コーヒー1杯どうでしょう?
温かい灯りの下
あの子が笑う
ふわりふわり
あの人がハニカム
エビと卵のサラダ
取り分けても残して
トマトはもらうよ
あの人が注文した
熱々のグラタン
伸びるチーズと余韻
じゃがいもがホクホク
あの子は私の目を見た
「思い出と言えば?」
たくさんあるよ
あなたが注いだ薄いソーダ
まるで酔いがまわる
ソファの柔らかさ
ふわりふわり
「今度ラーメン食べに行こう」
いいね、いいね
いつにしようか
カレンダーの数字が踊る
「今度遊ぼうよ」
いいね、いいね
この日はどう?
何しようか
何食べようか
写真をいっぱい撮ろう
「お代わり何か食べる?」
もうお腹いっぱい
でも何か食べようよ
私が言ったのか
あの子が言ったのか
時計の針
ふわりふわり
甘いチョコレートアイス
優しい香りのコーヒー
湯気の向こう
あなたは眩しそうに目を細める
帰りたくないよ
オレンジ色の灯り
外のネオン
お代わりしたのは紅茶
甘い香り
ふわりふわり
「何の紅茶でしょう?」
あの子がカップに鼻を近ずける
違うよ
あの人も鼻を近ずける
ふわりふわり
違うよ
ストロベリーティ
甘い口の中
あの人のメガネ
あの子がかけた
あなたもかけた
誰が一番メガネが似合う?
誰だろう?
レンズが汚れてるよ
本当だね
だけど帰ろうと言わないで
あの子も
あの人も
あなたも
空になったカップ
何も言わないけれど
端に寄せる
日付が変わってもいいから
ふわりふわり
だけど帰らなきゃ
人気のない店内
外は夜
中は温かい
何もないテーブル
あなたは笑う
あの子が照れた
あの人はまた言う
「何か食べよっか?」
もう食べれないよ
メニューを手にするけれど
明日がもうすぐやってくる
ふわりふわり
立ち上がる足も
ふわりふわり
じゃあねという声も
ふわりふわり
オレンジ色の灯り
まるでまるで
夢見心地
ふわりふわり
だから
あの人も
あの子も
あなたも
また
コーヒー1杯どうでしょう?