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34話:怒りから鉄拳が始まりそうです

 一方、翔矢とペネムエは全員が帰ったのを見計らいグラウンドを見回っていた。


 「本当に悪魔族ってのがいたの?」


 虫眼鏡のような魔法の道具を右目に当てベンチを見渡しているペネムエに翔矢は話しかける。


 「ええ。いたのは間違いないはずです。

 悪魔族の魔力は独特なので手探りでの特定は困難なのですが、できる限りの事はしてみます」


 「そんなに熱心に探すって事は、天使と悪魔ってやっぱり敵同士で戦争とかしてたりして?」


 興味本位ではあったが翔矢は恐る恐る訊ねる。


 「大昔はかなり大きな争いがあったと言い伝えられていますが今はそういう事はありません。

 悪魔族は様々な世界を渡り歩き、その世界に存在しない道具を売ったり魔法を教えたりして生計を立てているのです。


 出会うことができれば便利なアイテムを売って頂けると思ったのですが……わたくしの近くにいてコンタクトを取りに来ないということは先客がいらっしゃるのかもしれませんね」


 「俺の知ってる中じゃ、ペネちゃん以外の天使ってあいつしかいないんだよなぁ……」


 翔矢の頭には赤髪の天使リールの姿が浮かんでいた。


 「わたくしは念のためもう少し探ってみますが、翔矢様は先に帰って頂いてかまいませんよ?」


 「うーーーん。夕飯の支度もあるし先に帰るかなぁ」


 悪魔族は印象ほど危険な種族ではなさそうだったので会いたいとも思ったが、日も暮れてきたので諦めることにした。


 「お気おつけて」


 「うん。ペネちゃんも夕飯までには帰ってくるんだよ?」


 「かしこまりました!! 本日の食事も楽しみにしております!!」






 *****






 ペネムエと別れた後、翔矢はまっすぐ帰るつもりだったのだが、部室棟の明かりが付いている事に気が付いた。


 「もう誰もいない時間だよな? 仕方がない。消しといてやるか」


 気が付いたからには電気を消しに行くことにして方向転換し部室棟まで来たのだが、そこに気絶した悠菜をお姫様抱っこしているグミに鉢合わせした事により翔矢の目つきが変わる。


 「おい!! お前誰だ? 悠菜に何しやがった?」


 グミの姿はゴスロリな服装以外は翔矢と同年代の普通の少女なのだが、明らかに人間とは違う何かを感じた。


 「あちゃーーー。見つかっちゃったニャ。油断しすぎたニャ

 ニャーの名前は……グミ!! せっかくもらった名前だからノーマジカルにいる間は、そう名乗らせてもらうニャ」


 グミと名乗った少女は特に焦る様子はなく受け答えする。


 「グミ? って悠菜の猫の名前? てめぇ悠菜に近づいて何を企んでやがる」


 翔矢の顔はさらに険しくなる。


 「(本当のことを話してもいいんニャけどリールってのに頼まれた依頼もあるからニャー)

 ニャーは悪魔族。若い娘の魂を頂くために近づいたニャ。この世界は商売がしずらくてたまらんからニャー。腹ペコなのニャ」


 グミはお姫様抱っこしていた悠菜を床に下すと口を開けて頬のあたりに噛みつくような仕草をした。


 「やめろーーー!!」


 翔矢は完全に頭に血が上りグミに殴り掛かった。


 「ちょっ……女相手いきなり何するニャ!!」


 そうい言いつつもグミは軽快な動きてで翔矢の攻撃を交わした。


 「さっき悪魔族ってイメージほど悪くないって聞いたばかりだったんだけどな……極悪じゃねぇか」


 「極悪はひどいニャー。人間だって食べるために牛や豚を育ててるニャ」


 「だからって悠菜の魂はやらねぇよ!!」


 今度は連続で殴り掛かるが、グミはヒョイヒョイと紙一重で攻撃をかわす。


 「そうしたいなら取り返してみるニャ!! まぁ人間の攻撃なんて絶対に当たらないけどニャ!!」


 「チクショー!!」


 翔矢は攻撃の手を緩めようとしなかったが、一向に当たる気配がない。


 「では人間以外の攻撃ならばどうでしょう?」


 その言葉と同時に翔矢は体勢を低くする。すると今まで翔矢の体で隠れていた範囲から銀髪の天使と弓矢がグミの目に映る。


 「ニャーーー。驚いた。まさかニャーが手を使う事になるとはニャー」


 殴りかかりながらも密かに通信用の魔法石で連絡を取り、立てていた作戦が上手く決まったと思った翔矢だったが、ペネムエの放った矢はグミが右手でガッシリ掴んでいた。


 「やったか? と思ったのですが」


 「……マジかよ」


 「翔矢様は下がっていてください!! ここはわたくしが」


 「……俺がいても足手まといだよな。ごめん頼んだ!!」


 翔矢は若干渋々ではあったが、ここは引き下がることにした。


 「頼まれました!!」


 ペネムエは魔法のポーチから槍を取り出し、そのままグミに攻撃を仕掛ける。しかし攻撃は上手く当たらない。


 「無理するニャって。こんな狭い場所で槍なんてまともに使える訳ないニャ」


 「生憎わたくしは、接近戦は槍しかまともに使えないのですよ」


 狭い場所ながらペネムエは槍を短く持ち突き攻撃を続ける。


 「こんな安物じゃ無理ニャンだって」


 グミは突きに入った槍を右手で掴むと、そのままペネムエごと放り投げてしまった。


 「ペネちゃん!!」


 「ご心配なく。大したダメージは負っていません」


 ペネムエは廊下を転がったもののすぐに立ち上がり体勢を立て直した。


 その姿に翔矢はホッと胸をなでおろす。


 「リールって子から君のことは聞いてるニャ。ニャーを倒したかったら本気を出すニャ」


 「やはりリールから先に依頼を受けていましたか。ゲートが開いていないタイミングに何をしたいのか分かりませんが、そこまで言うならお見せしましょう」


 持っていた槍をポーチにしまい別の槍を取り出す。『神槍ブリューナク』この槍が取り出された途端に辺りの空気は急激に冷たくなる。


 「おぉ!! さすが神クラスの代物。食らったら冷やしニャンコになっちゃうニャ」


 「悠菜様を開放するのなら止めてもいいのですけどね」


 「うーん。ニャーは引き受けた仕事はやり通す主義だからニャー」


 「では、撃退するしかないですね」


 ペネムエはブリューナクから無数の氷柱を生み出し一斉に放った。


 しかしグミは一瞬で黒猫へと姿を変え、全ての氷柱の間を縫うようにして回避した。


 「そんな……」


 あまりものスピードにペネムエは全く反応ができない。


 グミはそのままペネムエには目もくれず横をすり抜けた。


 再び人間へと姿を変えたグミは翔矢のすぐ目の前に立っていた。


 「……えっ?」


 胸部に違和感を感じた翔矢が下に目をやるとグミの左手が自分の左胸を貫いていた。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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