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日記-6
即位式は崖の上の城で、四百年以上統治をし民衆を見守り続けてきた前最高神、ムタ・サリエルがネレシア・ラルズに冠を受け渡し、その後聖地であるこのラナン王国一番の教会でネレシア神が民衆に演説したという。――――しかし、その演説内容は、ネレシア神が「争いのない世界を築き上げていきたい」と言った所で、文は途絶えていた。
「もう、このページには何も書かれてない……ネレシアの即位の日に魔王は死んだのか……」
「そして、その日がマオウさんの魔王即位……」
孝太郎はすかさずすべてのページをパラパラとめくった。最後のページに白い封筒が挟んである。中身はウィングルの言葉で書かれていた。
「これが前魔王の、マオウ当てに書いた手紙かもしれない。メイ、読んでくれ」
手紙を受け取ったメイは、緊張しているのか、震える手で手紙を持って読み上げた。
「なんだよ、これ……」
「これは……」
二人は同時にお互いの顔を見合った。
「メイ!」
「孝太郎さん!」
「これ……もしかしたらマオウにとって有利になるかもしれない」
「そうですね。マオウさんに知らせないと!」
孝太郎は日記を持って、メイは手紙を持って、資料室を後にした。




