願望
私は初めにこう記す。
私は禁忌を犯してみたい。
薄皮一枚隔てた先にある普通の人が見れない甘美な世界を。
しかし、自身の力で壊そうにも触れるだけで破けてしまうその儚さは
引き裂くことに躊躇いを思い出させる。
だからその薄皮に触れ向こう側に想いを馳せる。
向こうはどんな色なのか、どんな匂いなのか、どんな味なのかと。
そうして薄皮に触れ続け、いつか自身の重みで、他の外的の要素で
ふとした瞬間に向こう側に連れていってくれないかと
だから私は文字を記す。
この一文字一文字が私の重み、他者への外的の要素になる。
この一文字一文字があなたの薄皮に傷をつける。
最後にこう記す。
私は禁忌を犯してみたい。