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121話:見送りから妹化が始まりそうです()

 「ごちそうさまでした」


 「あいさつだけのつもりが、すっかりお世話になってしまって気が重い」


 「一宿一飯の恩義は、必ず返すでごわす」


 

 翔矢は家での夕食会を終え、シフィン・グラビ・ワルパの3人と玄関前で別れのあいさつをしていた。



 「いえ、こっちこそ、世話になりましたし……

 ってか一宿一飯って、飯しかしてませんし」



 シフィンは、人間の年齢にすると自分と同じか下くらいに見えるが、グラビとワルパは、年上のお兄さんのような雰囲気で、普段あまり接する事がないタイプの人だったので、挨拶は少しタドタドしくなってしまった。



「ウチらは、近くのアパートに住んでるから、何かあったら来ていいから。

 まぁ、何もなくても遊びに来てオッケーだけどねぇ」



 「へぇ、3人で住むんですか?」



 特に深い意味は無かったのだが、無意識に質問をしていた。



 「あはは、おっさん2人と暮らすとか無理無理!!

 同じアパートだけど、ウチは1人暮らしでおっさん同士が相部屋だよ」



 シフィンは笑いを堪えているような表情で質問に答えた。

 翔矢も、釣られて苦笑いをしてしまった。



 「おっさん扱いはムッとするけど、広いアパートじゃないから、さすがに女性と一緒に暮らすのは重い」



 グラビが、そう話した所で、翔矢以外の全員の視線がペネムエに向いた。



 「どうかなさいました?」



 「なんでもないよ」

 「なんでもない」

 「なんでもないでごわす」



 3人は、翔矢とペネムエが一緒に暮らしているのは聞いたが、それ以上の話は知らない。

 まさか同じ部屋で寝ているとは思わず、一軒家なら一緒に暮らすのは問題ないかと勝手に納得してしまった。



 そんな話をして、見送った後でリビングに戻ると、天道ユリアは椅子に腰を掛けていた。



 「で……ユリア様は帰らないのですか?」



 ペネムエは氷のように冷たいまなざしを彼女に向けた。



 「怖い顔しないでよ!! 私の家は東京よ?

 鍵は、今日は何回も使っちゃって魔力切れで明日の朝まで使えないんだ……

 泊めてくれないかな?」



 ユリアは、翔矢の両手を握り上目使いをする。

 これには翔矢も体を赤くし固まる事しかできなかった。

 そんな翔矢に、ユリアはさらなる追い打ちを仕掛ける。



 「お触りくらいなら、してもいいけど?」



 年上の女性にここまで言われ、彼の頭は処理が追いついていなかった。



 【インスタントゲート・オープン】



 そんな話をしている横で、ペネムエは魔法の鍵を使用して東京のユリアの部屋へと続くゲートを開けていた。



 「え? なんで?」


 「なんでって、ユリア様の鍵に魔力がなくなっても、翔矢様に頂いた鍵には魔力が残っておりますからね。

 ご自分で、部屋の場所は登録してあると、おっしゃっていたではありませんか?」



 丁寧な口調だが、ペネムエの表情と目は冷たいままだ。

 この迫力に押されてしまい、ユリアに残された選択肢は“帰る”のみだった。



 「じゃっじゃあ、帰ろう……かな?

 こんな感じで、私の部屋経由だけど、いつでも東京に来れるから、観光がてら私の家も好きに使っていいから……ね?」



 そう言い残し、ユリアはそそくさと帰って行った。

 翔矢は、何となく手を振ってみたが、慌てていた彼女に見えていたかは定かでない。



 「あはは……みんな帰っちゃうと静かだね」



 夕飯の片付けは、みんなが手伝ってくれたので、もう家事でする事は残っていない。

 そういう状況で2人きりになってしまうと、少し寂しさも感じる。



 「翔矢様は……年上の女性の方が好みでしょうか?」


 「え? 急にどうしたの?

 って、さすがにユリアさんにデレデレしすぎで、俺変だったかな?

 年上が好きっていうか……俺も男だし、あんな美人さんに、ああいうことされたら固まるしかできないかな」



 翔矢は自分が情けなくなったのか、下を向いてしまった。



 「えい!!」


 「わっ!! どうしたの?」



 そんな翔矢にペネムエは、ギュっと抱きついて来た。



 「えっと……大好きなお兄ちゃんが、他の女性にデレデレしてるのを良く思ってない妹キャラの真似……です!!」



 抱きついたままでペネムエは答える。



 「あぁ、夕飯の時に妹みたいって言ったからか。

 ぺネちゃん、アニメとかも色々見るようになったよね。

 卓夫に頼んでおススメとか聞いてみようかな?」 



 まだ抱きついているペネムエを、優しくどけて、スマホを手に取る。



 「あれ?」


 「何かありましたか?」


 「今朝、悠菜に送ったメッセージに返信が来てない。

 ってか既読も付いてないな?」


 スマホを眺める翔矢の横で、ペネムエもヒョイッと覗き込む。


 「なんか大学生の動画投稿者とテニスするって言ってたけど、さすがにこの時間だしな」


 時刻はすでに、夜の9時前。


 いつもは、速攻で既読と返信のある悠奈から連絡が無い事に不安を感じる翔矢だった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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