日記-4
「さて、歴史の本はどこにあるんだか……」
広い資料室の中には、何がどこにあるのか、一目見ただけではわからない。
「手分けしましょう。私はあっちを探しますので、孝太郎さんは向こうを」
孝太郎が迷っているうちに、メイはさっさと役割分担を決めて、自分が探す場所へと向かって行った。
「あ、ああ、わかった」
遅れて孝太郎も探し出す。
本はしっかり製本されており、タイトルも古ぼけている物もあるが一目でわかる。
「一応ジャンル分けはされてるのかな……」
本のタイトルから孝太郎は推測する。
――――しかし、探しても探しても、歴史に関わる本は見つからない。気がつけば外は日が登り始めていて、綺麗なオレンジの光が通気孔から差し込む。
「メイ! 外、見てみろよ!」
孝太郎はメイに呼び掛けた後、明かりを消して自分の目の高さに一番近い通気孔を覗き込む。
「うわぁ……」
一方のメイは、部屋のあらゆる所にある小さな通気孔から漏れる光に、呆気にとられていた。
「綺麗……」
彼女は通気孔に近づきながら辺りを見回す。そして、通気孔を覗き込むと、言葉を失った。
――――通気孔から見えたもの。それは、岩と大草原の地の先から現れる朝日だった。
「日の出って、こんなに綺麗だったんだ……」
孝太郎が呟く。
「はい……。とても……綺麗です」
メイも感動しているようだ。
二人は日が登りきるまで、朝日を見続けていた。
「あっという間……だな」
日が登りきると、孝太郎は通気孔から目を離し、再び天井に光を点した。
「さて、作業再開」
大きく伸びをして、孝太郎は資料探しを再開した。メイも作業を再開している。
――――しばらくして、孝太郎が一冊の本に目をつけた。
「ラナン戦乱記って読むのかな……多分、この辺か」
彼はその本の周辺を見回す。気がつけば部屋の端まで来ていたようだ。
「メイ! 多分ここが歴史関連の本の場所だ!」
孝太郎はメイを呼び付ける。メイは走ってこちらまでやってきた。
「本当ですか!?」
「ラナン戦乱記、古代文化辞典、カガリア帝国の歴史……間違いないと思う」
孝太郎は適当にとった本をメイに見せる。
「よし、探そうか。あと少しだ」
孝太郎は本を戻し、本棚の端から物色を始めた。メイは反対側から探し始める。
「……ん?」
探し始めてすぐ、孝太郎が何かを見つけた。彼はそれを手にとる。
「これ……自主製作か?」
それは、紙を紐で束ねて本にしたものだった。それは本棚の一角にいくつもある。
孝太郎はページを開いた。そして、目を疑う。
「これ……嘘だろ!?」
声を聞いてメイは、何事かと駆け寄ってくる。
「どうかされたんですか!?」
「これ、見てみろよ」
孝太郎はメイに本の中身を見せる。
「……読めませんね。古語か何かでしょうか?」
「いや、違う……」
孝太郎はもう一度中身を確認してから言う。
「これ、日本語で書かれてる」
「ニホン語?」
メイは首を傾げる。
「日本は、エアリスの、俺が住んでた国だ」
孝太郎は本の内容を読み出した。
『私がこの日記を書くのは恐らくこの一冊で最後になるだろう。今まで古代カルタ語を使って日記を書いていたが、これから私はこの日記に、将来に関わる事柄を書くことになるだろう。重要な内容は別紙に最後の手紙として残しておく』
「なんて書いてあるんですか?」
メイが問う。孝太郎は読んで聞かせる。
「日記……!? 一体誰の……」




