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254話:分裂から情報が始まりそうです

 翔矢達の目の前に再び現れた大魔王デモン。

 その姿は鎧を纏っただけでなく、雰囲気のようなモノまで変わっており、凄まじい殺気が感じられる。

 

 

 「やられました、大量の隕石は、わたくし達への攻撃でなく氷を破壊する為のものでしたか」


 「あんな範囲攻撃を、囮に使うってヤベェな」

 

 

 敵は目の前にいる、しかし踏み込めない何かがあった。

 

 

 「ですがノーマジカルで魔法は使えません、であれば何らかの道具、もしくはグミ様のように体の一部が、その役割を果たしているはず」


 「それを潰せば、奴を封じ込められるって訳だね!!」


 「ニャーがバラバラになるまで殴っても黒い水になるだけでダメだったけどニャ」


 「あっ……」

 

 

 グミの言葉を聞きペネムエは、何かを閃いたとばかりに腕をポンと叩く。

 

 

 「それです!! あの黒い水こそがデモンの力の源!!」


 「流石は天使だな、まぁ少し考えれば誰でも分かる事だが」

 

 

 作戦の時間を与えるのはここまでと言いたいのか、デモンは巨大な斧を振るった。

 翔矢はそれをベルゼブラスターで受け止め鍔迫り合いが始まる。


 

 「させねぇぞ!!」


 「貴様は頭は足りぬようだが戦闘能力は中々……その力はマモンからに借り物だけでないな?」


 「大魔王ベルゼブっていうのからも借りてるぜ!?」


 「ベルゼブ……だと?」


 

 その名を聞きデモンに一瞬の隙が生まれた。

 翔矢は見逃すこと無く、今の最強の一撃を叩き込む。

 

 

 【トリニティ・ベルゼ・スラッシュ】

 

 

 赤青銀のオーラに染まったベルゼブラスターに、漆黒のオーラが上塗りされる。

 これは力と恐怖、そして支配の具現化であり常人では直視することも出来ないだろう。

 デモンは、距離を取ろうと足に力を入れるが、体が動かない。

 足元に魔方陣が発生しており、そこから溢れ出る闇に拘束されているのだ。

 そのまま、為す術もないまま、斬撃がデモンを襲う。

 

 

 「これは本当にベル……ゼブなのか?」

 

 

 体が縦2つに分かれたまま、意識も命も保っているデモン。

 しかし、その肉体は再生しない。

 

 

 「大魔王って聞いたから、全滅エンドってのも覚悟したんだが、大したことないか?」

 

 「やはり無理矢理の実体化では、これが限界か。

 それも貴様のようなイレギュラーがいたせいだが」


 「そりゃあ全力じゃ無いか、やっぱり第二形態とか最終形態とか有るわけ?」


 「もちろん」

 

 

 それを聞き、翔矢はトドメを急ぐ。

 しかし2つに分かれていたデモンの体は、ブヨブヨとした闇となり、そこから更に姿を形作るように動き始めた。

 何か起こる前に対処しようと、片側を切り裂こうとする翔矢。

 すかさず駆けつけた蓮が、もう片側も切り裂こうと動く。

 しかし、その変化に気がついたペネムエと玲奈が2人の腕を押さえ止めた。


 

 「お待ちください!!」


 「これは……もうデモンじゃないみたいね」

 

 

 2つのブヨブヨとした闇は、双葉サヤとルーシィとなったのだ。

 今まで感じていた大魔王のプレッシャーのようなモノも消えている。

 

 

 「ふん!! 小娘が!! マスターに刃向かうなど100億光年早いわ!!」

 

 

 アルネブの態度を見て、この2人はデモンと別の存在だと、この場の全員が把握した。

 


 

 「……事情を聞かせてもらおうか!?」

 

 

 蓮は警告するようにソルを向けるが、2人は酷く疲弊しており抵抗する様子も無い。

 

 

 「うーーーまさかデモン様に体を乗っ取られると思いませんでしたよ」


 「大魔王までいるなんて……この世界はどうなってるの?」

  

 

 サヤもルーシィも自身が、デモンとして行った事は覚えているが、何故そのような事になったかは分かっていないようだ。

 その時、サヤの体が透けながら光り始めた。

 

 

 「およおよ、これはデモン様の思惑が外れたという事ですかね?」

 

 「どうなっている? まぁ世界の脅威が1つ消える分には俺は構わんが」


 「物騒なオジさんですね、まぁダーリンとも久々に会えて、今日は機嫌が良いので、重要な情報くらい教えてあげますよ」

 

 「重要な情報?」

 

 

 蓮はソルをネクタイピンの姿に戻し、戦闘態勢を解いた。

 

 

 「あのですね、私って色々な人に能力を配って歩いてたじゃないですか?」


 「……私が転生教を立ち上げるきっかけになった1つね」


 「その節は、私も痛い目にあったですよ、っといつ消えるかも分からないので、話を続けますね。

 私が配ってたのは、大魔王デモン様の力の一部です」

 

 

 全員が驚きの表情を見せるが、この言葉を疑う者はいない。

 今まで大魔王デモンと戦い、その後、彼女が現れた、十分な証拠だった。

 

 

 「おっとと、驚くのはまだ早いですよ?

 配っていた目的は、能力が使われれば使われるほど、大魔王デモン様が復活に向かう仕組みだからです」


 「貴様……あの化け物を復活させ、どういうつもりだ?」

 

 

 蓮は再びソルを構えようとしたが、ペネムエと玲奈が制止した。


 

 「お待ちください蓮様」


 「彼女の教えてくれる“重要なこと”の本質はそこではないはず」


 「さすが天界一の知識と、天才科学者ですね、たぶん想像している通りです。

 私の配った能力が使われ大魔王デモン様が復活するように、ダーリンや……鈴ちゃんでしたっけ?

 2人の使っているマモンキューブは、使えば使うほど大魔王マモンの復活に近づいているハズです」

 

 

 その言葉に、翔矢と鈴は自身の武器を改めて見つめる。

 

 

 「ちょっと待て!! じゃあこっちのベルゼブラスターは!?」


 「さぁ? マモンはとっくの昔に倒されたと聞いているので、デモン様と同じ状態と予想出来ましたが、他の大魔王の事は詳しく知りませんからねぇ」


 「翔矢様、大魔王ベルゼブは、その圧倒的な力で異世界マキシムを侵略しております。

 そのベルゼブラスターが、ベルゼブに力を与える、ましてや復活させるなどという事は考えにくいかと」


 「そっか、元気な奴を復活なんてできないもんな」


 

 翔矢は一安心したような表情を見せたが、そのような余裕は与えないとばかりに、サヤの体が輝きを増す。

 

 

 「おっとっと、思ったより色々と話せましたが、ここまでのようですね」

 

 「待て!! まだ話は……」

 

 

 蓮は彼女に手を伸ばしたが、その手は届かずサヤは光りの粒子となり消え去ってしまった。



 「ペネちゃん……サヤはどうなったんだ?」


 「わたくしにも理解が追いつきませんが、亡くなってしまったという事はないと思います」


 「逃げたと言う訳か」


 「本人の意思では無さそうですけどね」


 「手がかりの無い奴の事を考えても仕方ない、次だ!!」

 

 

 蓮はルーシィを鋭く睨みつける。

 

 

 「大人しくしてれば、すっかり忘れて見逃してくれると思ったんだけど残念」


 「流石の蓮も、そこまでポンコツじゃないわ」


 「鈴の言う通りだ、そこまでポンコツではない!!」

 

 「蓮のおっさん、軽く馬鹿にされてるんだぞ?」


 「翔矢様、しーでございます」

 

 

 ペネムエは自身の唇に人差し指を当て翔矢を注意した。

 が、この一連のやりとりは、聞こえていないようだ。

 

 

 「私を脅しても、さっきの子みたいに情報はあげれないわよ?

 気がついたら、体を乗っ取られていたんだもの」


 「もう分からん事だらけだ」

 

 

 ここにいる誰1人として、今何が起こっているのか理解していない。

 そういった状況では、自然とペネムエに助けを求めるような眼差しが集まる。

 

 

 「そうですね、とにかく解決出来そうな問題から手を付けましょう。

 彼女は天界に引き渡します」


 「頑張って脱獄したのに残念、でもこんな物騒な世界より、天界で投獄されてた方がマシね」


 「随分と大人しいですね、何か目的があって脱獄したのではないのですか?」


 「どれだけ長い間、投獄されてると思ってるの? 退屈すぎて逃げ出しただけよ」


 「そういう事にしてあげましょう」

 

 

 ペネムエは氷の鎖を作り、ルーシィを拘束し、天界へ引き渡す手立てを考えていた。

 この世界に来る天使は、彼女にも優しくしてくれ感覚が薄れてしまっていたが、自分は天界にとって忌むべき存在。

 できるだけ、関わりたくはないし、向こうも自分からの連絡など、受けるのは嫌だろう。

 

 

 「ペネちゃん? どうしたの?」


 「あっいえ、天界は今、大天界祭で大忙しなのです。

 彼女の脱獄は大事件ではあるのですが、それでも声を掛けられる人物が思い浮かばず……」


 「最近ご無沙汰の、女神様2人は?」


 「1番手が空いてないかと」


 「ですよねー」


 

 翔矢とペネムエだけで無く、この場の全員が頭を抱え悩み出す。

 

 

 「蓮のおっさん、会社でしばらく面倒みてくれよ?」


 「設備は破損しているが、少しの間なら……」


 「蓮も翔矢も、馬鹿言わないで? また隕石を落とす危険性もあるのよ?

 会社を潰す気? かっこ物理で!?」


 「「あっ……」」


 

 頼みの綱の北風エネルギーにも頼る事が出来ずいよいよ手が思いつかない。

 その時、誰かがこちらに近づく気配がした。

 

 

 「新手か!?」

 

 

 蓮を中心に身構えたが、気配の主の姿に思わず、その手が緩む。

 こちらに向かってくるのは、くたびれた身なりのリールとサクラだった。 

  

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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