第九話 無難なのは
十話目です("⌒∇⌒")
ハンターカードの職業の欄をタップすると、様々な職種が出てきた。
【冒険者】【魔導師】【大賢者】【魔法剣士】【魔物使い】【マスター】【勇者】……etc.
謎の職種、【マスター】以外は取得可能だ。
「さすがですね。この職種、全部上級職ですよ」
ベッドの端に腰を掛けている俺の横にちょこんと座るルセは、手元を覗き込みながら、感心したように話し掛けてくる。
上級職ね……
「魔導師も、魔術師をマスターしないと就けませんし、賢者は魔術師と僧侶をマスターしてやっと就けるんですよ。大賢者なんて、賢者をマスターしてから就けるんです。本当に、アキラ様は凄いですね!!」
キラキラした黒目で、俺を賞賛する。純粋な瞳に、俺は少し照れる。
カンナが言ってた、「才能は、遥かに僕を越えているよ」って意味はこのことか。
にしても、何の職に就こうか。……重たい武器を持つのは嫌だし、自分のキャラじゃない。よって、魔法剣士は脚下。勿論、勇者もだ。
戦うのは主に俺だから、魔物使いはなる必要もないし、第一悪目立ちするだろう。
とするなら、無難なところは、魔導師か大賢者か……
「……やっぱり、魔導師か大賢者ですか?」
「う~ん。……無難なのはそれだけど、冒険者って気になるんだよな」
俺は【冒険者】の職をタップしてみた。
「冒険者ですか?」
ルセは首を傾げる。
「確か……冒険者は、魔術師、或いは僧侶の魔法系の職のいずれかと、剣士とかの非魔法系の職を一つマスターした者が就ける、上級職ですね」
スラスラとルセは答える。
ルセは優秀だな、と俺は感心する。ハンターカードに記載されている説明と、ルセが今言ったことの内容がほぼ同じだった。
「つまり、冒険者はオールマイティーってことか……」
「そうですね」
「ある一定のレベルに達すると、別の職が取得可能になることもあるって、確かカンナ言ってたよな」
「はい。言ってました」
「冒険者のレベルを上げたら、どうなるんだ?」
「すみません。それは分からないです」
ルセが頭を下げる。
ルセにも分からないことがあって当然だ。ちょっとズルしようとした自分が悪いんだし、そんなに申し訳なさそうにされたら、俺の方が困る。
「謝るな。分からないことがあって当然なんだから。……神様でも、全てを知ってないぞ」
俺はそう言いながら、ルセの黒い頭をソッと撫でた。
◇◆◇◆◇
次の日。
俺とルセは早速、ギルドに向かった。
勿論入る前に、浄化魔法は張っておく。
「おはよう!! アキラ君。早かったね」
ギルマスって暇なのか!?
カンナが満面な笑みで俺を出迎え、両手を広げて何かを待っている。
おい!? それって、どういう意味だ?
冷たい目で、俺はカンナを見下ろす。ここはスルーだ。ちょうどいいところに、係員らしき人がいる。
「ちょっと訊きたいんだが、職を登録する場所はどこかな?」
俺はカンナを無視し、近くにいた係員を掴まえて尋ねる。
「ぼっ、僕がですか!?」
「君は係員だろ?」
何を焦ってるんだ?
顔を赤らめ焦っている係員に、俺は眉をしかめる。
「テル。アキラ君は僕が案内するから、持ち場に戻っていいよ」
「はい!!」
ギルマスにそう言われたテルは、可哀想なほどにビクッと体を疎ませ、逃げるように人混みにの中に消えて行った。
「何、脅してるんだ?」
「心外だな~。別に脅してないよ」
「その割には、声に険があるがな」
「僕は怒ってるからね。でも、怒ったのはテルじゃないよ。アキラ君、君に対してだよ」
「俺が何をした?」
「僕を無視したでしょ!!」
カンナが詰め寄る。
顔が近い! 俺は一歩後ろに下がる。
「無視されるようなことをした自覚はないのか?」
「朝の挨拶をしようとしただけじゃん!」
やっぱり、何かしようとしてたな。
「………………さっさと、職を登録したいんですが、ご案内して頂けますか、ギルマス様」
俺はにっこりと微笑んだ。
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