勉強会 三時間目
ちなみに皆の成績はというと。カズが全般的に駄目で、ユリカが学年トップクラスだけあって、全般的に優秀で。ミナが国語と社会、主に歴史が得意。俺は数学と科学が得意、と言ってもユリカには敵わないが。後は並みといったところ。
自然にカズとユリカ。俺とミナで勉強しあう事になった。
カズは野球が懸かっているからか、集中力が半端じゃなく途中からはユリカが褒めっぱなしだった。
俺らはというと、俺がミナに質問すると冗談をワンクッション置いて俺が悩むのを見てミナが楽しみ、俺が教えると意外に素直に感謝の言葉を口にするというものだった。
たまにはこういうのも悪くない。 あっという間に時間が経ち、辺りは暗くなり始めていた。
「ふぅ、先生の授業より分かりやすかったよ」
「ありがと、ユリカちゃん」
「っっ」
「カズ君が飲み込みが早いからだよ」
一瞬、ユリカの頬が緩んだのは気のせいではないな。
「それじゃあ、カズはユリカちゃんを送っていって」
「俺はミナを送っていくから」
一応、幹事として最後まで務めは果たし玄関先で二人を見送った。
「どうしたの」
「あたしの家はすぐそこだから一人でも良いのに」
「こうした方がユリカのためだろ」
……違う、俺のためだ。
「ふーん」
「どうした」
「なんか今日のソラ、生き生きしてた」
「こういうの向いてるかもね」「ちょっと空回りしてたけど」
「そ、そうかな」
「上手くいくかな、あの二人」
……俺たちも。
「それはあの二人次第でしょ」
「後は任せたよ、ソラ」
「今日はありがとね」
「じゃあ、また明日」
「ん、じゃあな」
「また明日」
お礼を言ったミナの顔を俺は恥ずかしさから直視できずに後悔していた。
自分が頑張ったらミナの笑顔が見れると思うと、単純な俺はそれだけで明日が待ち遠しくなった。
今日もお肌に悪い夜になりそうだ。