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3話:天使から説明が始まりそうです

 「お世話になりました」

 

 「お大事にね」


 翌日の夕方に翔矢は、退院することとなり悠菜の父さんや看護師の人とあいさつを交わしていた。


 昨日の話で一日入院ということだったので、今日は学校に行けるものだと思い込んでいたが、検査やら思いの他やることが多く、結局夕方になってしまった。


 ちなみに昨日は、悠菜が学校帰りにまたお見舞いに来て、面会時間ぎりぎりまで話したり、ボードゲームをしたりしていた。


 冗談か本気か分からなかった悠菜の『一日看病宣言』は、ほぼ実行されてしまったことになる。



 こんなことだから、周りに付き合ってると誤解されるというのは、翔矢は自覚しているし、悠菜もさすがに自覚しているだろうが……してるよな?


 いずれにせよ、幼いころから一緒にいる感覚が抜けず付き合うという気持ちにはならない。


 (そういえば、卓夫はお見舞い来なかったな。)

 

 別に来てほしい訳でもないが、あいつの性格を考えるとポータブルDVDプレイヤー的なものを持ってきて、入院中に見ろと、また変なアニメやラノベを布教しに来ても不思議ではなかった。


 つい変なアニメと表現してしまうが、普通に面白いし、勧められた作品にハズレは今までない。多少描写があれな作品はあったが……






*****






 翔矢が家の前まで来ると、父はまだ仕事中なはずなのに家に明かりが付いている。


 「ん? 明かりは付いてるのに鍵はかかったままだ……親父が電気消し忘れただけか?」


 少し疑問を感じながら、鍵を開けて家の中に入ると、リビングの椅子で銀髪で魔女っ娘のような衣装を着た、小学校高学年か中学生くらいの女の子が紅茶を飲んでいた。


「おかえりなさいませ。怪我はなさそうで安心しました」


「ただいま。お陰様で」


 見知らぬ人がリビングくつろいでいれば、驚いて騒いだりしそうなものだが、彼女の現実離れした容姿の可愛らしさと笑顔に押されて普通に受け答えしてしまった。


 しかし、ここで驚いて大声を出して、助けを呼んだとしよう。ここは翔矢の家で、目の前には、か弱い女の子。翔矢が女の子を家に連れ込んだと思われるのが自然かもしれない。


 こっちが逆に通報され人生オワタコースになる可能性が高かったのだ。


 そこまで計算して対応した訳ではないが、相手に悪意が感じられないので対応としては正解だったかもしれない。


 しかし、何を話せばいいものか……数秒沈黙したところで、彼女のほうから口を開いた。


 「勝手に家に上がり込んでしまい申し訳ございません。わたくしの名前はペネムエと申します。


 突然ですがあなたは命を狙われています。


 わたくしは主の女神アルマ様の命により、あなたを護りに来ました」


 「はっはぁ??」


 翔矢は少しキョトンとした。この現代日本で普通の高校生が命を狙われるなんて、そうそうあることではない。


 確かに昨日の事故は運が悪ければ命は無かったかもしれないが、あの事故が暗殺的のものと言うのは無理がある。

 

 田舎は噂が早い。こんな可愛い子が近所に住んでいるとは知らなかったが、事故のことを知っていても不思議はない。


 それを利用した詐欺?いや、さすがにこんな子供がするだろうか? とりあえず、騒がれて人生オワタコースは絶対に回避したい。


 まずは話を聞いて、機嫌を損なわないように対応し帰ってもらうようにすることにした。


 「ええと、とりあえず色々事情を教えてもらっていいかな?」


 「かしこまりました。分かりやすいVTRを用意いたしましたので、せんべいでも食べながらご覧くださいまし」


ペネムエは青白い水晶玉を取り出すと、水晶から立体映像が浮かび上がった。




*****





 この世界と異なる世界。日本人には、異世界というと分かりやすいだろうか。


 そこは魔法が存在する世界。戦争や紛争から生活インフラまで、あらゆる場面で魔法は使われ、レベルに差はあるが、老若男女誰もが魔法を習得した。


 そんな異世界が数千以上も存在するが、その一つ『マキシム』に今までどの世界も経験したことのない危機が訪れた。


 どこからか現れた大魔王ベルゼブと名乗る1人の男に、1週間もかからず8割以上が支配されてしまった。


 ベルゼブの力は圧倒的過ぎた。マキシムに存在するすべての魔力の1000倍はくだらない魔力を持っていた。


 それでも、ベルゼブに立ち向かおうとする者はいた。


 勇者アーベル。彼は、マキシム……いや全異世界で見ても5本の指に入る力を持っていた。


 そんなアーベルですらベルゼブの前では赤子も同然……アーベルとその仲間たちはベルゼブに、かすり傷すら与えられず敗北した。


 一方、すべての異世界を監視する天界では、ベルゼブを全異世界に降りかかる可能性のある脅威として対策に乗り出した。


 天界の女神アテナは、ある世界からマキシムへ勇者となる人物を送り込む計画を立てた。


 その世界は、天界が確認している中で、唯一魔法が存在しない世界。


 天界ではその世界を『ノーマジカル』と呼ぶ。


 しかし不思議なことにノーマジカルにも、物語としての魔法は広く知れ渡っていた。


 作り話にすぎないはずのノーマジカルの魔法の認識は、マキシムなどの世界に実在する魔法と酷似していた。


 そして特筆すべきは、ノーマジカルの人間は異世界に行くことで、だれでも強大な魔法を使えるようになるということだ。


 アテナは、ノーマジカルの人間が強大な魔法を使えること。この現象がノーマジカルのアニメ、ラノベと呼ばれる文化では広く見られること。


 この2点から、ノーマジカルの日本からベルゼブに立ち向かえる勇気と優しさを持つものを、ノーマジカルで死亡させ、マキシムへ異世界転生させる計画を実行することとした。


 しかしこの計画に反対するものがいた。同じく天界の女神アルマだ。


 アルマは転生とはいえ、天使が人間を手にかけることに強く反対した。


 転生したものは、マキシムで英雄となり幸せに暮らせるかもしれない。


 だが、ノーマジカルに残された転生者の家族や友人にとっては、大切な人が不幸な事故で亡くなったという悲しみ以外の何物でもない。


 2人の女神の話し合いは平行線をたどった。


 アテナは、痺れを切らし転生させるに相応しいものを殺害するために、天使をノーマジカルに送り込んだ。


 それを知ったアルマは、転生候補となったものを護る天使をノーマジカルに送り込んだ。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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