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242話:ニュースから助っ人が始まりそうです

 翔矢とサクラは手を繋ぎ、どこかも分からない町中を歩いていた。

 この姿は端から見ればデートにしか見えないだろうが、手を繋いでいるのはサクラの権能で逸れたりしないようにだ。

 翔矢は挙動不審なほど、キョロキョロと辺りを見渡していた。 


 

 「うーん」


 「さっきから、どうしたの? ウチと手を繋いで照れちゃった?」


 「標識とか看板とか、住所が分かるモノを探してるんだよ」

 

 

 町中なので、歩いていれば何かしらありそうだが、初めての場所で、いざ探すと見つけれれなかった。

 

 

 「バカね、私の権能の前では、住所なんて分かっても役に立たないわ」

 

 

 サクラはドヤッと胸を張ってみせる。

 いつもならツッコミの1つでも入れるところだが、今回は妙に納得し、翔矢は看板を探すのを止めた。

 そのとき、ポケットに入れていたスマホからピロンと通知音が鳴り、翔矢は反射的に取りだそうとする。

 しかし、その手をサクラは抱きつくようにして止めた。


 

 「女の子と歩いている時に、スマホ触っちゃダメェ!!」


 「うわっ!!」

 

 

 不意だった事と彼女の力が、普通の人間と比べると強かった事が合わさり、翔矢はバランスを崩し倒れてしまう。

 

 

 「なにすんだよー」

 

 

 周りを歩いている人々からの視線を感じる。

 翔矢はすぐに立ち上がろうとしたが、サクラに押さえられており起き上がる事ができない。 そんな状態のまま少しばかり時間が経過し、次第に人々の視線が離れて行くのを感じた。

 興味が失われたというよりは、他の何かに興味が移ったようだった。

 

 

 「翔矢、みんなバカでかいモニターを見てるよ?」

 

 「この状態で周りが見えるとでも?」


 「今はウチしか見えないなんて、口が上手なんだからぁ」


 「そうだけど、そうじゃねぇよ!!」

 

 

 そんなこんなで、ようやく起き上がる事が出来た翔矢。

 人々の目線の先を辿ると、ビルに備え付けられたモニターにニュースが映し出されていた。

 

 「こりゃいつの間にか東京にでも来たのか?」

 

 『お伝えしてるように、北風エネルギー本社で爆発事故が発生しました。

 ケガ人などの情報は入ってきていませんが~』

 

 

 ニュースを見た翔矢は、頭を抱えながら、スマホに先ほど入った通知を確認する。

 

 

 「あぁ……このニュースの速報だったのか」


 「爆発事故なんて、この世界も物騒なのね」


 「いや……工場とかで偶に聞くけど、たぶん違う原因な気がする」

 ここが東京なら、北風エネルギー本社に行けるかもだけど……」


 

 サクラと目を合わせると、翔矢は大きく溜め息を吐いた。


 

 「“ウチと一緒じゃ辿り着けないだろうな”を言葉を発せず表現している」


 「人ごとみたいに言ってるけど、君の仲間とか関わってるんじゃないの?

 仲間は捕まったままなんでしょ?」


 「爆発なんて危ない権能の仲間はいないわ」


 「ちなみに、ここから別行動という……」


 

 翔矢が言い終える前に、その鋭い目つきが、問いに対する答えとなっている。


 

 「仕方ない……目指すだけ目指してみるか……

 蓮のおっさんや鈴さんの連絡先が分かれば、状況くらいは分かったんだけどな。

 ……あっ!! そうだ!!」

 

 

 ある人物の事を思い出した翔矢はスマホのメッセージアプリを開き連絡をした。

 今回サクラは頬を膨らませているものの、止めようとはしなかった。

 

 

 「ユリアさん返信早っ!! 『電話の方が話やすなぁ』か」


 『翔矢君やっほーーー!! デートの誘いかと思って期待してたのに残念』


 「あはは、その様子だと巻き込まれたりはしてなさそうっすね」


 『うん、東京には帰って来てるけどね、翔矢君は学校サボって東京?』


 「いやぁ……話すと難しいんですが~」


 『なるほど、ややこしいけど何となく分かったわ!! とにかく北風エネルギーの様子を見て来るわね』


 「お願いします!! 俺も……行けたら行きますんで!!」


 『行けたら行くが、そのままの意味で使われるの貴重ね!! まぁ様子見くらい任せなさい!! 何なら私が解決しちゃったりしてね!!』


 

 ここで翔矢はユリアとの通話を終えた。

 

 

 「これで最低でも状況は把握出来るようになったな」


 「誰? 今の人気声優です、みたいな綺麗な声の人は」


 「スピーカーにしてた訳でもないのに、何で会話筒抜けなんだよ!?

 そして、その通り人気声優さんだよ」


 「仲よさそうで妬いちゃう、でもスマホが使えるなら現在地くらい簡単に分かったんじゃない?」


 「……あっ!!」

 

 

 何で気がつかなかったと後悔しつつも2人は北風エネルギー本社へと向かうことにした。

 

 

 「スマホで調べたら、地下鉄で3駅くらいか、確か都会の1駅は歩ける距離だから3駅も、まぁ歩いて行けるかな?」


 「え? ウチ地下鉄乗ってみたいのにぃ!!」


 「使いたいけど、地下鉄丸ごと迷子にされたら大事件だからな」


 「なるほど!! 頭良い!!」

 

 

 納得とばかりにポンと手を叩くサクラに、翔矢は「人ごとかよ!!」と言いたくなる気持ちを抑えるのだった。

 


 

 ***

 

 

 

 翔矢との電話を終えたユリアは、すぐに北風エネルギー本社へと向かっていた。

 幸いな事に、現在地からは近いようだが、たどり着くには苦労している様子だ。


 

 「東京のビルがビルビルしてるのって苦手なのよねぇ。

 どれがどのビルなのよ!!」

 

 

 建物の外観はスマホで確認したのだが、オフィスビルが建ち並ぶエリアは、見れば見る程、どれも同じに見えてしまう。

 探し回るユリアの心の中に声が響いた。

 

 

 『お姉ちゃん、お困りのようだねぇ』


 「サヤ!?」


 『お姉ちゃん何かあっても戦えないし、別に翔矢君が見てる訳じゃないからね!!

 ここは私に任せてよ』


 「ちょっ……」

 

 

 ユリアは抵抗する間も無く、その人格と姿は双葉サヤへと変化した。

 彼女は転生教の幹部達に能力を与えた張本人だ。

 

 

 「ふぅ久々に出てこれました!!」

 

 

 少しばかり集めた注目など気にする事も無くサヤはビルの外壁から外壁へ、徐々に高いところへと乗り移り、ユリアの歩く数倍のペースで移動し北風エネルギー本社へと移動を始める。

 

 

 「しっかしおかしいですねぇ、爆発事故があったなら、探さなくても目立ちそうなものですが……ん?」


 

 壁伝いにビルを移動していると、1つのビルが傾いているのが見えた。

 

 

 「すっごい建築家さんが珍妙なデザインをした、とかじゃないですよね?」

 

 

 そのビルの前に着地すると『北風エネルギー』と掘られた金属の板があった。

 

 

 「ビンゴ!! うーん思ったより騒ぎになってないですし、爆発しましたよ感も無いですが……まぁ突入してみますか!!」

 

 

 異変を感じながらも、中へ入ると、そこには早速異様な光景が広がっていた。

 

 

 「およおよ、ブラック企業すぎて、みなさんお疲れです?

 働き方改革は、ちゃんとやらないとダメですよ?」

 

 

 まだ1階のフロアに入っただけだが、そこにいる社員は全員意識が無い。

 気絶というよりは、寝ているようだった。


 

 「うーん? ここで何があったのか、皆目見当も付きません」

 

 

 観察を続けていると、後ろから殺気を感じ、サヤは後ろに大ジャンプをしてみせる。

 ドーンという音と共に今までサヤが立っていた所にはクレーターが出来上がっていた。

 

 「おっとっと!! 物騒な子ですね」


 「お前も、あいつらの仲間?」


 「それ聞くなら、物騒なモノ振り回す前でしょうが!!」

 

 

 そこに立っていたのは、クラッシュダマーを持つ斎賀鈴だった。


 

 「お前……確か転生教に能力を与えた……名前は確か双葉サヤ?」

 

 「あちゃー、今ここで起こってる事と私は無関係なのですが、こうなったら見逃してもらえないでしょうね」


 

 鈴の殺意が強くなっているのを感じ、サヤは思わず冷や汗を流しながら両手を挙げるのだった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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