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245話:女の戦いから突入が始まりそうです

 ペネムエと鈴は無理矢理動かしたエレベーターに不安を感じながら乗っていた。

 しかしそんな不安は宛てにならなかったのか無事にドアが開いた。

 

 

 「さぁ降りるわ……よ?」


 

 エレベーターのボタンの連打から異常にテンションの高いユリア。

 意気揚々と足を前に出すが、その動きがピタリと止まる。

 

 

 「壁? 途中で止まっちゃった?」


 「それならエレベーターは開かない、恐らく爆発で出入口が塞がっちゃったのよ」


 

 時間の経過でエレベーターは閉まろうとするが、崩れた瓦礫に引っかかり、閉まりきらず閉じたり開いたりを繰り返していた。

 

 

 「結構分厚いですね、それにここから動く事もできなくなったわ」

 

 「誰かさんが無理矢理動かすからニャ」

 

 

 鈴とグミの冷ややかな視線がユリアに突き刺さる。

 

 

 「ここまで来れたんだから攻めないでよ!!

 だいたい、あなたたち2人とも壊す系が得意じゃない!!」

 

 「いやぁ美人さんが脳筋なのが面白くてついね」


 「悪乗りしちまったニャ、クラッシュダマーだっけ?

 それとニャーのパンチを合わせれば行けるかニャア」


 「私の武器、一応大魔王の一部なのよね?

 えっ? ネコパンチと同列なの?」


 「つべこべ言ってないで合わせるニャ」

 

 

 グミは既に右腕をブンブンと回し準備万端のようだった。

 鈴もクラッシュダマーを巨大なハンマー型へと変化させ臨戦態勢に入る。

 

 

 「せーーーの」

 

 

 鈴のかけ声と共に、ドーーーーンという爆音が響いた。

 

 

 「って言ったら……って言おうと思ったんだけど……」


 

 クラッシュダマーを構えたまま呆然と立ち尽くす鈴。

 グミは拳1つでエレベータを塞ぐ壁は破壊されてしまったのだ。

 

 

 「結果オーライニャ、こっからが本丸なんだから油断するニャ!!」

 

 

 エレベーターを降りるグミの背中を頼もしく思いながら、鈴とユリアは後に続くのだった。



 

 ***

 

 

 

 その頃、翔矢とサクラは相変わらず何処か分からない場所をさ迷い続けていた。

 時には大都会を、時にはジャングルを、時には住宅街を。

 

 

 「はぁ……はぁ……万歩計欲しくなるな、流石に歩き疲れたぞ」


 「ウチも一日でこんなに歩いたの初めてかも、これ以上歩いて良いか迷っちゃう」


 「もう絶対に東京じゃないし、北風エネルギーの事件に首を突っ込むの諦めるか」


 「ダメよ、ウチの仲間に何かあったらどうするの!!」


 「地下に捕まってるんだっけ? でもサクラの仲間って、みんな攻撃利かないじゃん」


 「利いてない訳じゃ無い、それにバーベナ様は、ウチらの中で特別。

 力を使っていない翔矢よりも、ずっとか弱い、爆発に巻き込まれたならケガじゃ済まないかも……」

 

 

 話を続けるにつれサクラの目は今にも泣き出しそうになっていた。

 

 

 「分かった分かった!! 泣くな」

 

 

 ここは住宅街、気が付くと周りを歩く人々から注目を集めており、声を出して泣き出したサクラを必死になだめる。

 

 

 「ウチ面倒くさくない? 離れるか迷ってない?」


 「最初から見捨てるつもりはないよ、でも目的地に到達する手段がないんだよ。

 なんか良い方法ないの?」

 

 「それが分かれば苦労はしないわ」


 「だよな……」


 

 東京からも離れ、振り出しに戻ってしまい頭を抱えていると、ふとある事に気が付いた。


 

 「あれ? ここって六香穂じゃない?」


 「それって君の住んでいる町よね?」


 「うん、滅多に通らない場所だから気が付くの遅れたけど間違いないよ!!」


 

 安心した翔矢は、一歩歩こうとしたが、足が地面に付く寸前で制止した。


 

 「どうしたの?」


 「このまま君と動けば、また知らない場所に飛ばされる」


 「まぁね」


 「良いこと考えた!! サクラはこの場を動かない。

 俺は君の目の届く範囲で行動する、これなら迷わないし逸れないんじゃない!?」

 

 

 我ながら名案だと思ったのか、翔矢は今までの人生で一番のドヤ顔を決め込んでいる。

 

 

 「おぉ翔矢は頭が良い!! 流石私の旦那様!!

 試したこと無いけど、それなら大丈夫そう!!」

 

 

 サクラもパチパチと拍手をしながら称えたので、さらにドヤ顔に拍車が掛かった。

 

 

 「って誰が旦那様だ、って言っても、ここが六香穂ならもう帰るしか無いんだよなぁ。

 ペネちゃん、俺のこと探してるよなぁ」

 

 

 この辺りに何か解決策があるとも思っていないのだが、翔矢は電柱の死角や用水路などをウロウロと探している。

 そんな彼の元に、誰かが近寄ってくる足音が聞こえた。

 

 

 「アレ? 翔矢どうしたの?」


 「おっおっ……リーーーールーーーー!!」

 

 

 彼女の顔を見るなり、翔矢は勢いあまり抱きついてしまった。

 

 

 「うわぁぁぁ急にどうしたのよ? 確かに“そういう関係”って事にはなってるけどさぁ、私に抱きつくの癖になってない!?」

 

 

 リールは満更でもなさそうに顔を赤く染めているが、抱きついていた翔矢にその表情は見えていない。

 我に返った翔矢は慌てて彼女から離れた。

 

 

 「悪い悪い、実はウンヌンカンヌンで」


 「なるほど完全に理解したわ、ルーシィ・ザ・ワールド。

 天界から脱獄したルーシィに関係ありそうだけど」


 「その天使のことはサクラ達も知らないっぽいんだよな」

 

 

 サクラの名前を口にした翔矢はハッとした。

 後ろから凄まじい殺気を感じたのも束の間、サクラの平手打ちが翔矢の右頬に直撃し、勢いよく地べたを転がってしまった。

 それでもサクラの気は収まる様子はなく、立ち上がれていない翔矢に鋭い視線を浴びせた。

 

 

 「あのぉ……サクラ……さん?」


 「浮気、ダメ、絶対」

 

 

 これからサッカーボールを蹴るのかという勢いで、右足を後ろに大きく振りかぶる。

 

 

 「ヒエッ……」

 

 

 翔矢に抵抗するような隙はなかった。

 覚悟を決めて両目を瞑ると、何かと何かがぶつかり合うような音がした。

 恐る恐る目を開けると、リールが黒炎を纏う剣を構え、サクラの蹴りから翔矢を守っていた。


 

 「泥棒猫、邪魔しないで」


 「泥棒猫? 翔矢は私の彼氏(仮)なんだけど?」

 

 

 リールの剣とサクラの右足は衝突したまま2人は会話を続けている。

 

 

 「はっ? 旦那様!? これはどういう事?」


 「旦那様って? 翔矢? これはどういう事かしら?」

 

 

 2人は戦闘の手を止め、その鋭い視線は翔矢に向かった。

 


 「えっとリール、その剣、新しい武器か?

 黒い炎カッコイイな!!」

 

 

 この言葉に誤魔化されるハズもなく、2人の怒りに油を注ぐばかりだ。

 


 「旦那様ってサクラが勝手に言ってるだけだからぁ!!

 ってかリールも付き合ってるフリなのに気を張りすぎだろ!!」

 

 

 その言葉には、リールとサクラは同時に首を傾げる。

 

 

 「そういえばウチなんで旦那様なんて言ってたんだっけ?」


 「そうだ付き合ってるフリだったわ、フリじゃなきゃペネムエに何されるか分かったもんじゃないわ……」

 

 

 2人が冷静さを取り戻したのを感じると、翔矢はホッとため息をついた。

 

 

 「それよりペネちゃんと合流するか東京に行くかしなきゃいけないんだけど何か手はないか?」


 「この子の迷子スキルが厄介なのよね? ちょっと権能ってのに興味あるし、私が責任を持って一緒に行動するわ」

 

 

 リールは任せなさいと言わんばかりに自信の胸を拳でドンと叩いた。

 その勢いで彼女の立派なモノがプリンのように波打つ。

 サクラは興味津々にジッと注目している。


 

 「リールお姉さん、今度おっぱいのコツ教えて!!」


 「うわっ、どこ見てるのよ!! 好きでなった訳じゃないしコツなんか知らないわよ。

 それに邪魔なだけよ?」


 「うん、最初はどうなる事かと思ったけど仲良さそうだな。

 じゃあ俺は東京に行ってみる!!」


 「え? 私の権能もなしに、そんな遠くに?」


 「でぇじょうぶでぇじょうぶ」

 

 

 翔矢は鞄を漁り、鍵を手に取った。

 

 

 「じゃあ行ってくる!!」


 「何が起こるか分からないから気をつけるのよ」


 「分かってるって」

 【インスタントゲートオープン】


 「えっ? えっ?」


 「じゃあサクラ、リールの言うこと良く聞いてな」

 

 

 戸惑うサクラを余所に、翔矢は空間の裂け目に消えていくのだった。

 

 

 「何あれ?」


 「東京に瞬間移動出来る鍵だって」


 「ウチの権能より、よっぽど意味分からんのだけど」


 「まぁ魔法の道具に中でも相当レアなのよね。

 じゃあペネムエを探しに行くわよ。」

 


 何はともあれ打ち解けた2人は、足を前に進めるのだった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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