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261話:流しそうめんから激闘が始まりそうです(改稿予定有り)

 それから1週間、平和な日常を過ごした翔矢とペネムエ。

 たこ焼き機も見つかり、夕食に鉄板料理が続く日々を送っていた。

 

 

 「広島風お好み焼きにたこ焼き、短期間だけど作れるようになるもんだな」


 「流石翔矢様です!! まだまだ暑いのでさっぱりしたモノを食べたい気もしますが」

 

 

 これを失言と思ったペネムエは、思わず口を両手で塞いだ。

 

 

 「申し訳ありません、とても美味しいのですが」


 「気にしないで、粉もんって大まかな原料は同じだから毎日は飽きるよね。

 練習に付き合わせてごめんね」


 「滅相もありません!! 皆で焼くのも楽しかったですし」


 「皆と言えば、今日はいよいよだね」


 「はい!!」


 「前から決まってたけど、リクエスト通りさっぱりした流しそうめんをやるぞ!!」

 

 

 部屋の窓に視線を送ると、庭いっぱいに設置された巨大な流しそうめんの装置が見受けられる。

 

 

 「翔矢様、どう見ても大きすぎませんか?

 ラジコンカーのコースみたいになっておりますが」


 「あはは、流しそうめん用じゃ無い竹も混ざってたのかも……」

 

 

 とはいえ水漏れが無い事や安全性は確認済み。

 リールやゼウとも協力して設置した装置を今更バラすなんて事はしない。

 何より今日は大人数、始まってしまえば大きすぎるとは思わないだろう。

 

 などと考えている内に、玄関のチャイムが鳴った。

 出迎えると、そこにいたのはリール、ゼウ、グミだった。

 

 

 「お邪魔しまーす!!」


 「頂きまーす!!」


 「頂きますニャ」


 「3人ともいらっしゃい、って頂きますは早いだろ」


 「翔矢の料理は、どれも美味いからな、気がはやってしまった」

 

 

 ゼウは小恥ずかしそうに頬を赤く染めていた。

 

 

 「料理って言っても、余った大量のそうめんを消費するだけだけどな」

 

 

 それから暫くし、約束の昼。

 翔矢が声を掛けたメンバーが揃い踏みとなる。

 ペネムエは、そのメンバーに驚きを隠せずにいた。


 

 「あのぉ……翔矢様? どなたに声を掛けたか確認を怠ったわたくしもアレなのですが、この方々だったとわ……」


 「ヘイヘイヘイ!! 今日はよろしく頼むよ」


 「たまには平和的に集まるのも悪くは無いか」


 「基本事件現場で顔を合わせるだけで、会おうと思って会った事はないものね」


 「鈴ちゃん、そんな体が縮んでしまった名探偵じゃないんだから」

 

 

 集まったのは北風エネルギーのドクター、蓮、鈴、それに翔矢の剣道部の先輩であり彼らの協力者でもある健吾だった。

 

 

 「いやぁ、鈴さんも言ってるけど気がつけば事件事件で、落ち着いた場所で集まる事無かったなって」


 「てっきり悠菜様や、クラスのお友達に声を掛けたのかと」


 「みんな部活やら文化祭やらで用事ありそうだったしな」


 「んで、同じ剣道部の俺は都合が合った訳!!」

 

 

 健吾は、ドサクサに紛れペネムエの肩に手を回そうとしたが、彼女はそれを予め分かっていたかのように交わし、翔矢の後ろに身を隠した。

 一連の動きに気がついた翔矢は、健吾に一睨み効かせた。

 

 

 「誠にゴメンなさい、つい出来心で」


 「こんな事もあろうかと、対策出来そうな人も呼んであるから」


 「対策って俺はゲームの厄介キャラか何かか?」


 「まだどなたか呼んでいるのですか?」


 「夏休みに、そうめんが消費出来なくて山ほど余ってるからね」

 

 

 そんな事を話していると、タイミングを見計らったかのように、健吾対策で呼ばれた人物が姿を現した。

 

 

 「マスター!! お呼びに預かり光栄でございます!!」


 「囚人の私まで、呼ばれるなんて思わなかったわ」

 

 

 現れたのはアルネブとルーシィ、これには蓮が睨みを効かせながら鋭く指さす。

 

 

 「おい!! なんでこいつらを呼んだ!?」


 「会ったばかりだし、親睦を深めようかと」


 「こいつらは監視対象だぞ!!」


 「我もか? マスターに忠誠を誓った我もか? ルーシィの監視を任されておるのに?」

 

 

 この場で1番慌てふためいているアルネブを置いてけぼりに話しは進められる。

 

 

 「監視対象なら一緒に行動してた方が安全じゃ無いか?」


 「それもそうだな」

 

 

 会話をしながら翔矢は器と割り箸を手渡し、蓮は大人しくそれを受け取った。

 


 「兄貴、そう怖い顔するなよ、事情は知らんけど、2人とも可愛いじゃねぇか」

 

 

 健吾はアルネブに狙いを定め、腰に手を当てようとする。

 その瞬間、彼の首は、何かに強く締め付けられた。

 

 

 「あぁ言っときますけど、アルネブは異世界の魔王で、先輩がセクハラか、それに準ずる事をしたら首を絞めるように頼んであります」


 「ケホッケホッ……首じゃなくても良くない!?

 西遊記だって絞められるのはデコだぜ?」

 

 

 健吾が体勢を立て直した頃には、集まった他の面々にも器と割り箸が配り終えられ席に着いていた。

 

 「健吾先輩、もう1番後ろしか、場所開いてないですよ?」


 「いいよ!! 後ろの方が気負わずにいけるからな!!」

 

 

 不服そうな顔で巨大な流しそうめん装置を見上げながら、健吾は最後尾に着いた。

 

 

 「じゃあ皆、流すよー!!」

 

 

 セットが巨大なため、脚立に座り、そうめんを流す翔矢。

 ペネムエ、アルネブ、リール、蓮の順番に箸を伸ばすが、シュルッと間を抜けてしまい、手に取る事が出来ない。

 その次に控えていたルーシィが、半分ほど掴み、最初の一口を味わった。

 

 

 「この前の焼き芋もだけど、日本の食べ物は本当に美味しいわね」

 

 

 天界で長年投獄されていた彼女が箸を使いこなした、という事実に驚く者はいない。

 次々に流されて来るそうめんで、それどころではないのだ。

 徐々にコツを掴んだのか、番手のペネムエが、1杯を口にすることに成功。

 すすり終えたタイミングで、目の前にそうめんが見えたので箸を伸ばそうとしたが、素早く動く何かに横取りされてしまう。 

 何が起こったのかと確認すると、そこには美味しそうに一口をそそるアルネブの姿があった。

 

 「……アルネブ様、箸では無く蔓を伸ばしましたね?」


 「なっ何を言っておる、この世界で魔法など使える訳がなかろう?」


 「健吾様の首に、お仕置き用の蔓が巻かれているような気がしますが?」


 「あはは……マスター!! 我、箸とやらは使いにくいので、蔓を使っても構わんか?」


 「独り占めはしないでね?」


 「御意!!」

 

 

 翔矢からの許可が降りた事で、彼女はペネムエに向かって、この上ないしてやったり顔を見せた。

 

 

 「うぅ……であれば、わたくしも!!」

 

 

 ペネムエはブリューナクを振るいアルネブの蔓を凍らせ、その先のそうめんを奪い取ってしまった。

 

 

 「貴様!! それはズルだろう!?」


 「翔矢様!! ブリューナクで奪い返しても構いませんか?」


 「セット壊さないでね!?」


 「了解です!!」

 

 

 翔矢から許可が降りた事でペネムエはドヤ顔を見せた。

 その様子を蓮とリールは、おこぼれのそうめんを啜りながら眺めていた。

 

 

 「全く、異世界の奴は野蛮だな」


 「ペネムエは、この世界の人間で言ったら、まだ中学生よ?

 テンション上がってるだけだから野蛮とか言わないでくれる?」



 ギロリと横目で蓮を睨みながら目の前に流れたそうめんに箸を伸ばすリール。

 しかし彼女も扱いが得意な方ではなく、無情にもすり抜けてしまった。

 

 

 「ふん、やはり異世界人に流しそうめんは酷だったか?」

 

 

 得意気に箸を伸ばす蓮、しかし彼もまた、掴み取る事はできなかった。

 

 

 「ぷっ」

 

 

 コレには思わず笑い声が漏れてしまうリール。

 蓮は眉をピクピクと動かしている。

 

 

 「だっ誰にでもミスはある!!」


 「……いやちょっと待って!? あんたさっきから、そうめん1つも取れて無いんじゃ?」


 「そそそそんな訳……ないだろぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 日本刀型の武器ソルを振り下ろす蓮。

 リールは閻魔で受け止め鍔迫り合いが始まった。

 


 「みんなぁ、そんな慌てなくても、そうめんは尋常じゃ無い量あるからなぁ」

 

 

 あちこちで起こる戦いを、気にすること無くそうめんを流し続ける翔矢。

 激闘の流しそうめん大会は、始まったばかりである。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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