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13話:集合から登山が始まりそうです

 「人数が揃った班から出発するようにーーーー」


 空海山の登山当日。教師が何か所かに分かれて生徒たちに呼びかけている。


 車で行くことが可能な7合目まではバスで登ってきたが、ここから頂上まで本格的な登山になる。


 空海山の標高は約2200メートルで、登山家などからすれば大した難易度ではないだろうが、学校行事である全校登山では、運動が得意だろうが苦手だろうが関係なく参加させられるので運動が苦手な人にはキツく毎年必ず棄権者は出ている。


 「いやーーー知ってる人と一緒だと安心するよーー」


 「同感だな」


 グループ割で一緒の班になった翔矢と悠菜は、バスから降りて他のメンバーを待ちながら話している。


 登山の班は4人だが学年もクラスも関係なく組まれているので、場合によっては苦手な人や知らない人と班になることも多い。


 少し離れた所には、別の班だった卓夫の班が、出発しようとしていたが……


 「んがコラーーーデブ足引っ張るんじゃねぇぞ。早くいくぞゴラーーー」


 「ひえーーー」


 卓夫以外のメンバーが全員ヤンキー系で肩身が狭そうにしている。


 「ああいう事にはなりたくないもんねーーー」


 「だな」


 卓夫の様子を見て話しているが、卓夫の方はヤンキーにビビりまくっているせいか、翔矢と悠菜に気付いている様子はなかった。


 「またせたな。翔矢先輩!! 悠菜先輩!!」


 話している2人の後ろから3人目のメンバー、翔矢の剣道部の後輩。阿部瑠々がやってきた。


 「瑠々ちゃんヤッホーーー。やっぱ小さくてかわいいーーーほっぺたフニフニーーー」


 瑠々の姿を見るなり悠菜が、ほっぺをフニフニしたり抱き着いたりしている。


 2人の面識は、登山のミーティングでの顔合わせが最初だったが悠菜のほうが、瑠々を可愛いと気に入ったようで、まだ数回しか会ってないのに、会うたびこんなことが起こっている。


 「悠菜先輩やめてーーー。誇り高き勇者の心を持つ我にこのような仕打ちやめてーーー。

 翔矢先輩やめさせてーーー」


 瑠々は悠菜にベッタリされると顔を真っ赤にして翔矢に助けを求める。


 この前部活で、負けたら何でも言うことを聞くというルールで瑠々が負けた時に、勘違いして服を脱ぎそうになったが、その時はちょっと恥ずかしがる程度だった。


 なのに同性の悠菜に抱き着かれたりするのは、顔が赤くなってアタフタしている。


 脱ぐのは本気じゃなかったのか、意外に人見知りで数回あっただけの先輩の悠菜に気を使っているのか翔矢は少し気になった。


 「悠菜ーーー。登山前に変な体力使うなよーーー」


 「ごめんごめん。続きは登山後にするよーーー」


 悠菜は瑠々から離れたが、瑠々は顔が赤いままボーッとしている。


 「ってか瑠々のリュックすげぇな」


 翔矢が瑠々のリュックに目をやると、迷彩柄のリュックの中心に日本の国旗が小さく縫われている。


 「今は亡き、ひい爺様のお下がりだ。旧日本軍のもので由緒あるものだ」


 胸を張って得意げになる瑠々。


 確かに由緒はありそうだが、女子高生が使うリュックとは思えない。


 家で保管するか、資料としてどこかに寄贈した方が良さそうに思える。


 「それはそうと、あと1人来ないね?」


 悠菜がきょろきょろと辺りを見渡す。


 他のグループは半分以上が出発しているのでそろそろ来てもいい頃なのだが……


 「そもそもミーティングのとき我らは3人だけではなかったか?」


 瑠々の言う通り、登山前の授業で何度か行われたミーティングにも残りの1人は顔を出さなかったが。


 それでも不参加の場合は、先生から何らかの連絡があるはず。


 翔矢は嫌な予感がした。もしや残りの1人はアテナ側の天使が紛れて命を狙いに来るのでは?


 そんな不安があった。


 魔法の道具なら記憶操作などで班に紛れるのは可能かもしれない。


 「ち―――――っす」


 不安を感じていた翔矢はの後ろから、少し甲高い男の声がした。


 振り返るとそこには、緑色のモヒカンヘアの男がいた。


 ノースリーブでトゲの付いた皮のジャケットなどが似合いそうな見てくれだが、学校行事の登山なので学校のジャージを着ている。


 髪型とは、すごくミスマッチな見た目だ。


 「えっと……3年生の……」


 悠菜が班の名簿を確認しているが口が止まった。


 さすがの悠菜も見た目に押されたのかと思ったが、そうではないと名簿を見て理解した。


 この先輩の名前がすごい難解な名前で翔矢も悠菜も読めなかったのだ。

 

 今はやりのキラキラネームというやつか。


 「モヒカン先輩よろしくお願いします!!」


 名前の読み方を考えてみている翔矢と悠菜をよそに瑠々がとんでもない呼び方で先輩を呼んだ。


 (どうなってもしらねぇぞ)


 流石に先生も近くにいるし、そうじゃなくても女を即殴るような男はいないと思うが、これは怒られても仕方ないし瑠々が悪いのだと翔矢は目を背けた。。


 「おぉお嬢ちゃん、俺の名前がよく1発で読めたな」


 (まさかの名前が『モヒカン』かい!!)


 翔矢は思わず心の中でツッコミを入れた。


 何はともあれ、メンバーが揃った。


 天使に転生させられそうな事で頭がいっぱいなのに、瑠々に加え、色々とツッコミたい先輩まで班に加わってしまった……


 (早く帰りたい……)


 登山前から翔矢は変な体力を使ってしまった。


 ともあれ4人は登山へ出発するのだった。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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