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252話:変身から目覚めが始まりそうです

 天界からの囚人ルーシィ、彼女は翔矢達の前で、その姿を双葉サヤへと変えた。

 

 

 「どうなってるの? サヤの正体はルーシィだった?」


 「脱獄したタイミングを考えると、それは考えにくいです。

 何らかの力を使い、姿を変えているだけかと」

 

 

 戸惑いを隠せない様子の翔矢とペネムエ。 

 しかし蓮は違った。

 

 

 「うろたえるな!! どちらだとしても、この世界の脅威であることに変わりはない」

 

 

 未だにアルネブの力で拘束されている彼女の首を、蓮は容赦無く切り落とそうとした。

 しかし、その斬撃は空振りに終わってしまう。

 

 

 「なにっ!?」

 

 

 気がつくとサヤは後ろに回り込んでおり、蓮は強烈な回し蹴りをくらい倒れこむ。

 

 

 「ぐはっ……」


 「蓮!!」


 「大丈夫ですか?」


 「おっさん……いきなり首狙うか、普通?」

 

 

 鈴に手を引かれ起き上がる様子を見ると、特に大きなダメージは負っていないようだった。

 


 「ダーリンの言う通りですよ? 女の子の首をかき切ろうとするなんて信じられません!!」


 「男女問わずダメだと思うけどな」

 

 

 翔矢の姿は今もトリニティのまま。

 どうすれば良いか分からず混乱はしているが、ベルゼブラスターは構えたままだ。

 そんな彼の目の前に、サヤは飛び跳ねながら寄ってきた。


 

 「ってかサヤがルーシィの正体って事?」


 「嫌だなぁ、私がそんな凶悪犯に見えますか?」


 「……微妙な所だな」

 

 「この世界ではルーシィとやらより、お前の方が凶悪犯だという事を忘れるな」


 

 蓮は再び彼女に刃を向ける。


 

 「もう訳分からん」


 「わたくしもです」


 「ペネちゃん、もう帰ろうか?」


 「ですね」

 

 

 普段は頭脳労働を担当しているペネムエも、今回ばかりは思考を放棄していた。

 

 

 「この女は我々が責任を持って拘束しておく、鈴!!」


 「うん……仕事中は手錠を常備している私って一体」

 

 

 鈴は腰に装備している手錠をサヤにかけようとした。

 だが、その手をサヤは撥ね除けられてしまう。

 

 

 「少々待ってねぇ、ちょっと魂を間違えただけですので……」

 

 

 サヤの体が再び黒い闇に覆われる。

 今までと比べものにならないその異様さに、一番に気がついたのはアルネブだった。

 

 

 「あれはいかん!! 誰か広くて人のいない場所に移動させるのだ!!」

 

 「どうした?」


 「ノーマジカルで、そんな芸当は……」

 

 

 アルネブの焦り具合から、ただ事ではないと察したが、ここにいる者にそれを実行する手立てはなかった。

 闇に覆われたサヤを、ただ見る事しか出来ない中、破損していたと思われた社内放送用のスピーカーから、再びあの声が聞こえた。


 

 『ヘイヘイ、なんとか繋がったね』


 「ドクターのおっさん……」


 「こんな時に、性懲りも無く……」


 

 翔矢は呆れ、蓮は怒りからか唇をプルプルと震わせている。

 その後のドクターの一言で、彼の我慢は限界を超えてしまう。 


 

 『いやぁ蓮、鈴君も元気そうで何よりだぁ』

 


 ソルでスピーカーを叩き斬ろうとする蓮を、翔矢とペネムエが腕をガッシリと掴み押さえる。

 

 

 「おっさん、ステイステイ、まだだ!!」


 「ドクター様には、何か策があるようですし」


 『っとそうこうしている間にサヤ君とやらの闇がヤバそうだ、今僕がやろうとしているのは、ザ・ホールを研究し~』


 「ちょい!! ドクターのおっさん!! さっき自分で時間が無いって言ってただろうがぁ!!」


 『状況が芳しくないようだね、じゃ無事を祈るよ』

 

 

 巨大なエンジン音と共に、ビルが大きく揺れ始める。

 驚く暇も無く、今度は地下の空間全体が、眩い光に包まれた。

 

 

 「うっ……」

 

 

 光は数秒で収まり、すぐに目を開けると、翔矢には見慣れない採掘場のような場所が広がっていた。


 

 「これ……ワープ的な?」


 「ドクター、俺の許可も無く、こんなモノまで開発していたとは」


 「蓮は仕事の稟議、たいした確認もせずにハンコ押しがちだけどね」


 「この人数を一瞬でとは……しかし皆様、これについて考えている暇は無さそうです」

 

 

 この場にワープさせられたのは、闇に包まれたサヤも同じだった。

 その闇は形を造り、ワニと人を合わせたような怪物が姿を現す。

 

 

 「ドクターのおっさんの発明にも、あんなんあったよな?」


 「好き勝手にやっている奴だが、これは違う……たぶん」


 「蓮、自身がなくなってるわよ?」


 「爆破とワープを、されたばかりだからな」


 

 目の前の怪物よりも、ワープのインパクトが強く、蓮達はおろかペネムエも今の状況の深刻さを理解していなかった。



 「お主ら!! のんきに話してる場合でないと言っておろうが!!

 あのお方……アレは……大魔王じゃ!!」


 

 その言葉に、驚きや困惑の表情を見せる。


 

 「大魔王!?」


 「私や翔矢が使っているマモンキューブを造った存在?」


 「それは大魔王マモンの奴の遺産だろ? 俺は大魔王デモン。

 まぁ起きたてホヤホヤで、大した力は出せないし、お手柔らかに頼むぜ」

 

 

 デモンが体を回し尻尾を振るうと、一行は吹き飛ばされ岩盤に体を埋めてしまった。

 意識は保っているものの、今日のダメージの積み重ねで、すぐに動く事は出来ない。

 

 

 「一撃で終わらせるつもりは無かったんだが……思ったより力が戻ってたか?

 それとも、お前らが大した事無いだけかな?」

 

 

 デモンはゆっくりとペネムエの元に向かい、その頭をガシッと掴み持ち上げた。


 

 「うっ……」


 「この世界の人間に恨みは無いが、天使は気に入らん。

 特に貴様のあの武器、オーディンの奴と同じ匂いがする」


 「大魔王デモン……700年前にあなたを封印したのはオーディン様でしたね」


 「あいつさえいなけりゃ、負ける事は無かったんだよ」


 「ちなみに……オーディン様は、まだご存命で、わたくしの師匠でもあります」


 「マジか……今1000歳とかだろ? って随分と余裕だな?

 このまま握りつぶせば、あのジジイの悲しむ顔が見れるってことだなぁ?」


 「それは……無理かと思います!!」


 「はっ?」

 

 

 デモンが、その言葉を聞き終えた頃には、その右腕は切り落とされ、ペネムエは脱出していた。

 入れ替わるように、その目の前に立っていたのは翔矢だった。

 

 

 「この世界の人間には手を出さないつもりだったんだがな」


 「俺だって、お前が大人しくしてれば手を出さなかったよ?」

 

 

 翔矢は穏やかに話を続けたまま、ベルゼブラスターの窪みに赤メリをセットした。

 

 

 【トリニティ・ワールド・エンド】

 

 

 三色のエネルギー派が、至近距離でデモンに放たれる。

 その体は100メートルは押され、腹には大穴が開いていた。

 

 

 「この体が、他の者の姿にも変わるのを貴様も見ていたはずだが……

 容赦の無い男だな」


 「混乱はしてるけど大魔王って言ってたし、これくらいの攻撃じゃ平気なんだろうなって」


 「正解だ!!」

 

 

 デモンの切り落とされた右腕と腹の大穴は、形作った闇と共に再生していた。


  

 「知ってたけど、ダメージも無いってのはショックだな」

 

 

 睨み合う翔矢とデモン、沈黙が続く中、誰かが近づく足音が響く。


 

 「ヤベェ音が聞こえたと思ったら、やっぱり翔矢達だったニャ」


 「次から次へとトラブルを呼び込む子ね」


 「そのワニ怪人なんなの?」

 

 

 大きな岩盤の裏から現れたのは、グミ、玲奈、ユリアの3人。

 別行動だったが、ドクターの転移装置に巻き込まれたようだ。

 

 

 「皆様も飛ばされておりましたか、実はウンヌンカンヌンでして……」


 「脱獄犯だの大魔王だの忙しいニャー」


 「まぁ私は、この世界では悪の親玉みたいなものだから、それくらい気にしないわ」

 

 

 余裕を見せるグミと玲奈、しかしユリアはガタガタと震えていた。

 

 

 「ユリア、だから無理して付いてくるニャって言ったニャ」


 「人気声優さん、安全な所に隠れてなさいな」


 「うっうん」

 

 

 2人に言われるがまま、岩盤の裏手に戻るユリア。

 しかし彼女は、デモンに対する恐怖で逃げ出した訳では無い。

 

 

 (デモン……様なんで? もう目覚めたって事?

 だからって翔矢君達と、何で戦うの?)

 

 

 今は感情を隠しながら、戦いを見守るしか彼女に選択肢はなかった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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