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エピローグ(残り湯洗濯)

 昨日の翔矢の1日は、後にも先にも、これ以上ないような激動の1日だった。

 買い物に行けば声優に友達認定され、午後からは狼男と激闘、夜は新しく知り合った3人の天使も加わり鍋を囲んだ。


 なので今日は、夏休みの宿題を進める程度で、1日中家でゆっくりしていようと心に決めた。


 とはいっても、家事を一通りこなす翔矢は、遅くても8時には起床する習慣が付いていた。

 今は洗濯物を洗濯機に入れているところだ。


 「汚れは洗えば落ちると思うけど、ボロボロになったのは、どうにもならないよな?

 ちょっと気に入ってた奴だったが仕方がない」


 そんな独り言をボソッと呟きながら、昨日着ていたTシャツを見つめる。

 狼男との戦いで、所々切れたり痛んだりしてしまったのだ。


 「ってか昨日の事件、全く報道されてないし、SNSでも見当たらないんだよな。

 俺、写ってないのは良いけど、北風エネルギーがもみ消したって事?

 こわっ大企業こわっ」


 誰に説明しなきゃいけない訳ではないが、1人で家事をしいると、何故か口も一緒に動いてしまう。


 「翔矢様、おはようございます。

 昨日は色々あったのに、朝早いですね」


 今起きたばかりというのが、一目で分かるような姿のペネムエが、眠そうに目を擦っている。


 「ぺネちゃん、おはよう。

 まぁさすがに疲れてるから、洗濯回したら、二度寝しちゃおうかなぁ」


 という何気ないう考えを口にしながら、残り湯洗濯用のホースのセッティングをした。

 その様子を見たペネムエの目は、眠気が消えたようにシャキッとした。


 「翔矢様、なぜ風呂の浴槽と洗濯機がホースで繋げられているのですか?」


 「そういえば洗濯って、あんまり見たことなかったっけ?」


 ペネムエは体も服も同時に洗える魔法石をしているので、風呂場も洗濯機も利用しない。

 なので、洗濯機に関してはゴロゴロと回っている所しか見たことがないはずだ。


 「洗濯に使う水は、風呂の残り湯を使うんだ」


 「の、残り湯で洗濯を?」



 信じられないと言っているのが伝わってくるような表情をするペネムエ。

 その様子に、翔矢は少し不安を感じた。


 言われてみれば、服を綺麗に洗うための洗濯に、体の汚れを落とした風呂の残り湯を使うのは違和感がある。


 何故、大丈夫なのかと聞かれて、上手く回答できる知識が翔矢にはなかった。

 洗剤がすごいから? たぶん違う。



 「えっと水も今では貴重な資源だから、大切に使うんだすよ!!」



 ジッと見つめてくるペネムエに、とりあえず絞り出した答えを、おかしな口調で伝える。



 「そっそうですよねー」



 その回答にペネムエも何かを誤魔化しているような、たどたどしい口調で応対する。

 ここで翔矢に助け船を出すかのように、スマホの通知音がピロンと鳴った。

 大慌てでポケットからスマホを取出し、内容を確認する。



 「あっ悠菜からメッセージだ。

 昨日は疲れて、すぐ寝たみたいで返信できなかったんだってさ」


 「そ、そうですかー」



 悠奈から返信が来ない事は、ペネムエにも伝えていて、彼女も心配していたので一応内容は伝えた。



 「あっ、それで直前に俺が送ったメッセージがぺネちゃんの水着選んでって内容だったんだけど、『選んであげれなくてごめんねー、可愛い外国の女の子、気になるから海行くとき一緒に行っていい?』だってさ」


 「翔矢様と2人きりで海に行きたかったですが、大勢の方が遊びの幅も広がりそうですね!!」


 「大勢かぁ、悠奈は真理も誘って来そうだな、瑠々は悠奈に気に入られてるし声かけてみるか」


 「グミ様は……基本感性は猫ですから海には来ないですよね……

 リールは、そろそろ、こちらの世界に戻ってくる気がしますが分かりません」


 「ちょっと待って、女子ばっかりの中に俺はいるの厳しい!!

 ゼウ……なんか誘いにくいし、昨日会ったワルパさんとグラビさんは歳が離れててなんだかなぁ」


 「卓夫様は、いかがでしょうか?」


 「あいつインドアだから海には来なそう……

 そうだ!! 健吾先輩なら!!」



 その名前を口にすると、ペネムエが冷たい目になった。



 「あっ、ごめんぺネちゃん健吾先輩苦手だったね」


 「野球の時に胸を触られましたからね……

 あのときは驚き程度でしたが、今は心に決めた方が、おりますから絶対に嫌ですね」


 「へぇぺネちゃん好きな人いるんだ」


 

 翔矢の反応に、ペネムエは、しまったと言わんばかりの表情をする。



 「えっと、あの、その、どの、この」



 完全にパニック状態になってしまったペネムエ。



 「ごめんごめん、恋バナは女の子同士とかでするもんだよね?」



 ここで、話しながらゆっくり行っていた洗濯の準備が終わったので、翔矢は部屋に戻って行った。



 「ふぅ、この間は少しだけ告白する勇気が出たのに……

 どうして気持ちがバレてしまうのが怖いんでしょうか?」



 1人になった脱衣所でゴトゴト動く洗濯機を見つめるペネムエからポロリと独り言が漏れる。



 「それにしても……残り湯で洗濯。

 翔矢様の浸かったお風呂の残り湯で……

 今度、わたくしの服も一緒に洗濯して頂けないですかね?」



 そんなことを考えながら、ペネムエは洗濯機が止まるまで見つめていたのは内緒の話。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、面白いと感じたら、入れてくださると嬉しいです。

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