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32話:ゲームセットから失恋が始まりそうです

 4回裏以降の凶悪高校の野球は、今までのプレーを忘れてしまいそうになるくらい正々堂々としたものだった。


 凶悪高校は危険行為が無くても手ごわく、8回が終わった地点で好投手の泉が3点を失うほどだった。


 一方、六香穂高校は相手のプレーが急に変わったことにより逆にペースを崩してしまい追加点を上げる事は出来ないでいた。



 「ふぅ~。結局あいつら何も仕掛けてこないなぁ(ぺネちゃんの天罰が効いたのかな?)」


 翔矢はため息をつきながらペネムエに対する心の声と独り言の混ざったような言葉をつぶやいた。


 「だといいのですが……」


 凶悪高校が4回以降おとなしくなったのでペネムエもそれ以上の手出しはせず再びブレスレットで姿を隠してベンチの隅で待機していた。


 しかし天罰を与えたとはいえ、高速の打球がかすった程度で相手が急に態度を変えてきた事に疑問を持っていた。


 「いやーーーー。一時はどうなる事かと思ったが後半は普通に野球ができてよかったなぁ」


 「そうっすねぇ」


 相変わらずお気楽に話す健吾に対して翔矢は乾いた声で受け答えする。


 「翔矢……離れすぎじゃねぇか?」


 「気のせいです……」

 

 健吾が翔矢のフリをしたペネムエの胸を鷲掴みして以降、2人の物理的距離は一定以上近づく事はなかった。


 その理由は翔矢が色々な意味で健吾を恐れてしまったためである。


 「いやいや。明らかに離れすぎだろ」


 健吾がやや駆け足で向かってくる。


 「……すいません。マジで勘弁してください」


 翔矢は近寄ってきた健吾の頭の前にバットを突き出した。


 「いや……それは洒落にならないから……あと男にゴミを見る目で見られる趣味はないから勘弁してくれ」


 冷や汗をかいて両手を上げる健吾。翔矢はバットを引込め道具置き場に戻した。


 「はぁ……攻守交代です。最終回きっちり守りましょう」


 ため息をつきながら翔矢は守備に向かった。


 (うーむ。確認を焦りすぎたか……あらぬ疑いをかけられてしまった。

 まぁ収穫はあった。胸の感触的に少なくとも体内に魔力を持つ存在は2人以上この世界にいる。

 これが分かっただけでも良しとするか…… 

 いやホモ扱いは良くはないけど)


 健吾は翔矢のフリをしたペネムエの胸を触った感触から、登山の際に目撃したリールと今ここにいる魔力を持つ存在が別人である事を確信したのだった。






 *****






 最終回は泉がきっちりおさえて、7対3で六香穂高校の勝利でゲームセットとなった。


 試合を終えた翔矢は着替えを済ませた後、部室前の廊下に出ると悠菜が黒猫のグミを抱いて待っていた。


 「あれ?待っててくれたのか? ってか真理は?」


 いつも真理と一緒の悠菜がわざわざ自分をひとりで待っていたのが不思議だったので辺りをキョロキョロ見渡しながらたずねてみた。


 「えっと……真理ちゃんは重大イベント中で近づけず……なので翔矢君に余ったクッキーを授けに来ましたぁ!!」


 最初の方は口をもどした悠菜だったが勢いよくクッキーせんべいを手渡してくれた。


 「あぁ。この『せんべい』は普通に食べれる代物だったからな。 ありがたく頂こう」


 翔矢は、わざとせんべいという言葉をを強調して言いながら受け取った。


 「女子の手作りの代物をこんな態度で受け取る男子って……」


 「普段が普段だからなぁ。 お前の事だからクッキーになるまで作り続けようとしたが完成はせず、大量のせんべいが家にまだ残ってるんだろ?」


 「正解でございます…… 野球部の方々にも配ったのですが消化しきれてねぇです……」


 悠菜は漫画のような悲しそうな目で涙を流した。心なしか抱かれているグミまで悲しそうな顔に見える。


 「ニャニャ!!」


 「あっそうだねぇ。グミちゃん帰ったらご飯だもんねぇ。

 ってことで今日はこの辺でドロンさせていただきます!!」


 「おう。また学校でな」


 「……自由な方でございますね」


 駆け足で去っていく悠菜の背中を見て、そばで待機していたペネムエはポツリと独り言をつぶやいた。






 *****






 翔矢と分かれた後、悠菜は真理と合流し校門までの道のりを歩いていた。


 「うわーーーん」


 悠菜の隣を歩く真理は漫画でしか見たことのないような泣き崩れ方をしている。


 「彼女さんいたなら仕方ないよぉ」


 告白の結果は見ての通りである。しかし真理は直接泉に思いを伝えられた訳ではない。


 試合終了後、自分の部活で試合を見れていなかった泉の彼女が迎えに来たのだった。


 タイミングが良かったのか悪かったのか真理はそれを告白しようとする寸前に目撃してしまったのだ。


 「あんなギャルのどこがいいんだよぉ。泉せんぱぁい」


 泣き崩れる真理の姿に、さすがの悠菜も「ギャルはどっちだ」などというツッコミはできなかった。


 それでも校門に近づくにつれ真理は徐々に落ち着きを取り戻し始めた。


 もう少しで学校の敷地から出ようかという所でグミの耳がピクピクと動き出す。


 今まで大人しく抱かれていたグミだが急に暴れだし、悠菜の腕をすり抜け一目散に学校の方に戻っていった。


 「ちょっとグミちゃんどうしたのーーー?」


 グミの急な行動に動揺した悠菜だったが慌てて追いかける。


 「ちょっとーーーー悠菜ーーーーー」


 「ごめんね。真理ちゃん先に帰っててーーーー!!」


 「……悠菜にもフラれた」


 校門前で一人ポツンと立ち尽くす真理であった。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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