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117話:生足から気絶が始まりそうです()

 翔矢はペネムエを背負ってショッピングモールの階段を下りている。


 今は5階にいるのでエレベーターを使えれば楽なのだが、まだ非難できていなかった人や怪我人で混雑していた他、北風エネルギーの姿が見えたので断念した。


 「翔矢様……大丈夫ですか? 重くないですか?」


 「思ったより平気だよ、全然重くないし、ゆっくり休みながらなら1階まで降りられるんだけどさ……」


 「??? 何か不具合があれば言って下さいね」



 ペネムエは翔矢の耳が少し赤くなっている事に気が付いた。

 この騒ぎで冷房が止まってしまったようなので、暑さのせいかと思ったが何か違う気がした。

 だからと言って疲労のせいでもなさそうだ。



 「じゃあ言うけど……俺の事、あまりキモイとか思わないでね?」


 「わたくしが、翔矢様にそのような感情を持つなど有り得ませんよ?」


 「そっそう? ぺネちゃんの服って、デザインとか自由に変えれるんだよね?」



 ペネムエの事を疑っている訳では無いうだろうが、翔矢の口はまだ重そうだ。



 「はい、素材は変わりませんが見た目や丈は自由に変えられますよ?」


 「じゃあさ……長ズボンとかに変えられないかな? 素足が触れてるのは流石に刺激が強くて……」



 今は真夏なので翔矢は半袖のTシャツを着ている。

 その状態で、短めのスカートのワンピースを来ているペネムエを、おぶっているので腕にモロにペネムエの素足の感触が伝わっているのだ。


 翔矢におぶられているという事実だけで、頭の中がお花畑になっていたペネムエもハッとして、さらに顔が赤くなる。



 (え? え? え? もしかして、わたくし今、翔矢様に女として意識されている?)



 負担を掛けている身なので、少しでも要望に応えるべきなのだろうが、ここは彼女の中で欲望が勝ってしまった。



 「あっえっと……でも生の方が気持ち良いと思いませんか?」

 

 「はっ? え? 生と言いやがりますと?」


 

 ペネムエの意図したところではないが、この発言に驚いた翔矢は、思わずバランスを崩しそうになり口調も変になってしまう。



 「わたくしは氷の魔法に適性があるので、体温もかなり低いのです。

 今日は、かなり暑いので湯たんぽ……いえ冷たんぽ代わりになればと!!」



 翔矢が意識しているチャンスを逃すまいと、天界1の知識量を誇るペネムエの放った渾身の一手。

 言い訳ではあるが、すべて真実なので、通用するかに思えた。

 しかし、この作戦には根本的なミスがあったことに彼女は気づいていない。



 「そうなの?」



 少し落ち着きを取り戻した翔矢の一言と共に、ペネムエの太ももに、フニフニと触られる刺激が走る。



 「ひゃっ……そっそういう触り方は……」


 「あっ……ごめん」


 

 これは本当にキモイ事をしてしまったと、翔矢は青ざめる。

 それはもう、冷たいを通り超し寒さを感じた。



 「いえ……もっと……」


 「ぺネちゃんって、たまに、すごいからかい方するよね」



 妙に色っぽい反応を、単にからかわれているだけだと思っている翔矢。

 これにペネムエは頬を膨らませたが、翔矢から見る事はできない。



 「あとさ、あまり冷たくないよ? 熱とかある訳じゃないよね?」


 「怪我以外は、体調は万全です、熱などあるはずが……

 あっ!?」


 「何?」



 ペネムエは、ここで自分の作戦のミスに気が付いた。

 今、自分は極限まで興奮状態にある、それで体温が急激に上がってしまっているのだ。

 これでは、冷たんぽ作戦は成立しない。



 「いえ、なにも……しかしエッチな触り方をした罰として、このまま運んで頂きます!!」


 「え? なにその罰?」


 「とにかく!! それが、お触りチャラの条件です!!」


 「はい……」



 何1つ納得はできないが、ペネムエに押し切られてしまい、このままおぶる羽目になってしまった。




 ***




 ゆっくりと、階段を降り、3階まで来た。

 混雑してもエレベーターを使う人がほとんどなのか、ほとんど人とはすれ違わない。

 

 すれ違っても、この混乱なので、人をおぶっていても、そこまで不振に思われる事はないだろう。



 「ぺネちゃん……機嫌直った?」


 「わたくしの機嫌なら、今は最高潮ですが?」



 太ももを触ったことを怒っているかと思ったが、ペネムエからは明るい返事が返ってくる。



 「はぁ……はぁ……」


 「翔矢様こそ大丈夫ですか? 休みますか?」


 「いや……体力的には平気だけど……ちょっと暑くて。

 俺の汗、気にならない?」


 「我々の業界では……っとこれ以上はいけませんね。

 気になりませんので、安心してください」



 そう言いながらペネムエは、掴まっている体にギュッと力を入れ、後ろから抱きつくようにする。



 「しかし、確かに厳しい暑さです。

 あっ、そうだ!! ブリューナクで氷を作りましょう!!

 今のわたくしの力なら、ちょうどいい塩梅の氷が作れます」


 「おぉ!! それは助かる!!」



 左手だけ翔矢の肩から手を離し、いつも下げているポーチに手をやろうとするペネムエ。



 「あっ……ポーチ、コインロッカーが倒れて回収できなかったんでした」


 「そういや俺の荷物もだ……何日か様子見て落ち着いたら取りに行こうか。

 でも、ぺネちゃんのポーチは、万が一北風エネルギーに回収されたら……」


 「それは問題ないかと、あれは所有者の好感度が一定以上じゃなければ道具は取り出せません。

 普通のポーチに特殊な空間を入れてるイメージですので、魔力感知も引っかからないかと」


 「なら、後日またでいいかな? 夏休み中に営業再開してくれれば良いんだけど……

 ん、さっき好感度って言った? 俺、前にぺネちゃんのポーチ使えた気が……」


 「この場合は、信用してるくらいの意味ですけどね。

 空海山の時は、まだ好意をもっていた訳ではなかったですし……」



 ここまで話したが、翔矢から反応は無かった。



 (やっぱり、都合のいい難聴ですか……

 さっきは、狼男が来る前は言えそうだったのに……

 今はこれ以上口が動かない……)



 あの狼男を生み出したのは、十中八九、双葉サヤ。

 やはり、彼女に告白を邪魔された気がしてモヤモヤする。



 「ぺネちゃん……ごめん……一回下ろしていい?」


 「あっすいません!! さすがに疲れましたよね。

 ポーチがあればポーションも出せたのですが」



 足に負担が掛からないように、ペネムエの、お尻から先に床に着くようにゆっくりと下ろした。


 

 「痛くなかった?」


 「はい、負担を掛けてしまいますが、ゆっくりで……」



 ペネムエが言葉を終える前に、翔矢は床にバタリと倒れてしまった。


 

 「え? 翔矢様!! しっかりしてください!!」



 足が折れているのも忘れ、ペネムエは必死に翔矢に駆け寄るのだった。 

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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