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23話:飢えからペットが始まりそうです

 ある日の学校の昼休み。悠菜と真理は昼食を取りながら教室でおしゃべりしていた。


 「悠菜……あんたの料理(?) って本当に酷いわよね……

 これは嫁の貰い手に苦労するわよー」


 真理は悠菜の自作弁当を見て呆れかえっている。


 普通の料理ならば見た目だけでは誰が作ったかは判断できないが、悠菜の弁当は母親が作った料理との区別を一瞬ですることができる。


 「いやーーー毎日練習してるんだけどなかなか上手くできなくて……」


 「母親と料理してるんだろ? 何かアドバイスとかしてくれないわけ?」


 「それが、前に私の料理中にお母さんが近寄ってきたら、そのまま気絶しちゃって……それ以来レシピだけもらってキッチンに誰も入れてないんだよねーー」


 悠菜は何故か照れるように語った。


 「……色々言いたいことはあるけど、とりあえずレシピ通りでこれになるってすごいわね……」


 真理は目を丸くする。


 「それほどでもーーーー」


 「褒めてないわよ!! 仕方ない。

 私、今度クッキー作るから、あんたも一緒に作りなさい!!

 クッキーならそんな失敗する心配はないでしょ……多分」

 

 心配ないと言いつつも真理は悠菜の弁当を見て少し、いやかなり不安になっていた。


 「いいの? あっそっか!! もうすぐ3年の泉先輩の誕生日だからクッキー渡すんだね!!」


 真理は野球部のマネージャーをしていて、キャプテンでエースの泉に密かに思いを寄せているのだった。


 「そう……実は……告白しようかなって……」


 真理は顔を赤くして照れたがある事に気が付いた。


 「あれ? 私、泉先輩の事誰にも話してないんだけど、どうして気付いたの?」


 そもそも悠菜と泉に面識はないはずだ。誕生日が近い事まで知っている訳がない。


 「嫌だなーーー。真理ちゃん、ツブヤイッターで呟いてたじゃん」


 悠菜は、またまたーといった感じで話す。


 「あーーー、確かに誕生日近いとか先輩が好きとかは呟いて……

 いや待って!! その呟きしたの裏垢でなんですけど!!」


 真理は思わず立ち上がった。


 裏垢の事は誰にも話した覚えがないからだ。


 裏垢なのでもちろんアカウント名も分からないようにしている。


 「私たち、親友でしょ?」


 悠菜はキラキラした笑顔で真理を見つめて手を握り締めた。


 「怖い怖い怖い怖い怖い

 ……親友のあんたには、ちゃんと報告するつもりだったけどね」


 真理は悠菜の事が、少し……いやかなり怖くなった話を進めた。


 「まっまぁいいわ。

 そういえば今日は部活休みよね? 材料買って余裕あったら練習する?」


 「オッケーーー!!」


 2人は放課後、一緒にスーパーに材料を買いに行くことになった。






 *****






 悠菜と真理がスーパーで買い物をしている頃、町の片隅を一匹の黒猫がさ迷っていた。


 ケガなどは無いが、フラフラして足元がおぼつかない。


 空腹と雨が黒猫を、さらに弱らせている。


 (参ったニャ。着いて10日ほどにニャルが、ここは恐らくノーマジカル……

 ニャーの事はタダの猫としか思われニャい。

 魔法が使えニャいって聞いてたけど本当に何もできニャいなんて。

 天使も見つからニャい。

 体力が戻ればあっちの姿にニャれるが……食べ物も見つからニャい……)


 黒猫は意識をかろうじて保っているが体力が尽き倒れこんでしまった。


 倒れこんだ黒猫の元に買い物を終えた悠菜と真理が近づいていた。


 「雨降ってきちゃったねーーー」


 「ついてねぇなぁ。予報雨だったっけ?」


 2人は傘を、持っておらず体をビシャビシャに濡らしながら駆け足で帰ろうとしていた。


 走りながら悠菜が急に足を止めた。


 「真理ちゃん。ちょっと待って!!

 猫ちゃんが倒れてる!!」


 黒猫に気が付いた悠菜は、急いで駆け寄る。


 黒猫は意識がわずかに残っていて悠菜と真理の存在に気が付いた。


 (ニャんだ人間か……)


 黒猫はノーマジカルの人間が自分たちのような存在を認知していないことは知っていた。


 (逃げる体力もニャいし猫としてやり過ごすしかニャいか……)


 そんなことを考えていると、悠菜が黒猫の体を持ち上げた。


 「わぁ、この子珍しい目だねぇ」


 悠菜は右目が緑で左目が水色の目をした猫に驚いた。


 「こういうのオッドアイって言うんだっけ? 初めて見た。

 でもかなり弱ってるみたいだな」


 「だよね……家に連れて行こうかな?」


 「私も行くよ。ってか悠菜の家行く予定だったし」






 *****






 悠菜の家に到着した二人は、悠菜の父に黒猫を見せていた。


 「お父さん。猫ちゃん大丈夫そう?」


 「私は獣医じゃないんだけどねぇ」


 悠菜の父は医者ではあるが、動物に関する知識は人並みにしかない。


 それでも必死な娘に答えようと診察をする。


 「ただの疲労と空腹だと思うよ」


 「そっかー!! よかったーー。

 猫ちゃんなら魚好きかな? 台所にツナ缶とかあったかな」


 「待て待て待て。猫に人間用のツナ缶はダメなんじゃないか?

 ただでさえ、弱ってるんだし。

 普通の野菜なら大丈夫だと思うけど……」


 一緒に家に来ていた真理が悠菜を止めに入る。


 「ダメかなぁ? 食べるイメージあるんだけど」


 「冷蔵庫にレタスならあったんじゃないか?

 母さんに頼んでもらってきなさい」


 どうしていいか迷っている2人に悠菜の父は指示を出した。


 「はーーーい」






 *****






 2人は悠菜の部屋のベットで休ませていた黒猫の前に皿に盛られたレタスを持ってきた。


 「猫ちゃん。レタスですよーーー。食べてーーーー」


 悠菜の声に反応した黒猫は目を開ける。


 (何ニャ? この葉っぱは?

 食べ物ニャ? この人間……ニャーを助けてくれたニャ?)

 

 黒猫は、ここに連れて来られた時は意識が朦朧としていてハッキリとは覚えていないが目の前の少女が自分に敵意がない事は分かった。


 「人間がいると警戒して食べないんじゃないか?」


 「そうかな? じゃあゆっくりして行ってねーーー」


 そう言って2人はいったん部屋を出て行った。


 (人間……感謝するニャ。この恩は必ず返すニャ)


 黒猫は、皿に盛られたレタスの山をムシャムシャと全て平らげた。


 (シャキシャキしてうまい葉っぱだったニャ。

 体力も回復したし、とりあえず天使ニャ。天使さえ見つかれば何とかなるニャ)


 部屋の窓が少し開いているのが見えたので、黒猫はそこから外に出ようとしたが、悠菜と真理が戻ってきた。


 「あーーー猫ちゃん全部食べてくれたんだーーー」


 「元気になったみたいでよかったな!!」


 「うん!! お父さんもお母さんも飼っていいって言ってくれたしねぇ」


 (ニャニャニャ? ニャーを飼う? そんニャ動物みたいな扱い……

 しかし今外に出てもまた飢えるかもしれニャイ。ここを拠点にして活動するかニャ

 その方が恩も返しやすそうニャ)


 こうして黒猫は悠菜の家で飼われることになった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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