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224話:必殺技から崩壊が始まりそうです

 翔矢の放ったベルゼブラスターからの一撃の威力は凄まじかった。

 土煙は、まだ晴れていないが、校舎の壁が完全に崩壊しているのは分かった。

 

 

 「……なぁグミ、悪魔族って対価を払えば、依頼を聞いてくれるんだよな?」


 「言っとくけど、こんだけ壊れてたら、ニャーの手持ちの道具じゃ直せないニャ」


 「どどどどうしよ!?」


 「ペネムエが起きたら天界にでも頼んで見るニャ。

 この世界で魔力の存在は、できるだけ隠蔽したいらしいし、何とかしてくれるニャ……たぶん」

 

 「明日の登校までに直るかな?」

 

 

 その質問にはグミは答えず黙り込んでしまった。

 恐らく明日の朝までの修復は厳しいと言いたいのだろう。

 

 

 そんな話をしている間に晴れていた土煙から現れたのは無傷のアーベルだった。

 ライオン王子のスーツこそ、所々破けてしまっているが、本人にダメージは通っていないのだと分かる。

 


 「マジかよ……」


 「おいおい、悪魔族のニャーよりタフな奴ニャ」


 「そこまでタフな訳はない、出来る限りの防御魔法を展開した。

 時間が無かったから耐久面はギリギリだったがな」


 「こっちは、そこそこの時間かけて攻撃したんだだけどな、ショックだ」


 

 翔矢は頬を伝う一筋の汗を反射的ににぬぐった。


 

 「おい翔矢……こいつは今倒しておかなきゃマズいニャ!!」


 「え? まぁ確かに今ので倒せないと手が思いつかない厄介な相手だけど」


 「そう言うのじゃ無くて……なんて言うか野生の勘って奴ニャ!!」


 「グミ、悠奈に飼われてなかったか?」


 「そういうの良いニャ!! とにかく……ニャーも本腰入れて助太刀するニャ」


 

 悠奈に目に見えるような危険が無い状況で、グミがここまで真剣な顔をしているのを、翔矢は初めて見た気がした。

 トリニティとベルゼブラスターの力を過信していた翔矢も気が引き締まり、それ以上グミを冷やかす事はなかった。

 

 

 「って言っても、あのバリアどうすんだよ?」


 「翔矢……さっきの口ぶり的に、さっきのが最大威力じゃないよニャ?」


 「まぁ威力だけならもっと出せるけど……これ以上学校を壊す技は打たないぞ?」


 

 ここまで話したところで、グミは翔矢に耳打ちをした。

 彼女に何か考えがあるのだろうと思ったが、それ以上の意図は理解できなかった。

 


 「……やるしか無いか」

 【ベルゼブラスター・ブラストモード】



 持ち手をグィッと曲げると、今まで大剣型だった武器は、ショットガンのような形状に変化する。

 その窪みに赤メリをセットすると、ベルゼブラスターに3色のエネルギーがチャージされ始める。

 

 【トリプルワールド・コンバイン】

 


 「おいおい……斬撃はともかく、全体攻撃はやばいだろ……

 そんなに俺を倒したいのか? ……ある意味本能のようなモノか」



 アーベルは、翔矢の構えを見るなり危機を感じ取り、自分の背丈ほどの壁を何枚も断層のように展開した。



 「くらえ!! ウルトラ・ハイパー・メチャツヨ・ビーム!!」


 「くっ……」


 

 壁の展開により一層の力が入るアーベルだったが、何秒か過ぎても攻撃された気配がない。

 すぐに2人の作戦に気がつき、壁を解除し振り向いたのだが、時は既に遅く目の前には黒猫姿のグミが、そこまで迫っていた。

 

 

 「くっ……」


 「この作戦に気がつくとは、やっぱり只者じゃないニャ、でももう遅い!!」

 【奥義・獅子王百打ノ型】

 

 

 グミは黒猫形態での高速移動と、人間態での高速の拳を繰り返し、アーベルはこの速度に対応できず、ただただ攻撃を受け続ける。

 この攻撃はグミの体力と変身の魔力が限界を迎えるまで続き、やがてグミは黒猫形態のまま横になり、自力では立ち上がれなくなってしまった。

 

 

 「グミ!! 大丈夫か!?」


 

 慌ててグミの元へ駆け寄り抱きかかえる。

 この姿では、グミは会話が出来ないのだが、彼女が弱々しく「ニャー」と発したので、翔矢は安心し肩の力が抜けてしまった。

 

 

 「とりあえず無事みたいだな……でもあんな攻撃して、アイテムボックスに入れられた悠奈は帰ってくんのかな?」

 

 

 気が抜けながらも、今の今まで、アーベルが倒れていた方へ目を向けた翔矢は思わず息を呑んだ、そのアーベルの姿が見当たらないのだ。

 

 

 「おい、今の耐えたのかよ!?」

 

 

 ベルゼブラスターの形状を大剣へと変え、周囲を警戒しながら見渡す。

 だが彼が自分の肩をトントンと2回叩くまで、その姿を見つける事は出来なかった。

 

 

 「悠奈さんの事は心配いらない、すでに家のベッドに転送してある」


 「それを信じろと?」


 

 翔矢は動揺しながらも、振り向きざまにベルゼブラスターを一文字に振るう。

 それもアーベルは軽々と回避して見せた。

 

 

 「それなら……飼われてる黒猫も見張り用に転送するか?」

 

 「あっ、お前!!」


 

 アーベルは翔矢からグミを取り上げ、アイテムボックスの中へと放り投げてしまった。

 

 

 「いやグミを放り投げた所で、悠奈が家に帰ったって信用する材料にはならないからな!? ってか、そんな事が出来るなら、俺も学校から出しやがれ!! ってかお前も自分で脱出出来るだろ絶対!!」


 「あっ!! ……今回の事件は謎も多いし、学校もこのままにしておけんのでな」


 「いま『あっ』って言ったぞ!! 無理矢理脱出しようって発想がなかったな」


 「勇者は、そんな卑怯な真似はしない」


 「勇者!?」


 「お遊びは、ここまでだ、今はまだ未熟のようだが、その力……いずれは全ての世界の驚異となる、この体の持ち主は気絶している絶好の機会……やはりこの場で始末しておくか」


 

 アーベルは両手を前にかざすと、いままでに無い巨大な魔方陣が展開させエネルギーを充填する。

 翔矢は怯むこと無く、再びベルゼブラスターを大砲型に変化させ、対抗するようにエネルギーを充填する。

 

 

 「お前が勇者って……俺の貰った力が大魔王の力だから潰しに来たのか?」

 

 「力そのものに善も悪も無い、それに大魔王とは全ての世界の人間の罪のバランスを取る存在、倒しても何処か他の世界に後任者が現れるだけだ。

 大抵はその世界を支配してしまうが、その脅威に対抗する為、人間は団結し罪を克服する、そういう存在なんだ」


 「よく分からないが、大魔王は災害って感じか」


 「そう……意思のある災害と言って良い。

 だが現代のベルゼブは……俺の手で終わらせて見せる!!」

 【パラレル・ブレイク】


 

 アーベルの展開した巨大な魔方陣から、柱ほどの太さのレーザーが放たれ、その風圧だけで、崩壊寸前の校舎へのトドメとなっていた。

 この状況ですら、翔矢は臆することなく、レーザーから目を反らすことなく、再びベルゼブラスターに赤メリをセットする。

 自分が死ぬどころか、ダメージを負う想像すらしたいない程の無駄の無い動きにアーベルは狂気を感じずにはいられなかった。

 

 

 「宮本翔矢……瑠々の信じたお前は、もう手遅れなのか?」



 その小さな言葉は翔矢には届いていないだろう。


 

 【トリプルワールド・コンバイン】

 【ワールドエンド・ブラスト】


 

 ベルゼブラスターからもアーベルの放ったレーザーと同規模か、それ以上のレーザーが放たれる。

 2人の放ったレーザーは激しくぶつかり合いながら拮抗する。

 大きなエネルギー同士の衝突は、どちらかが消滅するよりも先に、最悪の結果をもたらしてしまう。

 

 

 「しまった!!」


 

 異変に気がついたアーベルは、翔矢のレーザーごと、軌道を上に反らし“空中”へと衝撃を逃がした。

 


 「あっ……」


 

 戦いに集中していた翔矢も、我に返り状況に気がつく。

 2人に戦いにより、校舎の大半は崩壊してしまったのだ。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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