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253話:分裂から隕石が始まりそうです

 ユリアが岩盤の陰から見守る中、戦いは再会された。

 

 

 「翔矢様のベルゼブラスターの力でさえ、簡単に再生される……であれば!!」

 

 

 ペネムエはブリューナクから吹雪を発生させ、デモンを凍結させた。

 

  

 「これで封印に近い状態に出来ればと」


 「ナイス!! ペネちゃん」


 「お褒めに預かり光栄です……と言いたい所なのですが」

 

 

 分厚い氷はピキピキと音を立て割られ、デモンは平然と姿を現した。

 


 「ワニって変温動物だから、寒さに弱いはずなんだけどな」


 「そこらのワニと一緒にされるのは侵害だなぁ」


 「では、こういうのはどうかしら?」

 

 

 次に仕掛けたのは玲奈だ、砕け砂のようになった岩盤をまき散らし、デモンの周りで爆発させる。

 彼の首から上は吹き飛び、体も所々損傷が見られた。

 

 

 「玲奈様、ご無事でしたか!!」


 「何とかね、北風エネルギーの子達も、まだ戦えそうよ」

 

 

 デモンの一撃で岩盤に埋まってしまった蓮と鈴も、傷は追っているものの、足取りには余力が見られた。

 

 

 「大魔王デモン……この世界に何故こうも次々と脅威が」


 「それに立ち向かうための組織が私たちなんだけど、こうも立て続けだとね」

 

 

 2人も武器を構えるが、今の所、デモンの一番厄介な能力は再生力。

 自分たちが攻撃しても、体力が消耗するだけだと理解していた。

 

 

 「こいつから仕掛けて来ないなら簡単ニャ、再生する前も壊し続ければ、無力化出来るニャ!!」

 

 

 翔矢達はグミの言っている事が理解出来なかった。

 首を傾げフリーズしている間に、彼女はそれを実行してみせた。

 何度も何度もデモンに拳をお見舞いし、そのたびに辺りに黒い水のようなモノが飛び散っていた。

 

 

 「おい……それ一生続けるつもりか?」


 「んな訳あるか!! ニャーの体力は1時間は持つから、その間に作戦を考えるニャ」


 「なるほど」

 

 

 翔矢は、自分の足下に飛んできた黒い水を眺める、すると吸い寄せられるようにデモンの方へ向かっていった。

 この黒い水が集まると、デモンの肉体が再生するのは容易に想像できる。

 

 

 「みんな、この黒い水を何とかして完全に消し去るんだ」

 

 「言われずとも」


 「えい!!」

 

 

 蓮と鈴が、武器を手に取り、切り刻んだり殴りつけたりする。

 しかし、黒い水は飛び散るばかりで消滅する気配はない。


 

 「翔矢様!! 凍らせる事は可能なようです」


 「さすがペネちゃん、ブリューナクは相変わらずチートだな」

 

 

 ペネムエの周囲には、既に野球ボール程のサイズの氷がいくつも転がっていた。

 それらは、その場から動かずデモンの方に向かう様子もない。

 数分もしない内にデモンの肉体は無くなり、辺りには無数の氷のボールが転がるばかりだ。

 

 

 「ふぅ……流石に疲れたニャ」


 「お疲れ様です、グミ様の体力と火力があっての作戦でした。

 しかし、大魔王の一角をこうもあっさりと無力化できるとわ」


 

 戦いが終わったとみるや、何処かに隠れていたアルネブが姿を現した。

 

 

 「ふはははは!! 我がマスターに楯突くとは10億年早いわぁ!!」

 

 

 氷のボールの1つを蹴飛ばすアルネブ、その姿からは魔王としての威厳がカケラも感じられず、一同は呆れてた眼差しでそれを見つめていた。

 

 

 「それ割れて復活したらどうする?」


 「……マスターは人が悪いのぉ」

 

 

 ピタリと動きを止めると、ヒビが入っていないか入念に確認し、そのまま土に埋めてしまった。

 それでも勝利を確信したままだったが、次の瞬間その空気は一変する。


 

 『大人しくしておれば好き勝手しおって』


 「デモンの声!?」


 「この状態で会話が出来るとは……」


 「ひぇぇぇぇぇぇ誠にゴメンナサイ」


 

 各々が警戒を強め無数の氷のボールをキョロキョロと観察する中、アルネブはひたすら頭を下げる。

 しかし、それらに不審な動きは無く、ただ時間だけが流れていた。

 

 

 「なんだ? 喋れるだけでこけおどしか?」


 「デモンの肉体は全て分離し動きも封じています、魔法が使えないノーマジカルで、ここから出来ることなど無いと思うのですが」


 「ふん!! 紛らわしい奴だ!!」

 

 

 今度は蓮が氷のボールを蹴飛ばす。

 正確にはその足が触れる前に、鈴がその足を止めた。

 

 

 「蓮!! 翔矢の話を聞いて無かったの? これで割ったりしたら振り出しに戻るかもしれないのよ?」


 「スマン、つい気が立ってしまっていた……大魔王め!! 最初からそれが狙いか!?」


 「んな訳ないニャ、ん? 全員散らばって逃げるニャ!!」

 

 

 空を指さしながら急に大声を上げたグミ。

 その先には黒い何かが、こちらに降り注いで来るのが見えた。

 

 

 「おい……あれってまさか?」


 「隕石!?」

 

 

 その正体に気がつくと、血相を変え、とにかくこの場を離れようとする。

 小石程の大きさのモノは、すでに地に落ち始めていた。


 

 「って、あんなの落ちたら、何処にいたって助からないだろ!!」

 【トリニティ・ワールド・ブレイク】

 

 

 足を止め武器を構えた翔矢は、ベルゼブラスターから三色のエネルギー派を放つ。

 隕石は大きさで、それを凌駕していたが、数瞬の衝突の後、粉々に砕け散っていった。

 

 

 「っしゃぁ!! どんなもんでぃ!!」


 「翔矢様!! なんて事を!!」


 「マスター!! 殺す気か!?」


 「このポンコツ!!」


 「蓮よりポンコツ!!」


 「え?」

 

 

 今の一撃で万事解決かと思っていた翔矢は、何故ここまで言われているのか理解が出来なかった。

 ペネムエは、そんな彼の顔を両手でガシッと掴み、力ずくで上を向かせる。


 

 「……あっ」


 

 そこで目に飛び込んで来たのは、砕け散った隕石が雨のように降り注ぐ地獄絵図。

 砕け散ったとは言っても元が巨大隕石、その1つ1つが象ほどは大きさがある。

 翔矢は全員からの冷ややかな視線を感じていた。

 

 

 「分かった!! 分かったよ!! 何とかするから、全員一カ所に集まってろ!!」

 

 

 その視線を送ったまま、イソイソと指示に従うペネムエ達。

 翔矢は、そんな視線を背負いながら、真上に向かって大ジャンプをする。


 

 「頼むぞ、ファイターのおっさん」

 

 『うぬ』

 

 

 赤メリに埋め込まれた赤い魔法石に手をかざし、ベルゼブラスターにセットする。

 

 

 【ファイター・ワールド・ローディング】

 

 

 「いけぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 拳型のエネルギー派が、隕石に次々に命中し、危険の無い大きさへ砕いていく。

 それでも、大量の隕石を前には、手数が足りなかった。

 

 

 「だったら……アクセルさん、お願いします!!」


 『オッケーーー』

 


 次は赤メリに埋め込まれた青い魔法石に手をかざし、ベルゼブラスターを大剣の形へと変形させる。

 


 【アクセル・ワールド・ローディング】


 

 翔矢は隕石から隕石へと飛び移りなながら、目にも止まらぬ速度で隕石を切り裂き、上へ上へと向かっていく。


 

 「メタル……力を貸せよ?」


 『僕にだけ命令形なんだね? 選択肢なんて無い癖に。

 まぁ今回の奴は僕にとってもヤバそうだし良いけどね』

 

 

 全ての隕石よりも高い位置に陣取った翔矢は、赤メリに埋め込まれた白銀の魔法石に手をかざす。

 

 

 【メタル・ワールド・ローディング】

 

 

 ベルゼブラスターを再び銃の形へと変形させ、大砲程のサイズの砲弾や、マシンガンのような細かい銃弾を次々に打ち込んでいく。

 これで全ての隕石が小さな破片となり無力化された。


 

 「どんなもんでぃ!!」


 「流石は翔矢様です!!」


 「まぁマスターが最初に状況を悪化させたのだがな」

 

 

 一向は安心し気が抜けていた、その頭の中に邪悪な声が直接響く。

 

 

 『あわよくば、何人かは消し炭にしてやろうと思ったのだがな』

 

 「デデデのデモンの声がまた聞こえて来たぞ?」


 「降らせた隕石を破壊しただけだし、本人は無傷だろうな」

 

 

 当たりは隕石が降り注いだ影響で土煙が舞っている。

 視界が狭くなってはいるが、翔矢は全員が集まっている中心に着地した。

 

 

 「ふん余裕を見せよって……可愛げがあるのは、そこの魔王の娘くらいか」

 

 

 頭ではなく、そこにいる存在から発せられる声、時間と共に土煙が薄くなる中、声の主のシルエットが見えてくる。

 

 

 「おいおい……マジか」


 「ひぇっ」


 「あの状況から復活とは……」

 

 

 視界が晴れ、現れたのはワニの姿の怪物、大魔王デモン。

 その肉体には今まで見られなかった鎧が纏われ、手には巨大な斧が握られていた。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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