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153話:爆破から神が始まりそうです()

 戦うための力を発動させた翔矢と蓮。

 しかし、ゼロは全く動じていない。

 それどころか、楽しみにしているようにも見えた。

 


 「なかなか、面白そうな力ですこと。

 まとめて相手をしてあげるわ」



 ゼロは俊敏な動きで翔矢の方に向かって来る。



 「刀の方は、どんな戦闘をするか検討は付きますが、その赤いのは、どんな魔法かしら?」


 「こういう魔法だよ!!」



 相手は女性だが、今までの戦いとは状況が違う。

 翔矢は覚悟を決めて、右手からのストレートを、ゼロの顔面に食らわせようとした。



 「おっと、危ないわね、いわゆる肉体強化かしら?」



 だが紙一重で回避され、頬をかすめるだけだった。



 「もらった!!」



 ゼロの後ろのに回り込んだ蓮は、腰を一文字に切り裂こうとした。

 だが、これも軽快なジャンプで回避されてしまった。



 「今のも、かわすのか?」


 「“もらった!!”とか言うからじゃないか?」


 「いや……恐らくは、お前と同じ肉体強化。

 又は回避特化の能力だ」



 まだ戦闘は始まったばかりだが、蓮は確実にゼロの動きを見極めていた。

 その説に、翔矢も納得し頷く。



 「だったら、これだ!!」

 【コネクト・アクセル】



 翔矢の体を今度は青いオーラが包み込んだ。

 その瞬間、この場の誰もが翔矢の動きは目で追えなくなった。



 「あら、私たちと違って、いくつか能力を使えるみたいね。

 羨ましいけど、あんまり動くと危ないわよ?」



 翔矢は、高速でゼロを翻弄して、攻撃のタイミングをうかがっていた。

 超高速で動いているとはいえ、相手が回避特化の能力なら一撃で決めなければ厄介になると考えたからだ。

 そして攻撃を仕掛けようとした瞬間、足元がピカッと光った。



 「はっ?」



 危険を察知し、その場から距離を取ろうとしたが、アクセルの速度をもってしても間に合わないくらい一瞬で足元は地雷を踏んだように爆発してしまった。

 翔矢は爆風で吹き飛ばされ、アクセルの青いオーラも解除されてしまう。



 「おい!! 大丈夫か?」


 「いたたた、なんとか生きてる」

 


 慌てて駆け寄ってきた蓮だったが、翔矢が自力で起き上がったのでホッと肩を撫で下ろした。



 「まさか2つの能力を持っているのか?」


 「あら、知らないの? 能力は1人1つしか持てないのよ?」


 「それが本当なら、この中にまだ能力者がいるという事か?」


 「私は嘘は付かない方だけど、そこまで敵に教える必要ある?」


 「ないな……だが宮本翔矢が動いていた間、他の信者に動きは無かった。

 という事は、今の爆発は地雷のような設置式……

 この場から動かずに戦えば、意味をなさない。

 宮本翔矢!! 俺と戦った時に発現した力を使え」


 「だ・か・ら!! あんたに仕切られるのは納得いかないんだよ!!」



 口でそう言いつつも、翔矢は赤メリに付いているグレーの魔法石に手をかざした。

 その状態で装着した右手拳を左の掌に押し当てる。


 すると翔矢の上空に魔法陣が展開される。

 魔法陣の中には、鋼の鎧を身にまとった騎士たちのいる世界が映し出されている。



 【コネクト・メタル】



 魔法陣が翔矢を包み込むと同時にその体はずっしりと重くなる。

 ファイターやアクセルと違って、体にオーラは発生していない。



 「これ慣れれば便利そうだけど、体あまり動かなくなるから嫌なんだよなぁ……」


 「動いたら、また爆発の餌食かもしれんぞ?」


 「それもそうか」


 

 翔矢が右手をに向けると、辺りの金属製品が溶けだし液体金属に変化した。

 それを見計らい、蓮も居合切りの体勢に入る。



 「おい、ちゃんと手加減しろよ。

 この高さの建物が斬れるのはシャレにならねぇぞ」


 「あの後、ドクターから使い方をしつこく教えられたから問題ない。

 お前こそ、急所は外せよ」


 「分かってるっつーの!!」



 翔矢は液体金属を無数の弾丸に変化させゼロの周りを取り囲んだ。



 「あらあら、殴るだけの力じゃなかったのねぇ」



 それでもゼロは余裕を見せていた。



 「命は取らないけど、こんだけの事をしてるんだ。

 大怪我くらいは我慢してくれよ?」


 

 翔矢が手を振りかざすと、100以上の弾丸がゼロに向かって放たれた。



 【鬼神ノ太刀】



 その攻撃にタイミングを合わせ、蓮もソルを抜き、飛ぶ斬撃でゼロを狙った。

 2人の攻撃がゼロをとらえると辺りに肉片が飛び散ってしまう。



 「なっ……」

 「え?」



 その光景に、それ以外の言葉は出て来なかった。

 もちろん相手を確実に仕留める気持ちで攻撃はした。

 だが、それはあくまで戦闘不能にするという意味だ。

 ここまでの状況を生む攻撃をした覚えはない。

 

 だが、それ以上に異様な光景が2人の前に広がる。



 「「「「「ゼロ・ゼロ・ゼロ」」」」」



 信者たちは全く動じることなく、ゼロの名前をコールする。

 それはアイドルのコンサートを連想するような勢いのあるコールだった。

 コールが鳴りやまないまま1分程度経過した時のこと。

 辺り一面に広がっていた肉片がウネウネと動きだし一カ所に集まる。



 「おい……」

 「どういう事だ……」



 集まった肉片は再び人の形となり、ゼロは復活した。



 「宗教の教祖って神みたいに崇められる場合もあるじゃない?

 死んで蘇った人間は神になるのよ?

 私に人間みたいな死の概念はないの」



 動揺が隠しきれない2人に向かってゼロは爆発を発生させた。

 翔矢も蓮も数メートル吹き飛ばされる。

 何とか起き上がるが、生身の蓮は特に大きなダメージをおってしまった。



 「どうすりゃいいんだ……」


 「ゼロは神を名乗っている、つまり人間ではない……

 ならば“拘束に拘る必要はない!!”」



 体勢を立て直した蓮は、ソルを強く握り、ゼロに斬りかかる。



 「まぁ……ぺネちゃんに酷い事をした、あんたらならそう割り切るよな……」



 まだ動く気になれない翔矢は、蓮の戦いをただ見つめた。

 彼は最小限の動きで、確実にゼロの首を斬り落しにかかった。



 「お前は、最初俺の攻撃を避けた!!

 再生能力が無限ならば、その必要は無かったはず。

 つまり、必ず何らかの制限はあるはずだ!!」


 「なら、今回は避けないであげましょう」



 その言葉の通り、身動きせず蓮の刃で首を落とされた。

 残った胴体も蓮は細切れにする。



 「なに……?」



 先ほどの攻撃よりも、原型の無い程に切り刻んだが、それでもゼロは再生してしまった。



 「この再生は、無制限ですよ?

 さっき避けてしまったのは、単に反射みたいなものよ。

 ハエが目の前に飛んできても、別に怪我の心配は無いけど避けちゃうでしょう?」


 「化物め!!」



 叫びながら蓮は、ソルを真上から振り下ろし、ゼロを真っ二つにした。



 「化物でなく神……に限りなく近い存在よ」



 今度は再生せず、体が割れたまま、ゼロは蓮のジャケットに触れた。



 「神に挑んでくる度胸に免じて1つだけ教えてあげましょう。

 触れた物を爆弾に変える、それが私の能力です」



 ゼロが指をパチンと鳴らすと、その触れた ジャケットは爆発を起こす。

 蓮は上半身に火傷を負い、倒れこんだ。



 「そこの高校生は肉体強化でしたが、あなたはほとんど生身のようですね。

 かなり痛いでしょう? 72時間経てば異世界に行けますが、耐え切れなそうですね。

 すぐに楽にして差し上げます」



 再びゼロは蓮に触れようと、ゆっくり手を伸ばす。



 「確かに痛い……だが、貴様らの目的を阻止するまでは倒れる訳にはいかん!!」



 蓮はソルを振るい、ゼロの手を切り落とそうとした。

 だが、その刃はゼロに捕まれてしまう。



 「くっ……だが、刺し違えてでもお前を倒す!!」


 「格好付けてるところ悪いけど、その武器は魔力を纏っているみたいね?

 私の能力は、生き物と魔力を纏ってる物は爆弾に出来ないのよ。

 私に接近し続けて爆破に巻き込めば倒せると思った?

 まぁ、それでも私だけ生き残りますけど」


 「そうか……油断したな!! しゃべりすぎだ!!

 やれ、宮本翔矢!!」


 「おう!!」



 翔矢の返事を確認した蓮は、急いでゼロから距離を取った。



 「なっ……」



 ゼロの体を液体金属が、ゆっくりと包んでいき、どんどんと固まっていく。



 「俺が操ってる間、金属は魔力を纏ってるんだ。

 これなら爆発できないし、固めれば動けないだろ?」



 初めてゼロが焦りを見せたので、翔矢は調子に乗ってしまった。

 だが、この作戦の欠点に自分で気が付いてしまった。



 「この魔法を使ってると、俺動けないんだけど!?

 固めたまま、メタルを解くと、金属に付与してる魔力なくなるんだけど!?

 そしたら、金属を爆弾に変えられて逃げられるんだけど?」


 「鈴と銀髪が来るまで封じていられれば良い。

 人手が増えたら、他の策もあるだろう」


 「まぁぺネちゃん来れば、何とかなるか」

 


 ゼロの首から下を金属で固め動きは完全に封じている。

 これならば人知を超えた運動神経も再生能力も意味はないはずだ。

 翔矢も蓮も動ける状態でないので、警戒しながら2人を待つ事にした。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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