104話:謝罪から入浴が始まりそうです()
「この世界ののレモネードも、中々美味かった。
ありがとう」
ペネムエがゼウから、マキシムに付いての真実を聞かされた後は、翔矢も加わり今後についての話をした。
とは言っても、マキシムについては翔矢には教えず、ノーマジカルでの魔法を使った事件についての協力を約束したのみだ。
「思い付きで作ったんだけど喜んでもらえてよかったよ。
任務とか関係なく、いつでも遊びに来てくれ」
「それは嬉しい、是非お言葉に甘えさせてもらおう」
そんな会話をした後、ゼウは雷のような速度、というよりも雷そのものとなり、翔矢とペネムエの前から消えて行った。
「ペネちゃんもリールも、魔法の道具使って、普段姿消してるけど、あれって姿隠せてるのかな?」
こんな光景が一般人の目に触れたら、間違いなく騒ぎになってしまうと思った翔矢は少し心配になり、隣に立っているペネムエに聞いて見た。
しかし、ペネムエは深刻な表情をしていて、翔矢の問いかけに反応しない。
「ペネちゃん?」
「すっすいません!! 少し考え事をしておりました。
ええっと……確かに姿を隠す類の道具は持っていないように見えました」
「大丈夫……かな?」
「祈りましょう……」
「ペネちゃんは、天使だから祈られる側だと思うけどね……」
2人は、ノーマジカルでのゼウの生活に不安を感じながらも、家に戻って行った。
*
部屋に戻った翔矢とペネムエが一休みしていると、ペネムエの魔法の魔法のポーチが金色に輝きだし、中から封筒が飛び出して来た。
ペネムエは、特に驚いたような様子はなく、封筒の宛名を確認した。
「アルマ様から翔矢様にですね」
「えっ? 女神様から俺に?」
内容の想像が付かず内容が気になったので、すぐに開封し目を通す。
「こっ……これは」
「アルマ様は何と?」
「ペネちゃん読んで……」
手紙は見たことの無い文字で書かれていたのでペネムエに読んでもらう事にした。
「そういえば、アルマ様は日本語の読み書きはできないのでした」
ペネムエは、手紙を手に取りフムフムと黙読を始める。
「なんて書いてあるの?」
「それが……翔矢様の赤メリについてなのですが」
「あぁ、そういえば遠隔で解析してみるって言ってたな、何か分かったの?」
「はい、動力は魔力なのですが、中身の構造は、この世界の機械に近いので、濡れたり電撃は避けるようにとの事です」
「遅いよ!! もう壊しちゃったよ!!」
決して女神アルマが悪い訳ではないのだが、それでもついつい荒い口調になってしまうのは、翔矢が元ヤンだからだろうか。
「仕掛けが機械に近いとなると、修理するのも厳しそうですね……」
「古代の遺跡から発見されたのに、なんで機械なんだよ!! 大昔に、どっかの異世界から紛れ込んだとかじゃないの?」
「今は何とも言えませんが、わたくしとしては翔矢様が全線で戦う不安が無くなって安心です」
「いや、この前みたいに北風エネルギーに襲われたら、俺丸腰なんだけど!!」
「わたくしが、24時間365日護衛いたしますので!!」
「それは……頼もしいんだけどねぇ」
何故だか目を輝かせているペネムエを不思議に思ったが、今は彼女に頼る他ない。
「安全面を抜きにしても、わたくしたちの服は魔法の繊維で出来ているので、時間と共に再生しますが、翔矢様の場合は服が破けたりしたら不便ではないでしか?」
ペネムエの言葉でハッとした翔矢は、自分の服をキョロキョロと確認する。
色々あったので、気にしている暇は無かったが、ゼウとの戦闘で、あちこち焼け焦げてしまっていた。
それだけの戦闘だったので、肌も汚れか火傷か分からないような黒っぽさが目立っていた。
「風呂に入って来るかな……」
「ごゆっくり!! あっ、その間ピコピコで遊んでいてよろしいでしょうか?」
「どうぞー」
ペネムエに何かを許可して、翔矢は部屋を出て行ったのだった。
***
翔矢が風呂に入った後、ペネムエはすぐに部屋のテレビゲームを起動させた。
画面を見つめる目は、真剣そのものだが、そこまでゲームにハマってしまった訳ではない。
「はぁ……はぁ……」
ペネムエは息まで上がっているが、これもゲームが白熱している訳では無い。
「このピコピコという物で遊ぶと、時間が早く過ぎると翔矢様に教わりましたが……わたくしには効果が薄いようです……」
今日だけでなくペネムエは翔矢が風呂に入る度に、許可をもらってゲームで遊んでいたのだが、これは少しでも時間を忘れるためだった。
だが彼女には今まで効果が感じられた事がない、かといって本を読んでも時間を忘れるような感覚は無いので、ひたすらゲームをするしかなかった。
「うぅ……また同じ場所でやられてしまいました……」
画面には無情にもゲームオーバーの文字が浮かぶ。
「翔矢様は男性にしては長湯なんですよねぇ……」
ペネムエはテレビの前から離れて、夢遊病のような足取りで部屋の出口に足が向かっていた。
「うっいけません!! いくら翔矢様の事が好きでも……入浴を覗くなど言語道断!!
体の隅々まで洗いっこなどしてみたいですが……我慢です!! 我慢です!!
そんな事をしたら今日中に聞いたことの無いような祟りに合ってしまいます!!」
そんな独り言を大な声で言っていると、ドタドタと誰かが階段を上って来る音がした。
「翔矢様? にしてはお風呂から出られるのが早い気がしますが……って考えている時間はありません」
ペネムエは大慌てでテレビの前に戻り、あたかもゲームでずっと遊んでいたかのような体勢を取る。
その瞬間、部屋の扉がバンと勢いよく開いた。
「ははははは早かったですねぇ!!」
ペネムエが平静を装い振り返ると、部屋に入って来たのは、やはり翔矢だった。
その姿は、下にバスタオルを巻いているだけだった。
「キャ!!」
さすがのペネムエも、声をあげてしまった。
「あっごめん」
「いえ!! ありがとうございましたぁ!!」
ペネムエは、すごい勢いで感謝の言葉を述べた。
「なんで、お礼? ってそれどころじゃないんだ!! 風呂場に出たんだよ!!」
「??? 虫でも出ましたか?」
「違うよ!! 確かに虫も苦手だけど……例の占い師が風呂場にいたんだ!!」
「え? えぇぇぇ?」
ペネムエは、さらにパニックになりつつも翔矢と共に風呂場に急行するのだった。
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