勉強会 一時間目
給食を終え、待ちに待った昼休み。
ダメだ。眠い。
特に予定もないし机で寝よ……
「……ラ、ちょっとソラ」
ん、もう時間。
なんだ、ミナか。
最高の人選だけど、まだ眠い。ミナが起こしてくれるならもう一度寝ようかなと、眼を閉じた時。
ミナの気配が消え、次の瞬間。
「っっっっはゃっ」
声にならない声を出し、勢いで膝を机にぶつける。痛みで目が覚めてしまった。
「くすぐるのはやめてくれ」
目に涙を浮かびながらミナを探す。すると、ミナともう一人女子がいた。
なんだか急に恥ずかしくなり、悟られない様に冷静を装い乱れた髪を整える。
「どした、なんかあったのか」 ミナに聞くと、笑いを堪えていた。
にゃろう。
「いやね、ユリカがソラに頼みがあるって」
もう一人の女子はユリカ。俺の後ろの席だが、まだあんまり話した事はない。
ミナはショートカットのいかにも元気はつらつとした女の子に対して、ユリカは髪もロングで大人しそうな印象の女の子だ。
一見正反対に見えるが、俺とカズみたいに馬が合うのだろう。
「それで頼みって」
「あ、あのね」
「ソラ君って、カズ君と、その、仲良いよね」
この質問で全てを察しろと言わんばかりの瞳をしている。
大人しいという印象は撤回しなければ。
今気づいたが、教室には俺ら三人だけだった。意を決したかの様にユリカは小さな拳を大きく握る。
「あ、ありがと」
「ユリカ、良かったね」
保護者の様な温かい言葉をユリカに与えながら、二人は去っていった。
あれ、ミナ。俺にはないの。
期待していたわけではないが、なんか寂しい。
さてと、頼まれたからには商談成立させますか。
でも、あいつ勉強やる気になるかな……