手紙-2
遅めの朝食の最中、孝太郎は問う。
「ところでさぁ、マオタカヤマって何?」
「それは私の本名だ。本名はマオ。だが、王位を譲って頂くという話を受けた時、あまりおおっぴらに名を明かさぬ方が良いと先代に言われてな。だからマオウ・タカヤマと名乗ってる」
マオウはあっさりと答えた。
「なんだ、そんな事だったのか。てっきり重大な秘密が隠されてるのかと思った」
「タカタロウ、マオウはこの世界の頂点に君臨するんだぞ。真名を隠すのは当たり前ダロウ」
シラキ曰く、そういう事らしい。
食べる手を止めて今度はルーナが口を開いた。
「でも孝太郎はすごいよねぇ。資料室って本が沢山あるんでしょ? たくさんの本の中から手紙を見つけ出すなんて奇跡だよ! 孝太郎はやっぱり本物の勇者だね!」
「うーん、それって勇者の力なのか? まぁいいけど」
疑問ではあるが、面倒なのでそういう事にしておこうと決めた孝太郎であった。
孝太郎にはもうひとつ疑問があった。古代カルタ語の事だ。日本語と瓜二つな言語は一体どこからやってきたのか……この問いに対するマオウの答えはこうだった。
「いやー、まさか先代がカルタ語を習得しているとは思わなかった!! はははっ!! カルタ語というのはむかーし昔にやってきたエアリス人がこの国の王となった際に広まった言語の事だ。主に一般には知られたくない情報をカルタ語で記したという記録がある。そうか、エアリスではニホン語というのか」
「ふーん、転生して王になるなんてすごいな」
孝太郎は自分には到底出来ないと思いながら、当時の王に思いを馳せる。きっとすごく力のある人だったんだろうな、と。
孝太郎にとってこの世界はわからないことだらけだ。それでもこの世界の為に神を倒さなければならない事に重圧を感じ、食べている肉の味がわからなくなった。
——けど、俺がやらなきゃダメなんだろうな——




