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38話:復活からネーミングセンスが始まりそうです

 「はぁ……はぁ……」


 疲れが出ていたのは本当だったのだろう。胸から血を流し地面にうつ伏せで倒れたまま動かないサムイネを前に息を切らしながらミーナは立ち尽くす。


 「すげぇ……やった……のか?」


 ミーナの勝利に安心したものの結果を見ると、あっさり勝利した気がする。翔矢は少し不安を感じた。その不安はすぐに的中してしまう。


 「なんだぁ。もう終わっちまったのかぁ。まぁ来たら終わってたなら仕方ないか」


 翔矢とミーナが声の主の方を見るとドロドロした体に豚の顔をした魔物が立っていた。


 「はぁ……はぁ……誰だ?」


 「俺様は大魔王軍幹部のブータック様だ!!」


 「はぁ……はぁ……連続で幹部か」


 ミーナは見るからに疲労困憊だ。ブータックの実力は分からないが例えサムイネより弱いとしても勝ち目は薄いだろう。


 「今度こそ俺が戦う!! こいつは村の仇とかじゃないからいいだろ?」


 「ごめん……任せるよ。流石に限界」


 ミーナはそう言うと地面に膝をついてしゃがみ込んでしまった。


 「まぁ待てや。俺様はベルゼブ様の命令でサムイネの助太刀に来たんだが、死んじまってるなら助太刀できねぇからなぁ」


 「じゃあ大人しく帰ってくれるってか?」


 いつでも相手を攻撃できるようにファイティングポーズをとったまま問いかける。サムイネは見た目が普通の女性と変わらなかったので攻撃するのに気が引けたが、ブータックは人間では無さそうなのでゲームの敵と思えば攻撃に負い目は少ない。


 「まぁそうだなぁ。そこの女が楽しませてくれるってなら帰るかな。女と一緒になぁ」


 どういう意味の楽しませるなのか想像もしたくない。念のためミーナの方を見ると地面にしゃがみ込んだまま後ずさりしている。当たり前だがよっぽど嫌なのだろう。


 「嫌だってさ?」


 「じゃあ貴様を殺した後で持って帰るとしよう!!」


 ブータックは巨大な斧を両手で持ち翔矢に襲い掛かってきた。斧を持っているとは思えない速度で近づいてくる。


 「あぶねぇ!!」


 翔矢は横にジャンプし斧を軽く交わした。身体能力が上がってなければ直撃して即死だっただろう。斧の刃は氷の地面を砕き、めり込んでいる。

    


 「やるじゃねぇか!!」


 「今度はこっちの番だ!!」

 

 すかさず翔矢はブータックに右ストレートをお見舞いした。するとブータックの体は粉々になり肉片が辺りに飛び散る。


 「えっ? うそ? 死んじゃった?」


 ビビらせて追い払うくらいのつもりだったが、まさかパンチで木っ端微塵になるとは思わず、死なせてしまった罪悪感よりも驚きと拍子抜けが勝ってしまう。


 「すっ……すごい。幹部を一撃で……」


 「いやぁ。これほどとは思いませんでしたわぁ。うちが戦ってたと思うとゾッとしますわぁ」


 「まっ……まぁな!! 計算通り!! 計算道り!! ってうわぁぁぁぁぁ!!」


 ミーナに褒められたのは素直に嬉しく照れてしまったが、そのあとの声の主が問題だった。倒したはずの大魔王軍幹部のサムイネが何事も無かったかのように立ち上がり翔矢に拍手を送っている。


 「おっお前……倒したはずなのになんで……」


 「うちは自己回復魔法は苦手なんですわぁ。それで復活まで時間がかかりましたのやぁ」 


 「はっはっはぁーーー。サムイネたんやっぱり生きてやがったか!! 俺は信じてたぜぇ」


 「……嘘おっしゃい。女さらって帰ろうとしてましたやん」


 「聞いてやがったか。まぁ細かい事は気にするなや」


 「……マジかよ」


 「嘘でしょ」


 サムイネだけでなく肉体が粉々になったはずのブータックまで復活している。


 「ブータックはん。チート野郎の相手をお願いしますぅ。うちは女を仕留めますんで」


 「本当は女で遊びたいんだが……仕方ねぇ。サムイネたんがこいつと戦っても勝ち目はねぇか」


 「ってことみたい。翔矢はその豚お願い!!」


 「いいけど……ミーナ戦えるのかよ?」


 立てないほど疲れているミーナが、またサムイネと戦えるとは思えなかった。だがブータックをワンパン出来たのだからサムイネと2対1で戦っても自分は勝てる自信があった。


 「見くびらないで!! 体力回復のポーションくらい持ってるわ!!」


 ミーナの手には、すでに飲み干された瓶が握られていた。


 「……そっか。無理すんなよ!!」


 「そっちこそチートだからって油断しないでよ!!」


 「おう!!」


 翔矢はもう一度、さっきより強い力で殴り掛かった。ブータックの体は再び肉片があたりに飛び散る。


 「うっ……流石にグロイよなぁ……」


 チート効果で肉体だけでなくメンタルが強くなっているのだろうか。結構平気なのだが飛び散った肉片や血がベッタリ付いてしまい気持ち悪い。しかし、そんな事は気にせずミーナに助太刀しようとする。


 戦況は、さきほどと同じくミーナが超高速でサムイネに切りかかっている。


 「魔法で援護射撃……ダメだな」


 物理だけでなく魔法でも攻撃をしてみようとしたが、ミーナが速すぎて狙いが定まらず巻き込んでしまう危険がある。それを無しにしてもマキシムに来たばかりのとき【プチファイヤーLv1】で雪崩を起こすほどの炎を起こしたので止めておく方が無難だろう。相手を倒せても取り返しのつかない被害を出してしまいそうだ。


 「仕方ない。女の子相手だけど物理で行くしか……」


 「さっき女に油断するなって言われたばかりだろうが!!」


 「そうでした!!」


 後ろから振り降ろされた斧を翔矢は話しながら後ろを向いたまま左手で防いだ。斧の刃はそのまま砕けてしまう。


 「ガキがぁ!! ハイメタル製の斧が砕けるとかどんな体てるんだよ」


 「そっちこそポンポン復活しやがって!! お互い様でしょうが!!」


 「俺様はベルゼブ様に不死身の体で生み出されたからなぁ。ベルゼブ様すら俺様を殺す方法は分からねぇんだと」


 「生み出されたって……ちなみにブータックっていう名前は誰が付けたんだ?」


 「あぁん?ベルゼブ様に決まってるだろ」


 「ちなみにうちもベルゼブ様に命と名前を頂いたんどすぅ」


 「……マジかよ。ベルゼブの印象変わってくるな!!」


 なぜか会話に割り込んできたサムイネの言葉に驚き思わず大きな声が出る。


 (寒いからサムイネ。豚だからブータック。ベルゼブのネーミングセンスってどうなってんの……) 

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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