「人工知能と創作活動」
AI(人工知能)の進化が目覚ましい。
ディープラーニングの手法が確立したことにより、AIはより人間らしくなり、今まで機械の手には負えないと思われていた分野にまで入り込んだ。
たとえば絵画。
お手軽なところでは、自動で色を塗ってくれるウェブサービスなんか、ぼくもよく使っている。
最先端だと、過去の偉大な画家を模倣して、「レンブラントっぽい」とか「ダヴィンチっぽい」ような、新たな作品を書き上げるところまで来ている。
たとえば音楽。
歌詞を入れると作曲してくれるとか、鼻歌やフレーズから作曲してくれるものなんかは、お手軽に楽しめる。
いくつかの好みの楽曲を指定するだけで、好みに合った新曲を作ってくれたりもする。
そして、小説だ。
AIの作った小説が、小説賞の一次選考を通ったと言うニュースは記憶に新しいだろう。
と言うことは、AIの作った小説はすでに、ぼくの作品も含めたウェブで発表されている大半のアマチュア小説より面白いと言うことになる。
今はまだある程度のパラメータ的な部分を人間が指定してやったり、大量に出来た文章の中から人間が良さげな文章を拾っていくなどの介入が必要ではあるけど、そのうちAIはビッグデータからトレンドを発掘し、今売れそうな小説を次々と発表するようになるだろう。
画家や音楽家と同じく、小説家が不要になるとは思わないけど、少なくとも大量消費される小説の一翼は、AI小説家が担うようになると思う。
途中でエタることも無く、体調やその時の気分に左右されることも無いAI小説は、安心して読めるブランドになるかもしれない。
じゃあAIはぼくらの敵なのかって言ったら、それは絶対的に違う。
さっき言ったように、AI小説家には、人間のアシストが必要だ。今のところ。
それなら逆に、人間の小説家のアシストをAIにしてもらうことも可能だろう。
たとえばネタ出し。
ビッグデータからトレンドとなる小説の題材をピックアップしてくれる。
たとえばプロットのサポート。
書きたい複数の題材から、それを全て含むストーリーラインをいくつか提示してくれる。
口述筆記だってできる。誤字脱字の添削だって、表記ゆれの指摘、固有名詞の間違いから、読みにくい部分の指摘など。
これらは今でも可能な技術だ。
云わば専属の編集者が付くみたいなもの。
これを強い味方と言わずしてなんと言おう。
このAI編集者さんは「この文章や題材ならば、どの小説賞に出したらいいか」「出した場合どの程度まで行けるか」なんかも事前に判定してくれるだろう。
ほらほら、AI編集者、欲しくなったでしょ?
それに、AI小説サポートの機能として、ぼくの文章を『有名作家風に変換』なんてのも出来るだろう。
最終的には「こういう主人公がこうなってこうなって……こうなる話!」と言っただけで、文章を書いてくれるかもしれない。
あと、小説に自動で挿絵や表紙を書いてくれると、さらに嬉しい。
素晴らしい。
早くそんなツールが実用化されてほしい。
ちょっとくらい高くてもぼくは買います。
え? それで作った小説は『著者:寝る犬』のクレジットができるのかだって?
それは当然できる。
だって、今だって僕はパソコンで小説を書いて、時には整形ツールで文章を整形して、ネタ出しはインターネットやなんかでやってる。
他の人もだいたいそうだと思うけど、誰も『著者:パソコン、私』なんて書かないでしょ?
だから最悪「実行キーを押しただけ」でも、ぼくは堂々と『著者:寝る犬』として小説を発表するね。
まぁたぶん、奇跡的に自分の好みに完璧に合致するものが出来ない限りは、少なくともパラメータやテキストに手を入れて、何度もやり直しくらいはするだろうけど。
そう考えると、ぼくらの創作のスピードや多様化にはAIの進歩にかかっている。
って、思ったほうが楽しいんじゃないかな。