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26話:回し蹴りから特訓が始まりそうです

 リールが悠菜の煎餅型クッキーに毒物を仕込もうとしていると、廊下の方からテテテテと何かが近づいて来る音が聞こえた。


 「誰?」


 魔法のフードで姿も気配も完全に消しているのだがついつい身構えてしまう。


 足音の主が台所入り口まで来るとその姿が見えた。


 「なんだぁ猫かぁ~」


 正体を確認して拍子抜けしたリールは、引き続き毒を入れようと作業を続けていたが……


 ドフッ


 鈍い音と共にリールの頭部に強い衝撃が走った。


 リールはそのままテーブルに倒れこんでしまう。


 「天使が人の食べ物に毒物とはどういう了見ニャ!!

 そのクッキーはニャーの命の恩人が苦労してやっと完成させたものニャ!!」


 倒れているリールが見上げるとそこには、白いメッシュのラインの入った黒髪に、ゴスロリな服を着た少女がたっていた。


 (嘘でしょ……さっきの猫が悪魔族だったなんて)


 「とっとと姿を見せるニャ。いるのは分かってるけど声は聞こえないから不便ニャ」


 リールはどうするか迷ったが、姿を隠すフードを外した。


 「魔法なしで悪魔から逃げ切れるなんて思わないわよ」


 「潔くて助かるニャ。で? 狙いはゆうニャか? それともクッキーを渡す予定の相手かニャ?」


 グミは毒で狙っている相手がどっちなのかを尋ねた。


 「どっちだったら見逃してくれるのかしら?」


 「どっちでも蹴り飛ばすニャ。次は本気で……」


 グミは右足を引いて回し蹴りの態勢に入った。


 (このままじゃ……まずい……)


 悪魔族は人間と動物の2つの姿を持っているが、人間状態でも動物と同等以上の身体能力を発揮できる。


 魔法のフードで姿を隠していたのにも関わらず見つかったのも、動物の五感でだろう。


 それに加え体内の魔力の量も身体能力に影響する、先ほどの蹴りの威力を考えるとかなり上級の悪魔だ。

 魔法が使えれば勝てるだろうがこの世界では分が悪い。


 「タイムタイム!! テストだったのよ。テスト!!」


 「はっ? テストニャ?」


 グミは蹴りの構えをやめた。


 「そうそう!! 実は大きな任務をかかえててね。

 この辺に悪魔がいたって情報を聞いたから協力してもらおうと思ったのよ!!

 でも、超天才の私の足を引っ張るような悪魔じゃ困るから、毒を入れれる振りをして止めれるかでテストしたって訳」


 全てが嘘ではないが、無理がある言い訳な気がして冷や汗が止まらなかった。


 それだけ、この世界での悪魔族は脅威なのだ。


 「なんだぁ。客だったかニャ!! それは蹴とばして悪かったニャ」


 グミはペコリと頭を下げる。


 「べっ別にこれくらい覚悟してたし大したことないし」


 「普通に考えて天使が人間の命を狙う訳ないもんニャ」


 「そっそりゃそうよ」


 「で、依頼は何ニャ?」


 「そっそれはねぇ……」


 流石に転生の協力は頼めないが、1つリールは作戦を思いついた。






 *****






 リールが、不穏な動きをしているとはしらず翔矢は、野球の試合に向けて夜の公園で素振りをしていた。


 夜中ではあるが一応街灯がともっていて、辺りを見渡せる。


 「夜中に特訓とは、やる気満々でございますね」


 公園まで付いてきたペネムエがブランコを揺らしながら翔矢の様子を眺めている。


 「まぁ体動かすのは嫌いじゃないし、やるからにはヒットの1本くらいは打ちたいからなぁ」


 「しかし素振りだけでは、心もとなくはないでしょうか?

 微力ながら私がピッチャー様をやってみてもよろしいでしょうか?」


 どこから持ってきたのかペネムエの手にはボールが握られている。


 「え? 嬉しいけどペネちゃん野球できるの?」


 思わず素振りを止めて話をする。


 「テレビで一緒に見ましたし、見様見真似のピッチャー様くらいなら問題ないかと」


 ペネムエはブランコからピョンと下りて右手をブンブン回している。

 

 相当やる気のようだ。


 「ありがとう!! でも……ペネちゃんスカート……」


 ペネムエの格好は魔法少女的な衣装に膝が見えるくらいのスカート。


 正直運動をする格好ではない。


 「確かに野球というのをするには相応しくない格好ですかね。

 ちょっと着替えさせて頂きます」


 「えっ? 着替えって……」


 翔矢は体操着を着てきたが、ペネムエの分は持ってきていない。


 そもそも家にペネムエが着れるようなサイズの服はない。


 翔矢以外から姿は見えないとはいえ、夜の公園で女の子が着替える気だろうか?


 などと考え翔矢が慌てふためいている内に、ペネムエは自分の服の胸元に付いている水晶体に左手を当てた。


 ペネムエの体は眩い光に包まれ、あっという間にメジャーリーグの『入浴中のヤンキーデス』のユニフォームになった。


 着替えの様子はまるで魔法少女の変身のようだったが、ペネムエの服装は元々魔法少女風だったので、これが変身シーンだとすれば逆である。


 「おぉ。それも魔法の道具?」



 「はい。この服はイメージしたデザインに変えることができるのです。

 服の見た目が変わっただけなので生地の質はそのままで、帽子なども再現はできませんが」


 「いやいや体操着の俺より本格的じゃん!! じゃあちょっと投げてくれる?」


 「かしこまりました。では失礼して……」


 そう言いながらペネムエは構えだした。


 (うっ嘘だろ? アンダースロー?)


 ペネムエのフォームにも気を取られたが、その後にとんでもないスピードのボールが後ろの壁にぶつかった。


 「ど真ん中というコースに投げてみたのですが何か間違ってましたっでしょうか?」


 ペネムエは打つ様子を見せなかった翔矢に疑問を持ち首を傾げる。


 「いや……アンダースローなのに速いし、こんなの打てないよ!!」


 「なんかカッコいい投げ方と思ったので真似してみました。スピードはテレビで見た大山投手には及ばないはずですが?」



 「いやいや、アンダースローでこのスピードは出ないよ? 大山投手より遅いってあの選手世界のトップ!!

 でも大山投手はその投げ方じゃなかったでしょ? ちょっと常識から外れてるっていうか……」


 驚きと興奮で早口になってしまう翔矢。


 「そうですか? わたくしからしたら体の魔力が0の状態で動けるノーマジカルの方々が異常ですが……

練習はどうしますか?」


 「……えっと」


 ※結局メジャークラスのボールに感激して何球か投げてもらった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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