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24話:クッキーから陰謀が始まりそうです

 クッキーを作ろうとした日、黒猫を保護したりして時間が無くなったので悠菜と真理は、日を改めてクッキーを作っていた。


 「グミちゃん。悪いけど、お料理するから台所に入って来ないでねぇ」


 「ニャー」


 黒猫は、悠菜に言われた通り台所の手前で伏せをして入って来ない。


 「まるで本当に言葉がわかってるみたいだなぁ」


 「賢くて良い子なんだよぉ」


 黒猫の様子を見て感心する真理に悠菜は自慢気な顔をする。


 「グミってこの子の名前?」


 「そうだよーーー。

 目の色が『グリーン』と『みずいろ』だから色の頭文字からグミちゃん」


 「なるほど。色から付けるならクロってしちゃいそうだけど、オッドアイって特徴あるし良いんじゃないかなぁ。

 女の子だからグミの方が響き的に可愛いかも。」


 グミの事を話している内にクッキー作りの準備ができた。


 「まぁ生地ができれば形を整えてオーブンで焼くだけだから大丈夫……だよな?」


 「やってみよう!!」


 順調に形を整え後は焼くだけとなった。


 「ここまでは、あんな料理を作る人間とは思えない普通の状態ね。

 私の体調も健康そのものだわ」


 オーブンに入れる前の生地を見ながら真理がボソッと呟く。


 「やっぱり誰かと料理するとうまくいきそうな気がするねぇ」


 悠菜も期待に胸を膨らませながらクッキーが焼きあがるのを待つ。


 10分ほどが経ち、いよいよオーブンを開ける。


 「こっこれは……」


 「あちゃーーー」


 2人の期待とは裏腹にクッキーはクッキーと呼べない姿になっていた。


 「さっきまでクッキーだったものが、そこら中に散らばってるねぇ」


 「いやいや待って。悠菜のだけじゃなくて、どうして私の作ったのまで無残な姿になっちゃってるの?」


 2人の作った生地を一緒に焼いたが、真理のクッキーまで見るも無残な姿になっていた。


 「なんだぁ。真理ちゃんも料理苦手なんじゃん」


 「いや。得意ではないけど、こんな悲惨なものができる程じゃないわよ……

 あんたの家のオーブンに問題が?」


 悠菜の家の方が台所が広くて料理しやすいという理由で、こっちに来て料理する事にしたが、真理にはもう一つ理由があり悠菜の料理環境が気になったので、こっちに来たかったというのもあった。


 「お母さんも使ってるからそれはないよぉ」


 「そりゃそうか……試しに私だけので焼いていい?」


 「どうぞーーー」


 まさかと思い真理は自分の作った生地だけを焼いてみた。


 チンッ


 クッキーが焼き上がり確認してみると……


 「よかった……ちゃんと焼きあがった」


 クッキーは綺麗に焼きあがった。試しに2人で食べてみると味もおいしく仕上がっていた。


 「ミステリーだねぇ」


 悠菜はクッキーを食べながら不思議そうな顔をした。


 「……もう一回一緒に焼いてみよう」


 今度はもう一度2人の生地を同時に焼いてみる。


 チンッ


 「なんでやねん!!」


 「あははは」


 焼きあがったクッキーは全て見るも無残な姿になっていた。


 「グミちゃーーーん。食べまちゅかーーー?」


 「ミャーーーー」


 皿に盛られたクッキーを持って、悠菜は台所前に待機していた黒猫のグミに近寄ったがグミはすごい勢いで逃げて行った。


 「嫌われるぞ……あと動物愛護団体に訴えられるぞ……」


 「冗談だったんだよぉ……後で謝っておくね」


 グミに逃げられたことにさすがの悠菜もショックを受けたようだ。


 「しっかし他人の料理もダメにしてしまうなんて、もはや呪いだなぁ」


 「おっお願い。このわたくし目に今一度チャンスを!!」


 悠菜は両手を合わせて真理に頼み込む。


 「はぁ……仕方ないわねぇ。

 元々あんたの料理は何とかしてあげたかったし、今日はとことん付き合うわよ!!」


 「ありがとーーーーーう

 それでこそ親友だよーーーーー!!」


 何だかんだで承諾してくれた真理に悠菜は抱き着きながら感謝の言葉を述べた。






 *****






 2人はクッキーを作り続けた。それはもう焼いて焼いて焼きまくった。


 気が付けば、悠菜のクッキーと真理のクッキーを一緒に焼いても真理のクッキーは無事になった。


 真理が野球部の泉先輩に渡す分は完成したので、そこからは真理に手伝ってもらいながら悠菜は練習を続けた。


 そしてついに……


 「やったーーー!! できたーーー!!」


 「いや、確かに食べれそうだけど何でこうなるの?」


 悠菜は両手を挙げて喜んでいるが、真理の表情はキョトンとしている。


 その理由は、完成したクッキーの見た目に合った。


 それでも食べれそうな見た目だったので恐る恐る口に入れてみる。


 「固い……しょっぱい……

 でも普通に食べれる……けどこれ煎餅じゃん!!」


 「まっまぁ一応食べれるものができたから、せっかくだし翔矢君にあげようかなぁ。

 登山の時、お弁当も分けてらったし」


 「おっいいじゃん!!

 わっ私は泉先輩の誕生日、ちょうど練習試合あるから終わったら渡して……告白してみる!!」


 「頑張って!! 応援してるよ!!」


 「ありがとーーーーーう」


 二人はお互いを強く抱きしめた。






 *****






 悠菜と真理がクッキーを焼きまくっている頃、翔矢は剣道部の部活の休憩中。

 3年の先輩である渡辺健吾と話をしていた。


 「野球部の練習試合の助っ人ですか?」


 「そうなんだよぉ。クラスメイトのイズミンに頼まれてなぁ。

 剣道部から出して欲しいって事になったんだ。

 お前野球なら好きだったろ?」


 話を聞くと野球部で正体不明の謎の奇病が流行っていて練習試合の人数が足りないという事だった。

 県北の少し遠い高校との試合なので中止にもできないらしい。


 正体不明の謎の奇病というのはスルーして、野球は好きなので承諾することにした。


 「好きって言ってもメジャーリーグとか見るだけで、ちゃんとした野球はやったことないですけどね。

 それでも良ければ全然やりますよ」


 「練習試合だし最低限のルールが分かれば十分だとよ。まぁ翔矢なら運動神経は十分だし何とかなるだろ」


 「了解です!!」


 「それから瑠々はチアガールの格好で応援役な!!」


 健吾はどこで手に入れたのか、チアガールの服を1年の瑠々に手渡した。


 「すまぬ。その日はギルドの仕事が入っておるのだ」


 「バイトか……残念だな」


 健吾は肩を落とし落ち込んでいた。


 「っていうか練習試合にチアは必要ないでしょうが……」


 「士気を上げるのは大事だろ!!」


 「はいはいそうですねぇ……」


 健吾先輩の女好きに呆れたが翔矢は練習試合を楽しみにしていた。

 

 こうして陰謀渦巻く(?) 練習試合に翔矢は参加する事となった。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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