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灰色の空  作者: 灰色の猫
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激闘の末


 教室に戻ってきてもカズとユリカの勝負の興奮が冷めておらず、二人の席を何人かで囲んでおり、やんややんやと騒いでいる。


 元々運動の得意なカズのとこには女子、今回の件で意外な一面を見せたユリカのとこには基本男子でちらほら女子もいる。


 そして俺は自分の席に戻れない。


 ので、ミナの前の席の椅子を借りてミナと一緒に騒ぎを傍観している。




 にしても、まだちょっと髪が濡れているミナはいつもより女性らしいな。


 俺がミナのとこに押し掛けたはいいが、言葉が出てこない。



「ユリカは人気者になっちゃったな」


 そんな俺の気持ちを察したかどうかは分からないが、ミナが切り出してくれた。



「そりゃあ、あんだけのパフォーマンスしたらな」

「男子はもちろん、女子からも一目置かれるよ」「色んな意味で」


 カズがモテるだけに面白くない女子もいるだろうな。

 ミナがいるからその辺りは大丈夫だと思うけど。



「にしても、最後のソラはなんなの」

 俺が溺れかかったのを思い出したのか、笑いを堪えている。


「少しはカズ君を見習いなよ」

 むっ、分かってるよ。同じ男だけど、カズはなぜだか尊敬してしまう。

「俺はカズの様にはなれないよ」

「誰もカズ君の真似をしろとは言わないよ」「ソラも諦めぐせがなければ、ちょっとはイケてるんだから」


「別にモテたいとは思わないよ」


「大丈夫」

「モテる時はこないし、モテなくていいから」


 慰めてるのか、からかわれてるのか分からない。


 っと、この席の主が帰ってきた。どかないと。



「だったら、モテてやるよ」

 ミナに精一杯の強がりを言ってその場を後にした。




――――――


 それから数日。期末テストが終わって今日で一週間。やっと結果が返ってきた。




 まあ、思ったよりは悪くなかった。一応全教科、平均点の近辺だ。


 ただ、国語のあの問題。△って。


 しかも、丁寧に理由まで書いてある。『分からなくはないけど、この物語の主人公の気持ちとしては△。もしかして片思い中(笑)』



 うっさいわ。そこまで書かなくていいわ。


 しかも、ミナが良い点取れたから俺のも見せろと迫ってきたし。色々、危なかった。


 見せられない点数だからと必死に食い下がったけど。





 カズも補習は免れたみたいだな。俺と同じくらいだと言っていた。



 ってか赤点も覚悟してたカズが平均点にまで上がるだなんて。

 カズの頑張りもあるけど、ユリカ恐るべし。


 俺も今度教わろうかな。教えてくれるかな。カズ抜きで……





 とにかく、皆無事に夏を迎えられそうだ。


 そういえば、デートの場所考えてなかったな。やっぱり海かな。


 ちょっとは泳げる様に頑張るかな。モテるため……


 いや、ミナのために。

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