるほど。理解しました。つまりポリキュアは存在しないのですね……」


 ペネムエは今まで翔矢に見せたことのない暗い表情になってしまった。


 「あっ。なんかごめんなさい」


 すごく申し訳なく感じた翔矢は思わず頭を下げて謝る。


 「いえ……平和に越した事はありませんので」


 そう言ったもののペネムエの表情は暗いままだった。


 「あっ!! そろそろポリキュア終わるよ!!」


 「えっ?」


 話している内に番組も終盤に差し掛かっていた。ペネムエがテレビの前に正座すると、翔矢も釣られて隣に座る。






 *****






 「なっ何だ!?」


 あと一歩の所までポリキュアを追い詰めた吸血男爵だったが、止めを刺そうとした瞬間、4人のポリキュアの前に眩い光が現れた。光が徐々に弱まると4つのステッキが現れポリキュアたちはそれを手にした。


 「これは伝説の『グランドクロステッキ』ポリー!!」


 現れたステッキにリスの妖精も飛び跳ねて喜ぶ。


 そして番組もクライマックス。


 「「「「ポリキュア!! グランドクロスフィナーレ!!」」」」


 「馬鹿な……この私がぁぁぁぁぁ!!」


 4人のポリキュアは新必殺技で吸血男爵に勝利したのだった。





 *****






 「やりました!! ポリキュアの勝利でございます!!」


 今まで静かにテレビを見ていたペネムエが急に立ち上がりハイテンションでパチパチと拍手をする。


 「そっそうだねぇ」


 ペネムエのテンションに若干押されてしまったが、実は翔矢もかなり楽しんで見ていたのは内緒だ。





 

 「ポリキュアグランドクロステッキ本日発売!!」


 番組が終わった所で今日ポリキュアが手に入れた新武器のCMが入った。そのCMを見ながらペネムエは自分のポーチからカードを取り出した。


 「翔矢様。ちょっと買い物に行って参ります」


 「えっ?」


 何を買いに行こうとしているのか容易に想像ができる。


 「先日ちょうどお給料が入りましたので……」


 ペネムエは大事そうにカードを持って恥ずかしそうにしている。


 「そっか。天界から仕事で派遣されてるんだもんね。やっぱり給料とかあるんだ」


 「はい。現金でなく天使マネーで支給されてますが」


 「電子マネー?」


 「天使マネーでございます」


 「電子」


 「天使……」


 「あっはい」


 この後、少し話を聞いたがお金の性質的は電子マネーと同じくキャッシュレス決済らしい。天使は昔からこの世界にも来て文明の調査などをしていた。


 人間に紛れて働く天使が増えるにつれ、ペネムエのように人間界の職に就いていない天使も人間界のお金と同じく使えるものを支給される制度ができてきたらしい。


 「クレジットカードというのが使える商店ならば天使マネーが使えるみたいですがどこで購入できますかね? グランドクロステッキ」


 「うーん。見ての通り田舎町だからな。隣町の駅前とかまでいかないと売ってないと思う。一緒に行く?」


 「いえ。翔矢様はせっかくのお休みですし、わたくしもノーマジカルに慣れてきたつもりです。たまには姿を隠さず1人で町などを見て周りたいです」


 「そっか」


 ペネムエがノーマジカルに来てから1か月近くになるが、いつも姿を消しているので翔矢以外の人間とはほとんど交流がない。買い物程度でもほかの人間と触れ合いたいと思っていた。


 それに四六時中翔矢といるのが少し申し訳なくもあった。


 「では行ってまいります!!」


 「いってらっしゃーい」


 挨拶をするとペネムエは窓からマジックラウドで出て行った。


 「って姿消してないのに空飛んでいいのか? まぁ乗ってるの雲だし大丈夫か……な」


 部屋に1人になった翔矢が掃除などをしようとすると、ペネムエのポーチが机に置きっぱなしなのを見つける。



 「まぁ……お金というかカードは持って行ってたし買い物は平気か……あっそうだ」


 翔矢は通信用の魔法石で連絡してみた。しかしペネムエの魔法石はポーチに入れっぱなしなのか応答がない。


 「気が付けば戻って来るかな」


 他に連絡手段も思いつかないのでそのまま掃除を続けた。






 *****





 翔矢の剣道部の先輩であり北風エネルギーの協力者でもある渡辺健吾は翔矢の家を、他の家の陰から見張っていた。


 「ターゲット確認っと……空海山で見たエロいのとは違うのが出て行ったな」


 健吾はペネムエが翔矢の家の窓から雲らしき物に乗って飛び出して行くのを見つめながらつぶやく。


 「ありゃ徒歩で追跡するのは無理だな……後はこっちの支部の奴に頼むか」


 スマホで誰かに連絡を入れるとこの場を去っていく。


 「まぁ翔矢にバレると学校で面倒だし、まだ動くつもりもなかったけどな」

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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