ガブリエラ-2
重苦しい空気は続く。目の前で天使が殺された事に驚いたのはルーナとメイとマリアもだ。皆、なんと言葉をかければ良いのかわからないのだ。
「おいオマエら! いつまでそうやって暗いカオをしてるつもりだ?」
空気に切れ目を入れたのはシラキだ。彼女は魔王の手下と言うだけあってこういったことには当然慣れている。
「戦うっていうのはさっきみたいなコトなんだ。それくらい、覚悟してから神を倒すなんて言うべきダロウ」
「全くもって正論だね……わかっちゃいるんだけど、ちょっとびっくりしちゃって。みんなもそうなんだよね?」
少しでも場の空気を和ませようとルーナはへらりと苦笑い。
「あ、ああ……。でも、シラキの言う通りだな。戦うなら、俺も勇者ならああいう事に慣れなきゃなんだよな……」
「私も。あまり力には慣れてませんが……神に刃向かう者として自覚が足りていませんでした……」
マリアはそっと胸に手を置いた。
「……リリアの事は残念だったが」
この中でいちばん傷ついているであろうガブリエラが口を開いた。
「これがこの世界の現実……クウサの言う通りだ。信用されなくてもいい。でも私はみんなと同じ気持ち、だと思う……この世界を変えたい。ネレシアがどれだけ残虐なことをしているか、ハッキリわかった……私はかつての仲間をネレシアの手から解放したい。例えそれがかつての仲間を殺すことになっても……ううっ……」
その目からは涙が溢れていた。ずっと暗い部屋に閉じ込められて、出された途端に世界が一変したのだ。さらに仲間も死に至り……パニックをおこしても無理はない。
「みんな……さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい」
時が経ち冷静になったクウサは、場の空気を悪くした事への詫びを入れた。そしてガブリエラにも。
「ガブリエラ、あなたにも……ごめんなさい。あなたの事、信用するわ。許して貰えないだろうけど……私達に協力してくれないかしら?」
泣いていたガブリエラはハッとしてクウサの顔を見る。
「うっ、うぇっ!? も、もちろん! 一緒に神を倒そう! クウサ!」
ガブリエラは泣きながらクウサの手をがっちりと掴んだ。
「わたし、ぜったい、ネレシア倒すから……よろしくね、クウサ……」
泣き続ける彼女の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。それでも彼女は泣き続けた。——泣いて疲れて眠るまで。
——この日はこれで解散ということになった。色々とありすぎて皆疲れていたのだ。




