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42話:会議から兵器が始まりそうです

 翔矢の剣道部の先輩である渡辺健吾は、東京に来ていた。『北風エネルギー』という看板の掲げられたビルの中に入って行く。


 「兄貴ぃ。こんな遠くまで呼び出すんじゃねぇよぉ~。 田舎者には都会の空気は毒だぜ」


 健吾は『開発室』と書かれた一室に入るなり小言を突いた。


 「すまなかったな。だが大事な話だ。お前にも直接会って伝えたかった」


 健吾の兄、渡辺蓮は25歳だが、大企業北風エネルギーの開発部主任を務めている。堅い性格だが健吾を見ると少しだけ表情が和らいでいる。


 「まぁタダで東京観光できると思えば歓迎なんだけどなぁ~。帰りにメイド喫茶に行くとするかぁ」


 


 ドォーーーーーン




 メイド喫茶に行くのを今から楽しみにして鼻の下を伸ばしていると、目の前の会議用の机が木端微塵になった。


 「ひっ……」


 健吾の前には人の背丈ほどもある大きなけん玉を持った少女が立っている。少女は健吾の目の前のテーブルをけん玉のハンマー部分で叩き砕いたのだ。


 「危ないじゃねぇか!! びっくりしたなぁ」


 「そうね。ごめんなさい。次はビックリする前に頭蓋骨を砕けるように頑張る」


 「本気じゃないよな……?」


 健吾は冷や汗を流しながら小声でつぶやいた。


 「こんな変態が本当に蓮……主任の弟なの?」


 「恥ずかしながらな……」


 「兄貴も鈴もいいかげんにしろよ……? それとも俺を消すために呼んだのか?」


 けん玉で攻撃してきたのは斎賀鈴。年齢は翔矢と同じだが中卒で北風エネルギーに就職したので、健吾と違い正式な社員だ。


 「君たちのコントは見飽きないんだけど、話を進めてくれないかなぁ?」


 「ドクター? 研究所で引きこもってるあんたまでここにいるってことは完成したのか?」


 開発室の隅にいる、みんながドクターと呼ぶ丸メガネの男。30代前半だと健吾は思っているが白髪がかなり目立つ北風エネルギーの研究者だ。


 「あぁ。君が海空山だっけ? あそこで君が見つけてくれた石のお蔭で開発が進んだよ。エクセレーーーントな働きだね」


 ドクターはそう言うと立ち上がり、健吾に赤い星のキーホルダーを手渡した。


 「おっさんからアクセサリーもらう趣味はないぞ? せめて1回鈴ちゃんに渡して、鈴ちゃんが俺に渡してくれ」


 「砕くよ?」


 「ごめんなさい……」


 「そのデザインは私の趣味だけどね。まぁ掲げながら『リアライズ』と大きな声で言ってみてくれたまえ」


 「その掛け声本当に必要なんだろうな? 『リアライズ』」


 健吾が言われたままにやってみると、キーホルダーは赤いビームが放出してるビームサーベルへと姿を変えた。


 「おぉ!!」


 「気に入ってもらえたかな?」


 「武器はいい。武器はいいんだけど普段のキーホルダー状態と掛け声何とかならんのか?念じれば出てくるみたいな」


 「念だけというのはまだ技術的に無理だねぇ。人工的に魔力を生み出すことと、それの圧縮と加工に成功しただけだからねぇ」


 「ちぇっ。俺も鈴ちゃんみたいな武器だったらなぁ」


 「『アモンキューブ』は鈴にしか使えん。だからこそドクターの開発した人工魔力と武器が必要なんだ」


 武器の出来というか使い方に納得のいかない健吾を蓮がなだめる。


 「武器じゃぁ締まりがないなぁ。そうだ!! 『マジギア』と名付けよう」


 「マジ……まぁ名前は開発者の好きにするといい」


 一瞬曇った表情をした蓮だったが、ドクターの付けた名前を採用することにした。




 「それはそうと、鈴ちゃんのは、古代の遺跡から発見された、人類滅亡の危機に対抗できる兵器……だっけ?」


 「あぁ。近いうち人類は魔力を持つ生命体『ウィザリアン』によって必ず滅びの危機を迎える。それに対抗する力だ」


 漣はいっそう真剣な顔つきで話す。


 「だが心配はいらなよ。健吾君が海空山で見つけた石とアモンキューブを解析したお陰で、マジギアを開発することができたからねー」


 ドクターはデスクの椅子をクルクル回しながら内容にそぐわない陽気でご機嫌に語る。


 「あぁ。よく完成させてくれた。だが楽観視はできんぞ。健吾が見つけたのは魔法の石だけではないからな」


 明らかに不謹慎なドクターの態度を特に咎めず話は続けられる。


 「魔力を持つ人に似た生命体……いよいよウィザリアンと戦う時が来るのね」


 鈴は巨大なけん玉を話しながらも、いとも簡単に振り回す。けん玉の剣先に見事に玉が刺さる。


 「それも恐らく2体以上な。見たのは1人だが、おっぱいの大きさが違ったから間違いない」


 鈴だけが健吾の報告に、とてつもない嫌悪の表情をしたがその後も会議は続けられた。


 「……という訳だ。マジギアの量産は進んでいない。今は健吾と鈴に対応してもらう他ない」


 「この変態と一緒には戦いたくないけど……蓮……ううん人類のために頑張る」


 「まぁ地元で見つけっちまったし俺が戦う可能性が高いのかぁ」


 やる気を見せる鈴とは違い健吾は嫌そうにしている


 「……健吾。気持ちは分かるが人類の危機だ。ウィザリアンとそれに味方する人間にも容赦はするな。」


 漣はいっそう険しい表情で健吾を睨む。


 「わかってるよー。まぁでもウィザリアンを倒せば人間は放っておいても大丈夫だろー。まぁ人類滅亡に味方してる人間なんていないだろうけどねぇ」


 「俺のマジギアの量産が進んだら六香穂に向かう。ドクター、できるだけ急いでくれ」


 「はぁい」



 北風エネルギーがウィザリアンと呼ぶ魔力を持つ生命体に、翔矢が関わっていることに健吾は勘づいていたが、ウィザリアンに接触した人間がいる可能性があるとしか報告していなにのだった。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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