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139話:命名から隙が始まりそうです

 戦う相手を交代した4人。

 翔矢は鈴と、ペネムエは蓮と睨みあっていた。


 「君、女は殴れないでしょ?

 こっちが弱い者イジメしてるみたいで戦いにくい……

 やっぱり、銀髪と戦いたい」


 鈴は気だるそうにペネムエの方をチラ見した。


 「そう言うなって!!

 俺の友達の21歳女性は大人の女性は男子高校生が好きって言ってたぞ?

 相手してくれよ」


 「私の事が何歳に見えてるか知らないけど、17歳。

 中卒で就職したけど年齢的にはJKよ。

 高校生ブランドは通用しないわ」


 「そうなんだ、若く見えると思ったけど実際に若かったんだ!!」


 「褒めても……打撃しかでないわよ!?」


 鈴は、最大まで大きく変形させたけん玉のハンマーを振るう。

 翔矢は後ろ飛びで回避したが、地面にはクレーターが出来てしまった。


 「本当に俺の赤メリと同じ出所の武器なのか?

 あいかわらず攻撃の規模が違い過ぎる……」


 「この前みたいボコボコにしてあげる、銀髪はそれから!!

 まぁ、先に蓮が倒しちゃうかもしれないけど」


 鈴はけん玉を振り回しやすい大きさに変えて翔矢に襲い掛かって来た。


 「くっ……武器の応用力がすげぇな……」


 鈴の武器がいかに応用力が高くても、何の肉体強化も同い年の女の子が振るっている武器だ。

 一応、喧嘩の経験が豊富な翔矢は、ファイターの力もあり回避するには余裕があった。


 「君、攻撃する気がないなら勝てないよ?」


 「別に殴れないだけで、攻撃はできるぞ?」


 鈴がけん玉を振りかぶった一瞬の隙を付いて、翔矢は彼女の手首を掴みギュッと力を入れた。


 「いたっ!!」


 鈴は、たまらずけん玉を落としてしまう。

 それを翔矢が蹴とばすと、10メートルほど飛んで、工事の資材の中に入り込んでしまった。


 「これが無ければ戦えないだろ?」


 彼女を逃がさないように手を掴んだ状謡をキープする。


 「思ったよりは馬鹿じゃないのね」


 「まぁ人並みくらいだとは思ってるけどね」


 「でも詰めが甘いわ。

 おいで【クラッシュダマー】」


 「え?」



 鈴の声に反応して、けん玉は翔矢の顔面目がけて向かって来る。

 なんとか回避したが、バランスを崩して鈴の手を離してしまった。



 「ちくしょう、そんな機能まで付いてるのかよ!! ズルい!!

 あと、けん玉の癖に名前が横文字でかっこいい」


 「ありがと、ちなみに蓮が命名してくれたわ」



 そんな話をしている内に彼女はクラッシュダマーを握りしめていた。



 「この前勝てたからって油断は禁物みたいね。

 肉体を強化してる上に男女の身体能力の差もある……

 うん、接近戦は止めた方が良かったかな」


 「まだ何かあるのかよ……」


 「正解よ!!」


 

 鈴がクラッシュダマーを振ると先端の玉が外れ、スーパーボールのように跳ねまわっている。

 スーパーボールと大きく違うのは何かに当たるたびに、そこにクレーターが出来る事だ。



 「その玉、糸で繋がってないのかよ!!

 ってか……このクレーター、前の事件のと一致してない?」


 「冤罪よ!! 似た能力くらいあるでしょ!?」


 「ごめんなさぁい!!」



 鈴の攻撃によって発生するクレーターが、殺人事件の現場のと一致してるように見えたにで指摘したが鈴はキッパリ否定した。

 これに怒ったのか、鈴の攻撃は激しさを増す。



 (思い付いたからって口に出すもんじゃないな。

 よく見たら、鈴って子の攻撃で出来た穴はヒビが大きい。

 でも、最初からあったクレーターは綺麗な真ん丸だ)

 

 

 猛攻を受けながらも、状況を分析する余裕はあった翔矢。

 だが、ハンマーと玉の両方での攻めに防戦一方になってしまった。




 ***




 「やはり、翔矢様は人間相手……というより女性相手では攻めきれませんか」



 翔矢と鈴の戦いをチラチラと見ながら蓮の攻撃をかわすペネムエ。

 人間相手に、あまり本気を出せないのは彼女も同じで、ブリューナクは構えたものの防戦一方になっていた。



 「自分は敵じゃないアピールのつもりか? 少しは攻めたらどうだ?」



 ペネムエが仕掛けないからと言って敵が手を抜いてくれる訳ではない。

 斬撃が当たれば確実に致命傷になるであろう首などを中心に蓮は攻めている。



 「そう言われましても、そちらが敵視してくる以外にこちらが攻撃する理由はないですからね」



 蓮の斬撃は的確である分、ペネムエにとっては回避は鈴との戦いよりも楽だった。



 「敵視しているのではない、貴様らウィザリアンは、この世界に存在する事が脅威だ!!」



 蓮は一定の距離を取ると日本刀を鞘に納めた。



 (来る……)


 

 その体勢になっただけで、翔矢を苦しめた技が来るのが分かる。



 「宮本翔矢は普通の人間、殺す訳にはいかなかったが、お前は異世界からの脅威。

 殺してしまっても何の問題もない」


 「まぁ、その宮本翔矢も回避してなかったら死んでたし、手加減も何も君が、その日本刀の使い方を覚えてなかっただけなんだけどね」



 真剣な眼差しで睨み合うペネムエと蓮。

 しかし、そんな空気などお構いなしとばかりのドクターはスマホのカメラで撮影を続け野次を入れた。



 「黙れ!! 俺は実践は今回が初戦のようなものだ。

 多少のミスは仕方がない!!」


 「その内、致命的なミスを犯しそうなセリフだねぇ」



 ドクターは高笑いをしながら、戦いに巻き込まれない安全圏まで下がって行った。



 (あの規模の攻撃を防ぐすべは今のわたくしには無い……

 ブリューナクの冷気で人間が無事な補償はないし、瞬時に生み出す氷では耐久は足りない……

 時間を稼いで策を練るしかありませんか)


 

 真夏の東京の暑さの中でもペネムエの頬には冷や汗が流れていた。



 「翔矢様とそちらの鈴との会話で、あのけん玉にクラッシュダマーと名前を付けたのは、あなただと聞こえたのですが……

 その日本刀には名前は無いのでしょうか?」


 「こいつか? ドクター、この刀に名前は無いのか?」



 ペネムエの思惑通りに動いてしまった蓮は、居合切りの体勢のままで、遠くのドクターに声を張って尋ねた。



 「はっ? MG-04だよ!! 説明書にって読んでないのか」



 ドクターは、そこまで声を張っていないが、2人ともハッキリと聞き取る事が出来た。



 「だそうだ」


 「えっと……それは恐らく型番というものでは?

 これから長く使う武器かと思いますので、愛着の湧く名前を付けてあげてください。

 必殺技の名前は叫んでましたよね?」


 「そういうモノなのか?」



 あくまで体勢は変えずに、蓮は考える。



 「鬼殺剣ソルとでも名付けておくか」


 「よい名前だと思います。

 一点物の武器は、そうでなければいけません」


 「話はここまでだ!! 究極の一撃を受けるがいい」


 「残念ながら、それは無理ですね」


 「なに?」



 蓮は、自分の刀が抜けない事に気が付いた。

 よく見ると、鞘と刀の継ぎ目が凍ってしまっている。



 「くっそ!! 貴様いつの間に!!」


 「君が名前を考えてる間にだろ?

 ……馬鹿にも扱えるように、まだ改良が必要か?」



 ドクターは、まだ馬鹿にした笑いをする余裕を見せていた。


 

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


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