214話:会議から脱獄が始まりそうです()
時は少し遡り、ここは天界。
女神のアテナとアルマ、加えて十二神官が集まり大がかりな会議が開かれていた。
「ノーマジカルに派遣されている天使、ついでに人形からの報告によると……
1か月足らずの期間で、天使を名乗る双葉サヤという女による能力の配布!!
その能力を悪用した転生教という集団の暗躍!!
辛うじてノーマジカルの人間に、魔法の存在が広まる、という事態は避けられましたが……
アテナ様!! アルマ様!! これは辞任ですぞ!! 辞任!!」
会議の進行を務める十二神官のクローバーは頭の巨大な四つ葉を揺らして怒り心頭と言った様子だ。
「幸い、みなの活躍で犠牲者は出なかったようじゃ。
北風エネルギーとか言う魔力を持つ存在を敵視している組織もいたようじゃが、協力関係も築けたようじゃしな」
「アルマ、女神とは思えない口ぶりねー。
今回の事件犠牲者も出ているのよー」
アルマとアテナ、2人の女神は今にも戦いを始めそうな勢いで睨みあっている
「犠牲になったのは流星雨とか言う科学兵器でじゃろ?
ノーマジカルの人間がノーマジカルの技術で犠牲になったのなら、天界は口を挟まん」
「でも転生教は、魔法による能力が無ければ、事件を起こさなかったはずよー」
「だとしてじゃ、ワシにどうしろと?」
「女神としての、気持ちの話をしているのよ!!」
アルマは冷静な様子だが、アテナは怒りで強大な魔力が溢れ出ていた。
「2人とも落ち着かんか!! 過ぎ去った時は戻らん!!
今は、その双葉サヤという者を探し出すのが先決では?」
「オーディン様の仰る通りでボーン。
反省は必要だが問題は山済みでボーン
その双葉サヤという女、正体は分かっているのでボーン?」
「ピエルン、お主が会議でまともに発言するとは珍しいな」
「十二神官としてヒヨッコなので委縮してるだけでボーン」
「議題のの双葉サヤという女ですが正体は分かっておりませんな!!
これだけの事件の発端となる者を今まで放置していたとは、辞任ですかな? 辞任?」
「まぁ天界に恨みを持つ天使も大勢おるだろうからのぉ。
アイリーンはどう思う?」
「あら? まるで私が天界に恨みがあるような言い方ね?
双葉サヤが配っていたのは、大魔王デモンの力で間違いないでしょう?
だったら、かつて大魔王デモンを封印したオーディン様に聞いた方が早いのでは?」
「ワシはただ、ある世界で暴れた大魔王デモンを、勇者と共に封印したのみ。
それ以前の事も、以後のデモンの管理も知らされておらん」
「天界の事が起こってから対応するスタンスも多少は見直さねばなりませんな。
封印されたデモンは、どうなったのですかな?
担当者は辞任ですかな?」
「いや、ワシの記憶が正しければ、その年は“オールリセット”が発生したはず」
オールリセットというワードに反応するように、会議は静まり返ってしまった。
その静寂を破ったのは、誰かがドアを激しく開ける音だった
「申し上げます!!」
「何ですか? 会議中ですよ!?」
「スイマセン……しかし……ルーシィが脱獄しました!!
今、騎士団長が交戦中です!!」
「何ですって!?」
「次から次へと」
「天界祭が近いというのに……」
「ルーシィ……ミーが生まれた時にはすでに収監されていた記憶があるでボーン。
大人しくしていると聞いていたが、何故今になって脱獄など?」
「とにかく全員で向かうしかないわ、監獄は中からも外からも魔法が遮断されるのよー。
瞬間移動の類はつかえないのよー」
「脱獄対策が仇となったのぉ」
十二神官と女神アテナは、大慌てで会議場を飛び出して行った。
その慌てぶりから、アルマが今回の事態に余裕を持っているのに気が付かなかったのだ。
***
「ルーシィ!! 止まりなさい!!
あなたは完全に包囲されているわ!!」
監獄では薄汚れた囚人服に身を包んだ女が、大勢の騎士に囲まれていた。
「完全に包囲? ここで魔法は使えないのに?」
「それは、あなたも同じ!!
この人数から1人で逃げ切れるとでも」
「頑張って逃げまーす!!」
ルーシィは騎士の槍や剣による攻撃を軽やかに回避する。
「なっ」
「なぜ当たらない?」
「あのさぁ、ここで刑務官みたいな任務やってるなら、もっと体を鍛えないとダメよ?
普段から魔法に頼りすぎて、武器の扱いがテキトー!!」
「みんな下がって!! 私が行く!!」
「騎士団長!!」
鉄仮面で顔を隠した女の騎士団長の一言で、他の騎士団は一斉にルーシィから離れる。
「騎士団長かぁ、まだ若いよね?
命は大事にした方が良いと思う」
「アドバイス……ありがとうございます!!」
「一応年上は敬うんだね」
騎士団長の長い槍をルーシィは軽々と掴み、そのまま投げ飛ばしてしまった。
「くっ……長年監獄にいて、なぜここまでの体術を?」
「“これから”必要になるって知ってたからからねえ」
「そんな前から脱獄の計画を?」
「さぁねぇ?」
「だが、この監獄は海の真ん中!!
魔法を使えねば脱獄は……」
騎士団長は途中で言葉を失ってしまった。
ルーシィの目の前には、次元の裂け目、ゲートが出現していたのだ。
「なんで、こんな場所にゲートが?」
「さぁね? ノーマジカル。
魔法が使えない世界らしいけど、まぁ長年ここにいたら同じだし何とかなるか」
ルーシィは迷く事無く次元の裂け目に飛び込むのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
ストーリは一生懸命練って執筆しております。
少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。
下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。




