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112話:ゾンビからイチャイチャが始まりそうです()

 ユリアと別れた後、翔矢とペネムエは一通店を見て回り、今はゲームセンターに来ている。


 「これは、中々賑やかな所でございますね」


 ガシャガシャと混じり合うBGMもペネムエには珍しく、目を輝かせている。


 (よかったぁ、ユリアさんと会ってから、ぺネちゃん少し元気ない気がしたけど、機嫌直ったみたい。

 意外と賑やかな場所も好きなのかな?)


 などと考え事をしている内に、ペネムエはトコトコと先に行ってしまう。


 「ちょっとぺネちゃん逸れたら危ない……程は広くないから大丈夫か」



 ここは県内最大級のゲームセンター、といっても田舎県の最大級なので、1周するのに5分も必要ない程度の広さなのだ。


 

 「翔矢様!! これで遊びたいです!!」


 「はいはいー!!」



 ペネムエが指差す機体に駆け足で向かう。


 (ぺネちゃんの事だから、可愛いぬいぐるみが取れるUFOキャッチャーとかかな?)


 という予想をしていたが、その予想は大きく外れてしまう。


 

 「え? これやりたいの?」


 「はい!! バッキュンを1回撃って、痛かったのです!! ダメ……でしょうか?」


 「もちろんいいよ!! 俺もあまりやったことないから、クリアできるか分からないけど」



 ペネムエが指差したのは『ゾンビ・ハンターズ』

 迫りくるゾンビを銃で倒すゲームで、2人で協力する事も出来る。



 「よし、どっちがたくさんゾンビを倒せるか勝負だ!!」


 「これは、協力するゲームのようですが、そういう遊び方もあるのですね。

 受けて立ちましょう!!」



 ゲームが始まり、最初のステージは、ゾンビに占拠されたショッピングモールだ。



 「ふっふっふ、ゾンビ様たち、遅い!! 遅いですよ!!

 そんな歩みでは、亀にすら追い付けませんよ!!」


 

 ペネムエは、迫りくるゾンビの頭を正確に狙い撃ち、次々にポイントを稼いでいく。



 「ぺネちゃん、人が、いや天使が変わってるよ……」


 気迫に圧倒されながらも、翔矢も順調にゾンビを倒している。

 それでも、ポイントは倍以上差が付き、負けてしまっている。



 「あっしまった!!」


 

 しかし、ペネムエも銃は素人、リロードを忘れてダメージを受けるという凡ミスをしてしまった。



 「うぅ……調子に乗りすぎました……」


 「よし、もらった!!」


 横で悔しがっているペネムエには目もくれず、翔矢はゾンビを倒していく。



 「よし!! あと少しで俺の勝ち……

 あっ!!」



 あと1体でも倒せば、ペネムエのポイントを上回ろうかと言う所で不意に上から現れたゾンビに奇襲を喰らい、翔矢も倒されてしまった。



 【コンテニュー?】



 という文字が画面に映る。



 「たぶん、もう少しでボス戦だと思うから、このステージだけでもクリアまで頑張ってみる?」


 「はい!! もうあのようなミスは致しません!!」


 

 2人は気合と100円玉を投入した。

 コンテニューすると、翔矢が倒された少し前の場面からのスタートだった。



 「あの辺からゾンビ振って来たから気負付けて!!」


 「了解です!! 初見殺しは初見にしか通用しないのです!!」


 「わ……ぺネちゃん、それは……」



 落下地点の直前で、ペネムエは武器を持ちかえていた。

 その武器はロケットランチャー、凄まじい爆撃が、辺りを吹き飛ばしていく。


 

 「流石にオーバーキルじゃない?」


 「振ってくるゾンビが1体だけとは限りませんので!!」



 ゲームで相手がゾンビとはいえ天使が、死体にロケランをぶっ放すというシュールなシーンの後も、少し雑魚戦が続き、いよいよボス戦前らしいムービーが入る。

 ショッピングモールのペットショップで1匹のチワワが、何者かに注射を打たれ、巨大なゾンビ犬になってしまった。

 他の犬や猫は、そのゾンビ犬に、次々と命を奪われてしまった。



 「むむむ、あのような可愛いワンちゃんをゾンビに変えてしまうとは、科学者許せません!!」

 

 「気持ちはわかるけどゲームだからね!!」


 「わかっております、全力でクリア致しましょう!!」



 2人は、そろってハンドガンで攻撃を仕掛けるが、今までのゾンビとは違い、ゾンビ犬の動きは素早く、うまく狙いが定まらない。



 「ハンドガンじゃ、当てにくいうえに、ダメージも入らないね」


 「仕方ありません、こんな事もあろうかと、超高速の腕輪を装備しておきました」


 「え? このゲームに、そんなアイテムあったっけ?」



 不思議に思った翔矢が、ペネムエの方を向くと、彼女が使おうとしていたのは、ゲームのアイテムではなく、魔法の道具だった。



 「ちょっと、ぺネちゃんストップ!! それはズルい!!

 っていうか、ぺネちゃんの動きが早くなっても、ゲームの処理速度は変わらないから、意味ないよ!!」


 「それは、盲点でした……しかし、このままでは、こちらの体力が削られるばかりでございます」



 確かにその通りで、こっちの攻撃は、ほとんど当たってないのに対して、ゾンビ犬の攻撃は、確実にこちらの体力を奪っている!!


 

 「あっ、そうだ!! 広範囲攻撃なら、当たるでしょ」



 翔矢は、物陰に隠れると、素早く武器をロケランに持ち替えた。



 「くらえーーー!!」



 思わず大きな声を出しながら、翔矢はロケランを放つ。

 その爆風は、ゾンビ犬に大ダメージを与えた。



 「よし、でも思ったよりも敵の体力残ってるな……

 もう1発撃てれば良かったんだが」


 「申し訳ございません、わたくしが無駄使いしてしまったばかりに……」 



 ロケランは強力な武器だが球数は1人1発。

 ハンドガンと違ってリロードもできないので、これ以上の使用はできないのだ。


 

 「使っちゃった物は仕方ないよ、どこかにアイテム隠れてるかもしれないから逃げながら探してみよう」


 「了解です」



 2人は、辺りの木箱やら棚を無作為に攻撃し始める。



 「翔矢様!! 出ました!!」


 「流石ペネちゃん、どんなレアアイテムが……おい」


 「えっと、テヘペロでございます」


 

 ペネムエが攻撃した扉には、大量のゾンビが隠れており、破壊した途端に溢れ出して来たのだ。



 「ゾンビゲーは、やっぱり初見殺しが多いな」


 「しかし、この体力が尽きるまで、絶対に諦めません!!」



 2人は湧き出して来たゾンビを夢中で打ち続ける。

 すると、ある異変に気が付いた。



 「先ほどから、ボスが全く動いておりません」


 「バグか何かかな?」


 

 試しにボスのゾンビ犬に攻撃してみたが、ダメージは与えられず、かといって特に動き出す事も無かった。



 「とりあえず、雑魚を倒すしかないみたいだね」


 「かしこまりました!!」



 その後、何十体かのゾンビを倒した所で、ようやく雑魚の進行は止まった。

 すると、ゾンビが溢れ出していた扉の奥に2つの宝箱が見えた。

 


 「翔矢様!! ゾンビ犬が動き出しました!!」


 「よし、早く宝箱を開けよう」


 

 急いで、同時にアイテムを確認すると、中には予想通りの強力なアイテムが隠されていた。



 「これは……!!」


 「マシンガンだ!! ぶっ放せぇ!!」


 「了解です!!」


 

 そう掛け合いが終わる前には、2人はすでにマシンガンを乱射していた。

 お世辞にも、的確な攻撃とは言えないが、玉数が多いので、ダメージは確実に与えている。



 「よし!! あと少し!!」


 「はい……あっ!!」


 

 しかし、あと一歩と言う所で、2人同時に玉切れを起こしてしまう。

 ゾンビ犬は、ペネムエを目がけて何度も攻撃してきた。


 体力はジワジワと削られ、ピンチを伝えるBGMが流れる。



 「ここまでですか……」



 ペネムエは、ほとんど諦めてしまっているが、翔矢は違った。



 「させるかぁ!!」



 ハンドガンに武器を変え、ゾンビ犬の頭に何度も打ち込んだのだ。



 【ゲームクリア】



 その文字が画面に浮かぶと、翔矢とペネムエはハイタッチをした。



 「さすが翔矢様です!!」



 ペネムエはピョンピョン跳ねながら喜んでいる。



 「ぺネちゃんのお蔭だよ、こんな熱中すると思わなかったな」



 心も体も熱くなっていた2人は、兄妹のように同じ動きでハンカチで汗を拭った。


 気持ちよくゲームをクリアしたので立ち去ろうとすると、隣の台で30代後半くらいの男性が1人で同じゲームをプレイしてるのが見えた。



 「遊びじゃねぇんだ、イチャイチャしてるんじゃねぇよ!!」



 その男性は、翔矢とペネムエを睨み怒号を浴びせてきた。

 2人は驚き慌てて立ち去ろうとした時、その男性のプレイ画面が見えた。




 「ぺネちゃん……さっきの見えた?」


 「はい……わたくし達が2人がかりで苦戦していたゾンビ犬を1人で3匹も相手にしておりました……」



 台から離れた2人はそんな話をした。



 「あぁ怒鳴られてビックリした」


 「はい、でも……もう少しゲーム見て回りたいです」


 「うん、あぁいう人もいるけど気にしなくていいよ」


 「ビックリしましたが、イチャイチャしてるように見られたのは、嬉しかったです」


 「ごめん、ゲーセンの音うるさくて聞こえなかった」


 「ななな、何でもないです!! 早く遊びましょう!!」

 2人は、もう少しだけゲームで遊んでいったのだった。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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