改第19話 マリー
これから忙しくなります。2、3日に一度は投稿したいと考えています。文章も投稿する前にもっと良くなるはずと思い、以前よりもさらに作成するのに時間がかかってきたというのが現状です。それにしてもランキング上位者の文章って面白いですよね。盗めるとこは盗みたいのですがそうは問屋がおろさないようで四苦八苦しています。
マリーに魔法書を返すことなく一週間が過ぎた。
あまり早く返すと真剣に読まなかったと思われる気がしたからだ。
「ありがとうございました」
お礼を言いながら飛鳥はマリーに魔法書を手渡す。
「いえいえ。参考になりましたか」
マリーは魔法書を奥の書棚にすぐに持っていかずにその場に置く。
「すごく参考になりました」
「そうですか。それは良かったですね」
飛鳥の答えに満足げな表情をマリーは浮かべる。
その後も少し世間話をする。
宿屋の夕食の時間が近づいていたので、それではと言い残し帰ろうとする飛鳥にマリーはそういえば、と前置きをする。
「アスカさんに指名依頼がきているんですよ」
「俺に指名依頼ですか!?」
飛鳥が驚くのも当然だ。まだ低ランクの飛鳥に普通ならば指名依頼が入るはずがないのだ。飛鳥も内容が気になるのか少し興奮気味に尋ねる。
「どんな依頼なんですか」
「中級回復薬の薬草採集です」
中級回復薬の薬草は下級回復薬の薬草よりさらに森の奥に存在する。飛鳥は自分の適正ランクにあってない、そう感じた。
微妙な顔をする飛鳥を見て何を考えているかわかったのだろう。
「依頼を受けるのはアスカさんだけではありません」
「え!? 誰が行くんですか」
目を見開く飛鳥に少し間を空け、マリーはもったいぶって言う。
「——私ですよ」
飛鳥はマリーとの指名依頼を受けることにした。そのことを宿屋で話すとマリーさんの評判は高いようで誰もがそりゃ問題ねーな、と言っていた。若干1名むくれていたが。
二人は飛鳥が以前採取していた場所よりもさらに奥に分け入っていく。
「マリーさんは良かったんですか。俺と依頼なんか受けて」
「どういう意味ですか」
飛鳥の質問の意図が分からずマリーは問い返す。そんなマリーにばつが悪そうに飛鳥は言う。
「男と出かけるなんてやっぱり恋人とかいたらまずいでしょう」
そんなことかという表情をマリーは浮かべる。
「私、自分より強い人としか付き合わないと決めてるんです。飛鳥さん、私に勝てたら結婚しませんか」
とてもぶっそうなプロポーズの仕方であった。
「私が冒険者だったころ、ギルドの裏でたびたび力比べをしてたんですが結局だれも私に勝てなかったんですよ。ギルド職員になってからは自分から探してるんですが、見つかりません」
肩を落とすマリーに飛鳥は同情できなかった。むしろマリーに破れた名も知らぬ男たちに同情してしまった。
飛鳥たちの前についに魔物が現れた。体長1メートル、良く切れそうな鎌を持つ巨大カマキリである。
「アスカさん下がってください」
飛鳥はマリーの後ろに下がりマリーを見守る。
「”火炎砲弾”」
10発の炎の弾丸が巨大カマキリに向かって放たれる。
巨大カマキリは鎌で炎の弾丸を防ごうとするも炎の弾丸には実体がない。
振り下ろされる鎌は空を切る。
そして10発の炎の弾丸は巨大カマキリに着弾する。
巨大カマキリの緑色の表皮は瞬く間に茶色く色を変えていく。
「”炎上”」
苦しそうに呻く巨大カマキリの真下から大火力の炎が出現する。
しばらく力なく鎌を振るうも巨大カマキリは灰とかしていった。
「ふー、終わりました」
マリーは汗を拭いながら振り返る。
「す、すごいですね」
飛鳥はマリーの戦闘に圧倒されていた。
巨大カマキリは大猪より飛ぶこともでき、危険ランクが高い。
しかしマリーはその巨大カマキリを二手で倒してしまったのだ。
「先輩として威厳を出すためにがんばっちゃいました」
マリーは自らの荷物から回復薬を取り出す。
さすがに無理があったようだ。




