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エピローグ(献立)

 時間は少し遡り、ペネムエがノーマジカルに戻る2時間程の事。


 

 悠菜たちとのテスト勉強を終えた翔矢は、家まで徒歩15分ほどのスーパーで、夕飯のメニューに悩んでいた。


 「俺にとっては1日でも、ペネちゃんにとっては1か月くらいって言ってたな……」


 ペネムエから出発前に聞いていた事を思い出すと、いっそう気合が入りすでにスーパーを3周はしていた。


 「うーん……」


 しかし、中々メニューが決められない。

 ペネムエが家に来てから2ヶ月ほどが過ぎている。

 いくら料理が得意な翔矢でもレパートリーが無くなってきてしまっているのだ。

 

 「楽しみにしててって言っちゃったし、気合の入ったものを作りたいんだけどなぁ……」


 さらに店を回り4周目、これだけ同じ所を回っていると、頭の中に雑念も入ってきて、関係ない事も考え出す。


 「ん? こっちの1日が天界で1か月?

 ペネちゃんは、もう2ヶ月もこっちにいる訳だから……天界は6年くらい経過してるって事?

 それって大丈夫なのかな……」


 自分が、どうこうできる世界の話では無いのだが、なんだか不安になってしまった。



 「何が大丈夫か不安なんだ?」


 

 そんな考え事を口に出していると、後ろから誰かに話しかけられてしまった。

 しかし翔矢は、ボーっとしていたので、無意識にその声に返答をしそうになってしまう。


 

 「いや、実は今日の夕飯が……って、はい?」


 しかし間一髪で重要な事を言う前に、気が付き振り向く。

 そこにいたのは剣道部の先輩である渡辺健吾だった。


 「なんだ、健吾先輩か……」


 「なんだとは、なんだよ!!」


 翔矢のリアクションに健吾は不満そうな顔をした。


 「すいません、流れで言ってしまっただけです」


 平謝りをした翔矢の目に、健吾の買い物カゴが目に入った。

 中には、男子高校生の買い物とは思えない程、野菜や肉などの食材がぎっしり詰め込まれていた。


 「先輩も料理とかするんですか?」


 翔矢の質問に、健吾は少しだけ買い物カゴを持ち上げて答えた。


 「あぁ、これか? 東京で働いている兄貴が、珍しく長めの夏休みが取れたとかでこっちに帰って来るんだ。

 まだ先だけど、料理の練習でもしといて驚かせてやろうと思ってな」


 健吾は得意気な表情をしている。


 「へぇ、兄さんと仲いいんですねぇ」


 「まぁな、男に料理作るために練習ってのも気持ち悪いけどな。

 あぁ俺も可愛い女の子と同居したいぜ」


 「ははは、アニメじゃないんですから」


 「だよなー」


 翔矢は、特にする必要も感じていなかったのに、誤魔化すような笑いを浮かべた。

 健吾が『俺も』という言い回しをした事には、何の疑問も抱かなかった。


 「じゃあ、俺は買い物続けるから」


 「はい、お疲れ様です」


 簡単な挨拶をして、健吾と別れた翔矢は、再び献立を考え始めた。



 「そういやペネちゃん、帰って来る時間分からないんだよなぁ……

 冷めても、おいしい物がいいか……いや別に温め直してもいいけど……」


 

 ブツブツ言いながら店内を回っていると、麺類が並ぶ売り場で、ある物が目に飛び込んできた。


 「そばか……」


 ペネムエが家に来てから、翔矢は料理に力が入り過ぎてしまい、茹でれば調理の半分以上が終わるような麺類は作っていない事に気が付く。


 「そうだ、天ぷらを作ろう!!」


 しかし翔矢が思い付いたのは、麺類ではなく天ぷらだった。

 天ぷらなら、ペネムエが早く帰ってくれば、そのままサクサクの天ぷらを。

 遅くかった場合は、天ぷらそばにすれば時間が経った状態でも気にならないと考えたのだ。


 「決定だな、エビと……他は何がいいかなぁ?」


 天ぷら定食風でもそばになっても良いような具材を翔矢は吟味し始めた。


 「かき揚げとかレンコンとかかなぁ……

 あっ後は……」



 

 *




 「男なのに買い物長いな……あいつ」


 そんな翔矢の様子を、健吾は商品棚に隠れて観察していた。




 ピロン


 

 

 見張りを続けている健吾スマホに、メッセージアプリの通知が届いた。


 「鈴からか、『まだ?』だけって女子からの通知じゃねぇな全く……」


 そのメッセージがスタンプも絵文字も無い簡素な物だった事に、頭を掻きながら不満を漏らした。


 「あっ……やべぇ……」


 通知に気を取られている間に、翔矢を見失ってしまっており、焦ってしまったがすぐに、見つける事が出来た。


 「おっと、もう会計に行ってたか」


 レジに並ぶ翔矢の姿を確認すると、健吾はスマホで鈴にメッセージを返信した。



 『ターゲット後10分程でポイントに到着』



 文面は堅苦しいが、文末にはハートマークがズラッと並んでいた。

 そのメッセージに、すぐに既読は付いたが返信が来る事は無かった。


 

 「全く、可愛いのにクールというか冷たいねぇ」


 わざとらしく肩を落としたが、その目はすぐに鋭く暗い物に変わった。


 「俺も様子を見に行くか……2人には『無事に』強くなってもらわないといけないしな……」


 自分の会計も、すぐに済ませると、健吾は翔矢の後を追ったのだった。 

 


 


 

 エピローグと言いつつ、時間軸が少し戻ってしまい申し訳ないです。


 話が終わり切らない内に、章が終わる感じなので難しかったです。


 6章からは、ちゃんと主人公が活躍しますよ(汗)


 ペネムエも主人公なつもりで執筆してるので、どっちかの出番が減る章は、ままあるかと……



 *



  ここまで読んで下さりありがとうございます。

 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


 下の星から評価も、お待ちしております。


 合わなければ星1でも、改善を考えるきっかけになるので嬉しいです。

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