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裏切り

 穏やかな朝日が窓から差し込む部屋で、ユウはソファーに座わりながら、号外として配られた一枚の紙を眺め、手を震わせた。


『ジーク国王暗殺の黒幕は元老ウォルスと元老アーヴァン

 戦争が終結して早半年以上の月日が流れた。しかし、ここで目を疑いたくなるような事実を皆に伝えなくてはならない。ジーク国王暗殺の首謀者とされていた革命軍創始者ジェルドはジーク国王の友人であり、国王暗殺の犯人ではなかったということである。


ジーク国王暗殺は元老ウォルスが企て、同じく元老アーヴァンが実行していたことが、ラウルの率いる国王軍と殺害された元老長ジェスの捜査によって明らかとされた。

 ラウルは過の戦争で革命軍の本拠地シタデルへ攻め込んだ際、革命軍の長ジェルドより元老による国王暗殺の話を聞いた。そして、ラウルはレンブランを始めとする国王軍と共に元老長ジェスと捜査に至った。

その結果ジーク国王の暗殺はウォルスとアーヴァンによるものであることを突き止めた。

 当時証拠を保持していた元老長ジェスは、実の息子アーヴァンによって刺殺された。彼は元老のユリウスに証拠を預け、息を引き取った。

 ラウルは元老ユリウスより証拠の書類を受け取ると、国王軍を召集してアーヴァンを捜索した。そして、城下町路地裏にある教会にいること突き止めると包囲、突入した。国王軍はアーヴァンが雇ったと思われる傭兵と戦いとなったが、間もなく降伏させた。そして、元老長ジェスを殺したアーヴァンには英雄ラウルによる正義の鉄鎚が下ることとなった。

 それから数十分後、ウォルスも国王軍によって包囲された。逃げ場を失ったウォルスはラウルと国王軍の前で自害した』


(……嘘だ。もう人は殺さないとラウルは約束してくれた)

ユウは自分に言い聞かせるように何度も首を横に振ると、紙をテーブルに置いた。ラウルは静かにその様子を寝室から見ていた。そして、ユウが立ち上がるのを見計らってリビングへ入っていった。

「お、おはようございます」

ユウが震えた声であいさつするとラウルは悲しげな顔をした。

「すぐに朝食の準備をしますね」

ユウはラウルとは目を合わそうとせず、その場を立ち去ろうとした。

「いや、いい。昨日のことで元老に呼ばれているから、少し出てくる」

ラウルは静かに言い放つと、足早に部屋を出ようとした。ユウはハッとした表情を浮かべ、ラウルにしがみ付いた。

「ごめんなさい。あなたを疑ってしまいました」

 ラウルは一瞬躊躇いを感じた。

「……それに書かれていることが真実だとしたらどうする? 結婚を辞めるか?」

ラウルは自分の背中で震えるユウに対して、あくまで冷静に言葉を返した。

「あなたが殺したの?」

ユウは声を上げると、大粒の涙を溢し始めた。ラウルは天井を見上げると、静かに目を閉じた。

 しばらくの沈黙が続いた。

「私が殺した」

その一言でユウの表情が一変した。それは困惑、悲しみの中に、憤りを感じさせる、複雑な表情であった。

「……ひとまず、私は国王になる。王位継承式は三日後の結婚式と同時に行う。それまでに結婚するかどうか決めといてくれ」

ラウルの言葉を聞き、ユウは悔しそうにその場で泣き崩れた。しかし、ラウルは一度も振り返ることなく部屋を出て行った。

(お兄ちゃん、私はどうすればいいの?)

ユウの大粒の涙が静かに床を濡らした。


「では、希望通り結婚式の日にラウル殿の王位継承式を執り行います。他の元老方々、よろしいですね?」

「はい」

新たに元老長の任に就いたユリウスが提案すると、満場一致でラウルの国王就任が決まった。

「急なことで恐縮ですが、よろしくお願いします」 

ラウルは深々と頭を下げた。そして、ユウの様子が気になったラウルは、さっそうと集会場を後にした。

 ラウルが部屋に戻ると、朝食の準備がされていた。しかし、どこを見渡してもユウの姿はなかった。

 ラウルはため息をつくと、朝食を食べるために席へついた。すると、一枚の書置きを見つけた。

 

『しばらく時間をください。結婚式までには気持ちを決めたいと思います。

ユウ』


手紙を読んだラウルは再度息をついた。そして、一人静かに朝食に手をつけた。

 翌朝、レンブランがラウルの部屋を訪ねると、ラウルは朝食の仕度をしていた。

「何をやっているんだ?」

レンブランが目を丸めて尋ねると、ラウルは照れくさそうに笑った。

「朝食の仕度さ。ユウが出て行ってしまってね。よかったら一緒に食べていかないか?」

ラウルは一生懸命笑顔を作った。そして、食卓に皿を並べ始めた。

「出て行った? どうして?」

ラウルは静かにうつむいた。

「アーヴァンは俺が殺したと告げた」

「では、ユウはお前が約束を違えたと思っているのか? なぜそのような嘘を? ユウはお前を信じていたんだぞ」

ラウルは悲しそうな目をすると、首を横に振った。

 ラウルは眉間にしわを寄せ、目を伏せた。

「私は国王となる。今回のようなことが起これば自らの手ではなくとも誰かを殺めることにもなるだろう。それは私が殺しているようなものだ。 ……ユウとの約束はいずれ破られる約束。この程度で壊れるような関係なら、どの道うまくいかないさ」

「なぜ破られる約束と決め付ける? 約束とは守るべきものだ」

レンブランは納得いかない表情であった。

 ラウルは優しく微笑むと、再度首を横に振った。

「あの時、俺は確かにアーヴァンを殺そうとした。ユウとの約束より、戦争で犠牲となった者への想いのほうが増しているんだ。この国を脅かす者が現れたら、やはり私はその者に死を宣告するだろう」

ラウルは食事の仕度を済ませると、席に着いた。

「さぁ、食べていってくれないか?」

ラウルは明るい声でレンブランに勧めた。

「……ああ」

レンブランが席に着くと、二人は黙々と食べ始めた。

 二人は食事を済ませると、相変わらず黙ったまま向かい合った。

「レンブラン、頼みがあるんだ」

ラウルは指を組むと、レンブランの顔を覗き込んだ。

「何だ?」

レンブランは顔を上げた。

「城の北にある丘を越えると孤児院がある。そこのシスターに手紙を渡してきてはくれないか? 結婚式の招待状だ」

ラウルは胸元から手紙を取り出した。

「わかった」

レンブランは手紙を受け取った。

「それと、国が落ち着いたら国王の座を任せたい」

ラウルはやつれた顔をしていた。

「ああ」

レンブランは静かにうなずくと、席を立った。ラウルもまた席を立つとレンブランを見送った。


 結婚式当日、ラウルは窓の前で夜明けを迎えた。

(俺のついた嘘は間違いか?)

ラウルはロケットを開くと、カイとシスターに問いかけた。

 物音ひとつない部屋でラウルはため息をつくと、朝食の仕度を始めた。

 ラウルが朝食を終えて一息ついていると、部屋のドアを叩く音がした。

「ラウル様、そろそろ仕度をお願いします」

「ああ。すぐに行く」

ラウルは返事をすると、ゆっくり立ち上がった。

 ラウルは正装に着替えると、式典が行われる部屋の横に設けられた控え室へ向かった。

「ラウル、約束どおりシスターを連れてきたよ。会場で待っているそうだ」

先に控え室へと来ていたレンブランは、ラウルが入ってくるのを見るなり声をかけた。

「ああ、ありがとう。 ……ユウは?」

ラウルが恐る恐る尋ねると、レンブランは穏やかな表情を浮かべた。

「来ているよ。今、別室で着替えている」

ラウルは安堵の顔を浮かべると、用意されている椅子に腰を下ろした。

「そうか、よかった。シスターと一緒に見ていってくれ」

ラウルの顔色が少し良くなった。レンブランはニッコリ微笑むと、大きくうなずいた。

 十数分ほど待つと、控え室の扉を叩く音がした。

「ラウル様、準備が整いました。祭壇へいらしてください」

遣いの者の声を聞くと、ラウルは落ち着いた面持ちで立ち上がった。

「では、俺は席のほうで見させてもらうよ」

「ああ」

ラウルとレンブランは堅い握手を交わした。レンブランが部屋を出ると、ラウルも続いて部屋を出た。

「ユウはもう祭壇へ?」

「ええ。花嫁はすでに祭壇でお待ちです」

遣いの者は深々と頭を下げると、ラウルのつま先を見ながら答えた。

「ありがとう」

ラウルは遣いの者の顔を上げると、笑顔を見せた。

 ラウルが祭壇のある部屋へ行くと、そこには多くの人たちが集まっていた。ラウルは一通り辺りを見回すと、うつむき目を閉じた。そして、一息つくとゆっくりと目を開け、顔を上げた。

「ラウル様」

「ラウル国王」

 ラウルが歩き始めると、その一歩ごとに声が上がった。ラウルは祭壇でうつむくユウを真っ直ぐ見据えて堂々と歩いていった。

 ラウルが祭壇の上に立つと、途端に声が止んだ。ラウルはユウの横に立つと、ユウの顔を窺うことなく司教のほうを向いた。

「それでは、まず先にこれより国王就任の儀を行う」

司教が声を上げると、辺りは緊迫した空気に包まれた。

「ラウル・J・クライムよ。汝、如何なるときも国を想い、国を守るためならばすべてを失う覚悟はあるか?」

「はい」

ラウルは司教の目を真っ直ぐ見て答えた。一方でユウは哀しい表情を浮かべていた。

「それでは、神の名においてラウル・J・クライムを国王に任命する」

司教は祈りの言葉を唱えると、ラウルに王冠を与えた。

「この命、国のために捧げます」

「うむ、精進するように」

ラウルは胸に手を当てた。感慨深いその光景に兵士の多くが胸を震わせた。

「これを以って、ラウル新国王就任の儀とする。皆、盛大な拍手を」

司教が天を仰ぐと、拍手が部屋中にこだました。

 ラウルは照れくさそうに笑うと、振り返り笑顔で応えた。そして、一度だけユウの顔を窺った。終始うつむき加減だったユウは顔を上げると、優しく微笑んだ。しかし、その表情はあまりに哀しそうに見えた。

「それでは、これよりラウル・J・クライムとユウ・ランバートとの結婚の儀を行う」

司教は咳払いをすると、皆を静まらせた。

(ユウのファーストネームはランバートと言うのか。夫となるのに、まだ何も知らない)

ラウルは自分を鼻で笑った。しかし、すぐさま疑念が頭を過ぎった。

(……ランバート? どこかで聞いたことがある)

ラウルは眉間にしわを寄せた。その後方ではレンブランも同様の表情を浮かべていた。

 結婚式は順調に進んでいった。そして、いよいよ指輪の交換へと移った。

「それでは、指輪の交換を」

司教の言葉でラウルは指輪を手に取った。そして、ユウのほうを向いた。

「ユウ? 具合でも悪いのか?」

ラウルは相変わらずうつむいているユウを心配して尋ねると、ユウは大きく首を横に振った。

「さあ、左手を出して」

ラウルは小声で話しかけたが、ユウはまったく反応しなかった。ラウルは仕方なしにユウの左手を持ち上げた。そして、薬指に指輪をはめようとした瞬間、ユウはラウルにもたれ掛かった。

「ごめんなさい、ラウル。やっぱり、約束を破ったあなたを許せなかった」

ユウは涙溢れる目でラウルを見た。その表情を見たラウルは、一瞬脳裏にフォヤーズ村の光景が思い浮かんだ。

(この目は…… ランバート? クリス・ランバート)

横たわるクリスと泣きながら走り寄る少女。そして、涙溢れるその目で、ラウルを睨み付ける。ラウルはフォヤーズ村でクリスを殺したときの情景を思い出した。

「君はクリスの妹か?」

ラウルの声を聞くと、ユウはラウルの胸の中でうなずいた。

「復讐か?」

ラウルは震える声でユウに尋ねた。二人の間には一滴一滴と赤い滴が落ちていった。

「……最初は。でも、過去の話を聞いて、あなたと暮らして、本当にあなたを愛した。約束を守ってくれれば、すべて忘れてあなたと生きようと思った」

ユウは声を震わせながら答えた。

「もう誰も殺めて欲しくなかった」

ラウルはゆっくりと天井を見上げると、強くユウを抱きしめた。

「すまなかった。 ……すまなかった」

ラウルはひたすら謝った。兄であるクリスを殺したこと、約束を破ったこと、戦時に行った自分の行いまでも、ひたすら謝り続けた。

 ユウは抱きしめられる力が強くなるにつれ、ラウルの体の奥深くにナイフが刺さっていった。

 ユウは咄嗟に後ろへ飛び退いた。それによって、祭壇の上で起こったことが明るみになった。ラウルの脇腹にはナイフが深く刺さっており、そのナイフを伝って血がこぼれ落ちていた。

「ラウル様」

「きゃあー」

部屋は忽ちパニック状態へと陥った。

「女を包囲しろ。来賓にはこのことを口外せぬよう伝えて一旦外へ出せ」

レンブランは辺りにいる兵士に指示を出すと、祭壇へと駆け寄った。

「動くな」

兵士たちは槍をユウの喉元に突きつけた。

 ユウは覚悟を決めたのか、ゆっくりと目を閉じた。

「手を出すな」

ラウルは兵士を怒鳴りつけると、膝を着きながらユウのほうを見た。

「……フォヤーズ村へ帰りなさい。そして、今度こそ幸せになってくれ」

ラウルはその場に倒れこんだ。

 シスターがゆっくりと歩み寄り、ラウルの上体を起こした。

「可哀想な子。戦争で多くを殺してしまい、幼いときから共に育ったかけがえのない家族を殺め、最後には愛する者に殺される。誰よりも優しい子なのに。 ……なんて可哀想な子」

シスターは涙を溢しながらナイフを抜き、傷口を強く抑えた。その言葉を聞いたユウもまた、あごを振るわせた。そして、居ても立ってもいられなくなったユウは、その場から逃げ出した。

「……行かせてやれ」

何人かの兵士がユウを捕らえようとすると、レンブランはすぐさま制止した。すると、ラウルは優しく微笑みながら口を動かした。レンブランにはそれが、ありがとうと言った気がして小さくうなずいた。

 救護班が急いでラウルを医務室へと運び込んだ。

「シスター、ラウルについていてあげてください」

レンブランは一言告げると、部屋を出て行こうとした。

「彼女を捕らえるのですか?」

「いいえ。しかし、彼女に真実だけは話しておきたい」

レンブランは言葉を残すと、部屋を後にした。

 ユウはラウルの部屋へと来ていた。膝を着き、ベッドに顔を埋めると、声を殺して涙を流した。

「お兄ちゃん、私、愛していた人を刺しちゃった。 ……彼も同じ苦しみを味わって来たのかな? もし、悔いているなら、許してあげるべきだったんじゃないかな?」

ユウは懺悔のように声を上げた。

 しばらくすると、部屋の扉が開いた。ユウは殺される覚悟をして、近づく足音を聞いていた。

「やはり、ここにいたのか」

姿を現したのはレンブランだった。

「覚悟は出来ています。拘束しますか? それとも、今ここで殺しますか?」

ユウはゆっくりと立ち上がると、ベッドの上に座り直した。

 レンブランは大きく息をつくと、ユウに歩み寄った。

「殺してやりたいさ。しかし、ラウルが手を出すなと言った。安心していい。我々国王軍にとって、彼の言葉は絶対だ」

レンブランは剣を抜くと、寝室の前に突き刺した。

「話したいことがあって来たんだ」

レンブランは哀しい目をしながら、寝室へと入った。

「単刀直入に言おう。ラウルはアーヴァンを殺していない」

ユウはその言葉を聞くと、瞬間に目を泳がせた。

「何を言っているの?」

「号外もラウルが言った言葉も嘘だ。ラウルはお前との約束を破っていない」

レンブランは窓の外を見つめた。

「……一部始終話そう」


 ラウルはアーヴァンの頭上に掲げた剣を振り下ろした。しかし、寸前のところで剣を止めた。

『クッ』

ラウルは剣をアーヴァンの横に下ろすと、下唇を噛み締めた。

(カイ、俺はどうすべきだ? ……ユウ)

ラウルは迷いを浮かべた。

 アーヴァンは正気を失い、呆然としていた。

『ウッ』

次の瞬間、アーヴァンは倒れこんだ。ラウルは目を丸くしながらアーヴァンを見ると、その首にはナイフが刺さっていた。ラウルはすぐさまレンブランのほうを見た。

『俺じゃない』

レンブランもまた目を丸めながら首を何度も横に振った。そして、すぐさま、後ろを振り返った。すると、そこにはレンブランと剣を交え、拘束されているはずの傭兵が立っていた。

『そいつを殺すのは俺の役目だ』

男は静かに言い放つと、その場に片膝をついた。レンブランは慌てて男を拘束した。

 ラウルはアーヴァンに近づくと、息の有無を確認した。そして、息が無いことを確認すると、首に刺さったナイフを抜いた。その瞬間、フラッシュのようなものが光り、誰かが走り去る音がした。

『待て』

国王軍の兵士が捕まえようと追いかけた。しかし、路地裏は入り組んでおり、とうとう逃げられてしまった。

『すみません』

兵士は膝に手をつくと、息を切らしながら頭を下げた。

『いや、いいさ』

ラウルは兵士の肩を軽く叩いた。

『しかし、明日にはラウルが殺したという報道が出回るぞ。そうしたら、ユウだって……』

『それより、今はウォルスの拘束が最優先だ』

ラウルはレンブランの言葉を遮ると、足早にその場を去った。


「そして、翌朝お前は号外を見た」

ユウは放心状態のまま真っ直ぐ涙を溢した。

「我々はお前を拘束することはできない。ラウルの願いだ。このまま村へ帰るといい」

レンブランは床に刺さった剣を抜くと、鞘に収めた。そして、それ以上何も言わず、ラウルの部屋を去った。

 ユウはどうすればよいのか分からず、ベッドに座りながら涙を流した。

(嘘よ。嘘に決まっている)

ユウは信じられないと下唇をかみ締めた。

(本当だとしたら、私はどうすればいいの? ……ラウル)

ユウはベッドの横に置いてあるロケットを開き、三人で幸せそうに笑うラウルの写真を見ると、止めどなく涙を流した。

「お母さんのところに帰らなくっちゃ」

ユウはロケットを大事に握り締めると、思いたったように立ち上がり覚束ない足取りで部屋を出て行った。

 危害が加えられないよう、城の敷地を出るまでユウは兵士たちに護衛されていた。

「二度この地に足を踏み入れるな」

兵士はユウを力強く敷地の外へ押し出すと、仲間の兵士と入り口を固めた。

 ユウは振り返ることなく、ふらつきながら歩いていった。

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