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97話:帰宅から報告が始まりそうです()

 家に帰宅した、翔矢とペネムエは部屋に入ると、着替えなどもせずに、女神アルマに連絡を取った。

 先ほど、健吾から見せられた、魔法を使ったと思われる殺人事件について報告するためだ。


 

 アテナの倍以上の数の天使を抱えているアルマと、普段は連絡が数か月待ちとなる事も珍しくないのだが、今回はタイミングが良かったのか、数分で連絡が付いた。


 今は水晶玉に映る、アルマに一通りの説明が終わった所だ。



 「という事があったのです……」



 ペネムエは翔矢のスマホを受け取り、水晶玉の方に画面を向け健吾に見せられたのと同じニュース記事と、ツブヤイッターと投稿を、アルマに見せた。

 アルマは、フムフムと言っているかのような表情で、水晶玉越しに記事を見つめる。


 天界から何らかの魔法を使っているのか、スマホの画面は勝手に動き、画面が切り替わったりしている。



 「なるほどのぉ、これは確かに魔法による犯行じゃのぅ。

 ノーマジカルで魔法の使用は不可能という事を考えると、翔矢の手に入れた力と似たような力かのぉ……」


 

 「北風エネルギーも、魔法を使った武器を開発しようとしているようですが、あくまで魔力を持つ生物を敵と認識しての事ですからね。

 開発した力で、この世界の人間に危害を加えるような事は無いでしょうからね」


 

 

 ペネムエとアルマは、神妙な顔をしている。

 その話に、翔矢も何とか入ろうとしていたが、正直2人が何を言いたいのか分からなかった。



 

 「つまり、どういう事なんです?」



 やっと出てきた言葉がそれだった。

 翔矢の言葉に拍子抜けしてしまったのか、ペネムエとアルマは2人同時に、ため息を憑く。




 「翔矢様の得た力は、北風エネルギーの雑賀鈴様という方も所持しておりました。

 あのキューブは持ち主によって、形も能力も異なる物に変化するようです。


 なので、他のキューブを手に入れた者が、今回の犯行に及んだのかもしれません」


 

 「なるほど……」



 「その力を、少し解析させてもらっておったが、ペネムエが、その雑賀鈴から聞いた通り『大魔王マモン』が残した力で間違いないようじゃな」



 大魔王マモンというワードを、ここで初めて聞いた翔矢は、少し顔色が悪くなった。



 「大魔王マモン? 大魔王って事はベルゼブと同じような奴?

 そんな力を使ってて大丈夫なの?」



 自分の手にしたキューブが変化した赤いメリケンサックを取り出すと、机に置き、翔矢は少し離れた。



 

 「ははは、力に全も悪も無い、そもそも大魔王というのは人間の大罪のバランスを保つ為の存在。

 お主が想像しているような、邪悪な存在ではないのじゃ」




 アルマは少し大げさに笑った後に、落ち着いたトーンで説明した。



 

 「女神様が、そういうなら大丈夫かな……」




 翔矢は少し警戒心を強めながらも、赤いメリケンサックをポケットにしまった。




 「まぁ怖い物は怖いか……しかし今回のように、魔法を悪用する者が現れたとなっては、お主の力も必要になるかもしれん……」



 アルマのその言葉にペネムエは口を挟んだ。



 「それは……翔矢様に協力を要請する可能性もあるという事でしょうか?」



 ペネムエの眼差しが、目上の相手に対する物とは思えないくらい、強く何かを訴えているのが、翔矢の目にも見えた。

 しかし、翔矢にはペネムエが、そこまで強く訴える理由までは理解できていない。



 「可能性の話じゃ、バランスよく戦えるリールは、オーディンに連れていかれたままじゃし、ブリューナクの真の力を発現したお主や、悪魔族のグミでは、相手を殺してしまいかねん」




 「わたくしは、ブリューナクが無くても戦えます!!

 いえ、今のわたくしなら、ブリューナクの冷気でも人間を傷付ける事はありません」


 

 「それは無理じゃな」



 ペネムエは力強く否定したが、アルマはそれを、さらに否定した。



 「何故、そんな事が……」



 「それは、お主が……」



 アルマが何かを言おうとしたタイミングで、アルマの映る水晶玉からガチャっと扉が開く音がした。

 誰か来客が来たのだろう。



 「なんじゃ? いま取り込み中だが」



 部屋に入って来た人物はアルマの静止も聞かずに部屋に入って来た。



 「申し訳ありません。しかし、その取り込み中の話に関係あるかと」



 来客は、1枚の報告書をアルマに手渡した。



 「なるほどのぉ……アテナの奴に先を越されたわい。

 東京に天使を3人派遣したそうじゃ」



 「3人もですか? ノーマジカルに、そこまでの人員を割く余裕が、アテナ様にあったのですか?」



 ペネムエは、先ほどアルマから言われかけた事も忘れ、首を傾げ、素直に沸いた疑問を述べる。



 「まぁ、奴はノーマジカル大好き女神じゃからのぉ……

 まぁ、ひとまずはあの小娘に、この件を預けるかのぉ


 魔法を使ったと思われる事件は今のところ東京でしか発生は確認されておらんしのぉ


 まぁ、お主らも、ニュースなどには、少し気を張っておいてくれ」



 「わかりました」


 「はい……」


 ペネムエは、了解といった感じの返事をしたが翔矢はどことなく元気がなかった。


 

 (翔矢様……やはり戦う力を持っているのに、何もできない事を気にされているのでしょうか……)



 口にはしないが、翔矢が心を痛めているのではないかと心配していた。

 しかし、彼の考えは違っていたのだ。



 (女神さまのワープで、東京まで連れて行ってもらえるかと思ったけど……

 まぁ、テスト残ってるし仕方ないか……)



 翔矢は話の重さがピンと来ていなかったので、この時は楽観的に考えていた。



 *




 だが、その魔の手は田舎町である六香穂にも、確実に忍び寄っていた。



 「東京で渡した能力者は、勝手に暴れてくれるかなぁ……

 次は六香穂という田舎町でも、能力を渡してみましょうか。

 

 田舎のくせに、天使がいるので楽しめるかもしれません」


 

 水晶玉に占うかのように手をかざして見つめ、黒髪の少女は不敵な笑みを浮かべた。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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