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171話:呼び出しからチートが始まりそうです

 双葉サヤこと天道ユリアに忘れ去られ、1人病院の廊下に取り残された翔矢。

 数分は待機していたのだが、不安半分短気半分で、とうとう待ちきれなくなってしまった。

 今、翔矢は敵を警戒する事もなく、手当たり次第に病室を確認している。

  

 「ここでもない!! ここでもない!!」



 病室の様子を確認するたびに、ついつい声が出てしまうが、病院なので勢いだけで一応小声である。



 「この列じゃないのか?

 ……おっあそこ電気付いてる!!」



 10近い病室を確認したが、たまに患者の寝ている病室があったくらいで、得に不自然な点は確認できなかった。

 そのとき、明かりの漏れているドアを見つけたので、駆け足で向かう。

 少し開いていたドアの隙間から様子を確認すると3人の信者が伸びているのが見えた。


「ここは病室じゃなくてホールだったか。

 あれ? サヤさんも悠奈もいないけど、どうなった?

 おーーーい!!」



 翔矢は信者の1人に尋ねようと頬を叩いたが、起きる気配は無い。



 「ダメか……たぶん能力無い奴だし、吐かせようと思ったんだが……

 悠奈を安全な場所に連れて行ってくれてるのかな?」



 この場に留まるか、探しに行くか迷う翔矢だったが、ひとまず悠奈は無事だと判断し安心する。

 その時、ホールに大柄な男がゾロゾロと入って来た、翔矢は思わず両手を上に挙げてしまう。



 「君!! 気絶したとはいえ、そいつらは危険なテロリストだ!!

 全員バナナの皮で滑って転んだらしいが、後は俺達に任せなさい!!」


 「はっ……はい」


 「先輩、この坊主は高校生くらいですよ?

 そんな勢いで話しても怖がられるだけですよ」


 「そっそれもそうか、すまない坊主。

 俺たちはマッスル大学のラグビー部の者だ。

 金髪の超美人さんと女子高生から、テロリストがいるって情報をもらってね。

 敵は少数だし、みんなに知られたらパニックになるから、コッソリ拘束して欲しいとお願いされたんだ」


 「そっそうだったんすね」



 これだけ大柄な男が10人近くも揃って歩けば、コッソリは不可能だと翔矢は思ったが、何とかツッコミたい気持ちを押さえた。



 「それで、君は何でこんな所に?」


 「えっと……知り合いと逸れてしまって。

 占い師みたいな変わった格好してる、俺と同じ年くらいの女子なんですけど」


 「そんな変わった服装の子、俺たちは見なかったなぁ」



 ラグビー部の男たちは一斉に首を横に傾げた。



 「そっそうですかぁ」



 恐らくラグビー部を呼んだ女子高生というのは悠菜の事だろう。

 彼女の事はサヤが助けに行ったのに、一緒にいない事に翔矢は疑問に思う。

 サヤの髪の色は綺麗な黒髪なので“金髪の美人”というのは別人だ。



 「じゃあ、俺、まだ知り合い探すんで」


 「1人で大丈夫かい? こいつらの仲間がまだいるかもしれないよ?」


 「逃げ足は自信あるのでー!!」



 何となく、すぐにここから立ち去りたかった翔矢は、駆け足でラグビー部に後ろ向きに手を振るのだった。



 「何がどうなってるんだ? そうだ!! 悠菜にメッセージを送ろう」 



 思い立った翔矢はスマホを取り出す。

 今や転生教によるテロ事件は大ニュースになっている。

 『怪我は無いか?』というメッセージでも送れば、悠菜の性格上、かなりの情報を返してくれると考えたのだ。

 


 「あれ? メッセージ届いてた……ユリアさん」


 

 『病院に避難してたら、悠奈ちゃんとバッタリ会っちゃって、、今は下の待合室に逃げてるわ。

 占い師の女の子とすれ違って翔矢君にヨロシクとか言われたんだけど……

 病院にいたら、一階の売店前に来て!! 合流しましょう。

 もちろん悠奈ちゃんは、このまま待合室で避難しててもらいます』



 「サヤさん……この状況で何でバックレた?

 まぁ元々素性が分からない奴だしな」



 そこにあった病院内の地図で売店の場所を確認し、翔矢はユリアの元に急いだ。



 

 ***



 その頃、警備員と睨みあっていたグミ。

 先に動いたのは警備員の方だった。



 「転生教だろうが異世界の生物だろうが関係ありません!!

 魔力を持つ者は、誰であろうがぶっ潰します!!」


 「人間にニャーが倒せ……」



 戦闘前は余裕を見せていたグミだったが、警備員の動きを見て目の色が変わる。

 明らかに人間を超えた速度で、自分の前まで距離を詰め、そのまま殴りかかって来たのだ。



 「ニャ!!」



 何とか下にしゃがみ回避をしたが、警備員はそのままローキックを繰り出しグミの足を直撃。

 そのままバランスを崩してしまった。



 「思い出しました、六香穂支部に入り込んだ猫娘ですね、あなた」


 「正解……ニャ!!」



 体勢を崩したグミは、顔を警備員に踏まれそうになったが、黒猫の姿に変わり回避。

 そのまま、すぐに人間の姿に戻った。



 「六香穂支部……ペネムエが誘拐された時の工場ニャ。

 確かあのときゴブリンの他に、人間も3人いたニャ」


 「えぇ、その中の1人、鷹野と言います」


 「名前までは憶えてニャイ、そもそも知らニャイ。

 ってか、お前こんなに強かったニャ? 魔力は感じニャイが」


 「あのとき人口魔力を投与した副作用で、強靭な肉体を手に入れたのです。

 あの憎いドクターの仮説ですがね、人工魔力が消えた後も肉体はそのまま。

 いえ、投与していた時よりも強くなりました」


 「マジか……お前みたいなのが後2人いるニャ?」


 「虎谷さんと八田さん……彼らは人工魔力に耐えきれず、あれから目を覚ましません」


 「正直安心……不謹慎で悪いけどニャ」


 「気にすることはありません敵同士ですから!!」



 鷹野は警棒を取り出しグミに襲い掛かる。



 「翔矢のファイターと同等……

 いや、それ以上の強化をノーリスクとは参ったニャ」


 「2人は親友です!! 魔力が無ければ、今も一緒に働けていたのに!!」



 鷹野はグミの顔面を目掛け、思いっきり警棒を振るった。



 「いやぁ、ここに来たのがニャーでよかったニャ!!」



 グミの体を大きく回した蹴りが警棒を砕き、そのまま鷹野の頭を蹴り飛ばした。

 鷹野は、ドアの空きっぱなしになっていた病室にサッカーボールのように吸い寄せられドゴーン大きな音が鳴った。



 「しまった!! やり過ぎたニャ!!

 死んでないよニャ? ってか患者さんいないよニャ?」



 グミは慌てて病室に突入、入院患者のいない部屋で一先ず安心し、鷹野の様子を確認する。



 「生きてるよニャ? あれだけ強かったんだか耐久も上がってるよニャ?」


 「えぇ、少し痛かったですが」


 「よかっ……ニャーーー!!」



 鷹野にまだ意識があったことに驚き、グミは慌てて距離を取る。



 「その速さ……ドクターの見立て通り、あなたは、この世界の戦闘では最強のようですね」


 「まぁ肉弾戦なら、そうそう負けないニャ。

 基本的に魔法の使えないこの世界なら、最強というのは間違いはないニャ」


 「強くなった体に自信があったのですが、勝ち目はなさそうですね」


 「そう思うなら見逃してほしいニャ。

 課題が山済みなもんで」


 「その課題が何なのか知りませんが、考える必要はありません。

 すべての魔力は……私が排除する」



 鷹野はオモチャの光線銃のような物を取り出した。



 「なんニャ? 悠ニャが遊んでた子供の持ってたオモチャに似てるニャ」



 見た目は、どう見てもオモチャ、しかしソレから得体の知れない何かを感じたグミは一歩下がる。


 

 「ドクターの研究室から拝借したものです。

 こんな素晴らしい物を、何故隠していたのか」

 【チートリガー・スパイダー】


 

 光線銃の窪みにメダルのような物をセットすると不気味な音声が流れた。

 そして、上から落ちる蜘蛛の巣が鷹野を包み込み、その肉体を人型の蜘蛛へと変化させた。



 「うわーーー日曜朝の番組のオモチャは出来が良いニャー」


 「まぁ……この装備のチートリガーという名前。

 ドクターは遊び半分参考半分だったのかもしれません」



 チートリガーの引き金を引くと、白い弾丸のような物が高速で発射される。



 「これくらいなら避けれ……ニャ!!」



 弾丸の回避事態はグミには容易だった。

 しかし、回避した瞬間、その弾丸は蜘蛛の巣の形になりベタベタした免疫がグミを拘束した。



 「ちくしょう……魔力を感じた地点で警戒するべきだったニャ」



 必死に藻掻くグミだが、悪魔族の力を持ってしても、この拘束からは抜け出せそうにない。



 「あなたの肉体は、魔力を持つ生命体では最強らしいですね。

 つまり、貴様さえ倒せれば理論上すべての相手を始末できるという事」



 蜘蛛の怪人となった鷹野はチートリガーにセットされたメダルを入れ替えた。

 【必殺コア・暴食のスライム】



 「ちくしょう!! 動け!! 動け!!」



 チートリガーから感じられる魔力は、明らかに異常だった。

 しかし、いくら藻掻いても、ネバネバとした拘束からは逃れられない。



 「まずは……一匹」



 鷹野が引き金を引くと、青く巨大なスライムが発射されグミに襲いかかるのだった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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